| 基本的な路線は「アメリカ内での製造業の活性化」であり、それを阻害するものはすべて排除することに |
新しいトランプ政権のもと、アメリカの自動車産業が活性化することを期待したい
さて、ぼくはドナルド・トランプ新大統領に大きな期待を寄せているわけですが、就任しホワイトハウスに戻った当日に「約80もの」前バイデン大統領政権が定めた法案や指示、目標を廃止したと報じられています。
そしてその中の一つが「2030年までに電気自動車(EV)の販売比率を50%にする」という目標の撤廃であり、加えて、電気自動車充電ステーションに資金を提供する50億ドルの基金を停止し、カリフォルニア州の排出基準を独自に決定する権限を廃止するよう呼びかけることに。
そして注目の的であった「EV購入時の税制優遇(就任当日に廃止すると言われていた)」については廃止に至らず、「終了することを検討する」とだけ述べていて、つまり今のところは「以前と同じく、一定の条件をクリアすれば、EV購入時に最高7,500ドルの税制控除を受けることが可能」となっています。
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まだまだ米国におけるEVの将来は「不透明」
この「2030年までのEV販売50%目標」は、バイデン政権が発令した行政命令として知られていますが、法的拘束力はなく、むしろ目標のようなものであり、各自動車メーカーは(この強制力次第で)新型車の開発スケジュールが変わってくるという理由からその安定性を求めていたわけですね。※ゼネラルモーターズ、フォード、ステランティスはこの目標に賛同し、全米自動車労組(UAW)もこれを支持していた
これに関して、トランプ新政権は「不公平な補助金や、EVを他の技術より優遇し、事実上その購入を義務付けるような誤った政府主導の市場歪曲を廃止することを検討すべきだ」と述べており、完全に撤廃するのではなく、「税制控除の対象を厳しく」調整することとなるのかもしれません(この税制控除はアメリカ国内で生産されたEVにしか適用されないので、多くのサプライヤーの米国回帰、そして自動車メーカーの工場誘致に役立っており、完全に廃止すると雇用不安が生じかねない)。
加えて、ドナルド・トランプ新大統領は、カリフォルニア州とその基準を採用している11州に付与された排出基準免除措置の廃止も検討していると述べ、この免除措置は2024年に付与されたものであり、それぞれの州が2035年までに新車を100%ゼロエミッション車(ZEV)にする基準を導入することを認める内容となっているのですが、これが廃止されることで大きく自動車メーカーの戦略が変わってくるものと思われます。
そのほか、トランプ新政権は「パリ協定からの離脱や風力発電所へのリースの終了」にも言及し、環境への配慮が経済に及ぼす負の側面を一掃し「産業保護」の姿勢を見せていますが、「車両、シャワーヘッド、トイレ、洗濯機、電球、食器洗い機に至るまで、消費者の選択を強化する」とも。
参考までに、自動車産業に関してだと「アメリカで自動車を再び製造する。その規模は、数年前には誰も夢見なかったほどになるだろう」と述べていて、バイデン前大統領が導入した「EV購入税制控除」の対象となることを目的としてBMW、メルセデス・ベンツ、ヒョンデ、キア、ホンダ、フォルクスワーゲンなどの各自動車メーカーが工場を新設または拡張していることを鑑みるに、トランプ新大統領のこの言葉はそう遠くない未来に「現実」となりそうですね。
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