
| AMG GT 4ドア(EV)同様、メルセデス・ベンツとしては「世に送り出したくなかった」のかもしれない |
現時点ではおよそ「成功する要素」を見出すほうが難しい
アファルターバッハ(Affalterbach)に本拠を置くメルセデスAMGから「ブランドの新たな金字塔となる一台」がまた誕生。
2026年10月18日、メルセデスAMGは初となる独自開発のフルサイズ電動SUV「Mercedes-AMG GT SUV」を世界初公開しており、これは新開発の高性能EV専用アーキテクチャ「AMG.EA」をベースとした第2弾モデルであるとともにSUVの圧倒的存在感・快適性、そしてGTスポーツカーとしての走りのエモーションを次元の異なるレベルで融合させた一台です。
最高出力1,000馬力オーバー、10分で450km分をチャージする驚異の急速充電性能など、ハイパフォーマンスEVの常識を覆すこの注目のモンスターモデルの詳細を見てみましょう。

この記事の要約
- メルセデスAMGが59年の歴史の中で初となる、完全自社開発のフルサイズ電動SUV「Mercedes-AMG GT SUV」を世界初公開
- 電動パフォーマンス専用プラットフォーム「AMG.EA」を採用し、フラッグシップの「GT 63」では3基のアキシャルフラックス(軸方向対向型)モーターにより驚異の1,169馬力(860kW)を発揮
- F1由来の800V高圧バッテリー(直接冷却式円筒セル)を搭載し、最大710kWの超急速充電に対応(10分間で最大450km分の航続距離を追加)。ピッチ&ロールを能動制御する「AMG ACTIVE RIDE CONTROL+」サスペンションも初搭載

メルセデスAMG GT SUVの概要
「Mercedes-AMG GT SUV」は、既存メルセデス・ベンツ車の派生やハイパフォーマンス版ではなく、AMGの手によってゼロから設計された本格パフォーマンスSUV(メルセデスAMG専売モデル)。
ラインナップはトップエンドの「AMG GT 63 SUV」、中核を担う「AMG GT 55 SUV」、そしてエントリーモデルの「AMG GT 53 SUV」の3グレード構成となり、エントリーモデルのGT 53 SUVは2026年10月20日より欧州にて受注が開始(11万3,050ユーロ〜)され、上位のGT 63およびGT 55モデルは2027年春より市場投入される予定です。

低い車高と低い重心、ワイドなトレッドを備えた流麗なシルエットを持ちながらもフルサイズSUVならではの広大な室内空間と実用性を一切犠牲にしておらず、それを可能としたのは「EV専用設計プラットフォーム」が可能とするロングホイールベースだと思われ、それは「かなり前に押し出されたフロントホイール」を見ても一目瞭然。
BMWにおいても電動版のi3とガソリン版3シリーズではこの点において大きな差異があり、まさに「EVにしかできない芸当」だといえそうです。

特徴・スペック・デザイン
F1技術を応用したパワーユニットから最先端のアクティブエアロ、ドライバー主体の車内設計に至るまで、新型メルセデスAMG GT SUVには極限のエンジニアリングが凝縮されていて・・・。
- 革新のアキシャルフラックスモーター(GT 63 / GT 55):GT 63および55には、小型軽量でありながら圧倒的な出力密度を誇る「アキシャルフラックス(軸方向磁気)モーター」を採用。リアに2基、フロントに1基の計3モーター構成(HP.EDU)とし、GT 63では最高出力860 kW(1,169 PS)を発揮。0-100km/h加速はわずか2.5秒、0-200km/h加速6.8秒という異次元のパフォーマンスを叩き出す

- 最大710kWの超高出力DC急速充電:128 kWhの大容量800Vバッテリー(直接オイル冷却式円筒形NCMAセル)を搭載。対応充電スタンドでは最大710 kWの超急速充電が可能となり、わずか10分間の充電で約450 km分(WLTP基準)の航続距離を回復する
- 新開発「AMG ACTIVE RIDE CONTROL+」サスペンション従来のスタビライザーを排し、油圧相互接続システムと3ステージ・エアサスペンションを統合。コーナリング時のロールだけでなく、加減速時のピッチング(フロントの沈み込みや浮き上がり)も能動的に抑え込み、究極のフラットライドを実現

- 五感を刺激する「AMGFORCE Sport+」とV8/直6サウンド:単なる人工音ではなく、AMG GT Rなどの実車から16本のマイクで集音したV8エンジン/直6エンジンの本物のエキゾーストサウンドを忠実にリアルタイム再生。疑似シフトチェンジやシートバイブレーション(シートシェーカー)と連動し、全身でAMGの鼓動を感じられる
- アクティブエアロディナミクス「AEROKINETICS」:150km/hから展開して安定性を高めるアクティブ・ルーフスポイラーと、フロントバンパー内の可変ルーバー「Airpanel」が密接に連携し、空力抵抗の低減とダウンフォース発生を最適化する

全体的なデザインはメルセデスAMG GT 4ドアクーペとの共通性が感じられるもので、しかしフロントバンパー左右のスリットやフロントフェンダー脇のエアベントなどには独自の意匠が見られ、そしてなにより「スマート顔」ではなくヘッドライト左右が独立した「アングリーフェイス」となったことで存在感が増しているようにも思えます。
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なお、ぼくが注意を惹かれたのはこの「ホイールデザイン」で、メルセデスAMGがこうした「ツイスト」形状のスポークを採用するのは非常に珍しいという印象(これまでは伝統的なスター型、メッシュデザインの発展形が多かった)。

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| 項目 | Mercedes-AMG GT 63 SUV | Mercedes-AMG GT 55 SUV | Mercedes-AMG GT 53 SUV |
| パワートレイン | アキシャルフラックス×3基 | アキシャルフラックス×3基 | 同期モーター×2基 |
| 最高出力 | 860 kW (1,169 PS) | 600 kW (816 PS) | 400 kW (544 PS) |
| 0-100 km/h 加速 | 2.5 秒 | - | - |
| バッテリー容量 | 128 kWh (または106 kWh) | 128 kWh (または106 kWh) | 106 kWh |
| 最大充電能力 | 最大 710 kW | 最大 710 kW | 最大 600 kW |
| サスペンション | ACTIVE RIDE CONTROL+ (標準) | ACTIVE RIDE CONTROL+ (オプション) | AMG RIDE CONTROL |

競合比較・市場での位置付け
「AMG GT SUV」が狙うのは、ポルシェ「カイエンEV」や「タイカン」、ロータス「エレトレ」といった世界のハイエンド・ラグジュアリースポーツSUVの頂点で・・・。
- 「サーキット連続走行」に耐えうる熱管理:従来のハイパフォーマンスEVが抱えていた「数回の全開加速でバッテリー熱が上がり出力が制限される」という弱点を、各セルを非導電性オイルで直接冷却する「AMG High Performance Electric Battery」と中央統合冷却ユニット(CCH)によって克服。持続的かつ連続した高出力を提供
- 圧倒的な充電スピードによる利便性:710kWという既存の市販EVを凌駕する充電能力により、長距離ツアラー(グランツーリスモ)としての実用性を極限まで高めている

ただ、直接のライバルとなるのは直近で発表されたばかりのベントレー・トルカルなのかもしれませんね。
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補足情報
今回のワールドプレミアからは、AMGの次世代コックピットとカスタマイズの深化も見えてくるかのようで・・・。
- MB.OSベースの次世代MBUXとAIエージェント:14インチのマルチメディアディスプレイとドライバー向けメーターが一体となった先進コクピットには自社OS「MB.OS」を搭載。ChatGPT、Microsoft Bing、Google Geminiという3つのAIエージェントが組み込まれており、複雑な対話にも対応可能
- プロの走りを伝授する「Predictive Performance Manager」:ニュルブルクリンク等のサーキットにおいて、コースの形状や勾配に合わせてエネルギー放出を区間ごとに最適化する「PPM(Predictive Performance Manager)」機能を搭載。サーキット走行時にも最速のラップタイムを導き出す
- パーソナライズ「MANUFAKTUR」の拡大:60種類以上のスペシャルペイントに加え、鍛造ホイールのリムフランジに「エンジェルブルー」などのアクセントカラーを入れるオプションや、 フィヨルド等のカラーシートベルトなど、個性を追求できるカスタマイズプログラムが大幅に拡充されている

結論
「SUV by shape. GT by nature.(姿はSUV、本質はGT)」という言葉の通り、メルセデスAMG GT SUVは、電動化時代におけるスーパースポーツの可能性を大きく切り拓く1台です。
1,169馬力の圧倒的動力性能、710kWの爆速充電、そしてピッチ・ロールを抑え込む先進サスペンション。アファルターバッハのハイテク技術を集約したこの最新SUVはこれからのハイパフォーマンスEV市場における絶対的なベンチマークとなることは間違いなく、しかしその課題は(ほかブランド同様に)どうやってその魅力を消費者に伝えるか、ということになりそうですね。
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参照:Mercedes Benz











