| 各自動車メーカーはトランプ新政権の意向を見極めねば次の一手を打つことができない |
そして任期満了後にはまた「180度転換」の可能性も
さて、ドナルド・トランプ大統領は石油産業を復活させようとしており、「掘って掘って掘りまくれ」政策を導入すると言われ、さらには現在のバイデン政権が導入している7,500ドルの連邦税控除の廃止、充電ステーションの資金削減、そして連邦政府による購入義務の廃止を提案していることが報じられます。
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ドナルド・トランプ次期大統領は「石油」を重視し就任と同時に「掘って掘って掘りまくれ」政策を導入し、採掘を推奨するもよう。一方でEVメーカーには「冷や飯」か
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さらには「排ガス基準」の見直しも
そして今回新たに報じられているのが「排ガス基準の見直し」で、就任後には燃費基準や排出基準を2019年のレベルに戻すことも視野に入れているのだそう。
トランプ大統領は来月にホワイトハウスへと戻る予定で、EVへの支援を削減するための計画に関する新たな詳細が明らかになり始めていますが、この計画は多面的なアプローチを取っており、上述のとおり多岐にわたります。
さらには「バッテリー素材への関税を付与」も行う予定だとされ、この措置は米国内での生産を増加させることを目的としており、政府は「同盟国と個別の免除交渉」を行う予定だとも。
また、トランプ政権はEV普及支援のための資金を他の取り組みに振り向けることを検討しているとされ、具体的な詳細は不明ではあるものの、その資金は「国家防衛供給網や重要インフラ」の強化に向けられる可能性があると言われ、おまけに国家防衛に関しては”電気軍用車両の調達を中止する”という提案も含まれているという報道を見るにつけ、「どれだけEVが嫌いなのか」という感じですね。
やはり大きな変更は「排ガス規制の見直し」
ただ、これらの変更の中でも「もっとも大きな変更」になると思われるのが「排ガス規制の見直し」。
EV支援の削減に加えて、移行チームは燃費基準と排出基準を2019年のレベルに戻す計画も進めているとされ、ロイターによると、これにより「現在の2025年基準よりも車両1マイルあたり約25%多くの排出ガスが出ることになり、燃費は平均で約15%低くなる」。
加えて新政権はカリフォルニア州の排出ガス免除を無効化することも望んでいるといい、各自動車メーカーは厳しい環境規制に対応するために多額の資金を投じる必要がなくなるということも予想されますが、現在の自動車は基本的に「ワールドワイド」にて販売されるため、いかにアメリカの規制が緩くなろうとも、欧州にて販売するクルマのために排ガスをクリーンにせざるを得ず、よって車両あたりの開発コストはさほど変わらないのかもしれません(米国向けと欧州向けとを作り分けることでむしろコストが上昇するかもしれない)。
バイデン政権は「駆け込み支援」を行う
なお、こういったドナルド・トランプ新大統領政権の動きを見越してか、バイデン政権はトランプ大統領が就任する前に(取り急ぎ)環境改善支援を行うための取り組みを進めており、つい先日はエネルギー省がフォードに対し、3つのバッテリープラントを建設するために最大96.3億ドルの融資を提供すると発表したばかり。
さらにその前の週には(充電ネットワークの)EVgoに対して12.5億ドルの融資保証を確定させたことも発表され、この融資によってアメリカ国内に約1,100箇所のステーションと7,500基の充電器が設置されることになる、とも報じられています。
現時点ではトランプ新政権の方針は「ウワサ」でしかなく、しかしこれが実際に導入されるとなると、消費者による「EVの駆け込み購入」が発生したりするのかもしれませんね。
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