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ランボルギーニはジャガーやベントレーのように「アイコニックなクラシックカー」の再生産を行うことはない。ミウラやカウンタックの復元モデルであれば欲しい人はいくらでもいそうだが

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| さらにそういった「復元モデル」は1台あたり数億円という価格で販売が可能 |

ランボルギーニに大きな売上高と莫大な利益をもたらすことは間違いない

さて、現在「ひとつの主流」となりつつあるのが「過去の伝説的モデルの再生産(継続生産)」というムーブメント。

これはジャガーがその道の先鞭をつけたもので、CタイプやDタイプを「当時と同じ設計と素材、工具と工法をもって」現代へと蘇らせているわけですね。

そしてベントレーも「ブロワー」を復刻しており、こちらもやはり「当時のまんま(現存する車両を分解し、3Dスキャナを使用してパーツを再設計している)」。

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ただしランボルギーニは継続生産を行わない

そこで今回報じられているのが「ランボルギーニは復刻や継続生産を行わない」という内容で、これは同社のクラシックカー部門「ポロストリコ」復元部門の責任者であるジュリアーノ・カッサタロ氏がカーメディアに対して語ったものとして伝えられています。

「ミウラからガヤルドまで、どのクルマの復刻版であっても製造することはありません。私たちは歴史を変えたいとは思っておらず、これが基本的な方針です。ポロストリコが行うのはクルマを保存し、復元することだけです。それらはすべて正確なカラーリングと素材を使用し、工場出荷時の状態を維持します。よって新たなモデルを構築することもありません。」

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そして唯一「行うことがあるとすれば」カウンタックLPI800-4のような、過去のアイコニックなクルマへのオマージュモデルだとも述べていて、しかしこちらについては現ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏が「レトロなモデルは作らない」とコメントしているため、ステファン・ヴィンケルマン氏の在任中は「ない」と考えていいのかも。※ただしランボルギーニ属するフォルクスワーゲングループは「かなり」財政的に苦境に陥っているため、フォルクスワーゲンの指示によってレトロモデルが作られることがあるかもしれない

過去の復元モデルは基本的に「公道を走れない」

参考までに、カウンタックLP500の復刻、そしてカウンタックLPI800-4を企画したのは前CEO、ステファノ・ドメニカリ氏の時代であり、当時と今とでは「方針が異なる」ことについても把握が必要です(一方、ステファン・ヴィンケルマンCEOは未来のみを見るという方針を持っており、過去を振り返らない)。

ちなみにですが、こういった「復刻」「ワンオフ(あるいはそれに類するもの)」は非常に厚い利益を確保することができ、上述のジャガーやベントレーの復刻版は「数億円(5億円くらい)」というプライスタグを掲げていて、これら復刻やワンオフモデルの販売によって売上高や利益を大きく伸ばせる可能性が存在し、仮に「数十台」規模で販売すればそうとうな額にのぼります。

しかしそれでも「復刻を行わない」というランボルギーニの姿勢は注目に値するもので、しかしこれには「ランボルギーニの歴史はモータースポーツではなく、ロードカーとともにある」という事実に関係しているのかも。

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これまでジャガーやベントレーが復刻したクルマは「レーシングカーを蘇らせたもの」「ロードカーの復刻であっても公道走行ができないもの(アストンマーティンDB5のボンドカー仕様も公道走行は”不可”である)」となっていて、ランボルギーニとしては公道走行ができないクルマを大々的に作りたくないのかもしれません。

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実際のところ、ミウラやカウンタックを「復刻」すれば、1台数億円であっても「欲しい」と思う人々が多数存在しそうですが、仮に復刻したとしても、それらはもうホモロゲーションの期限が切れているために(当時と同じままの仕様であっても)合法に走行することはできず、ランボルギーニにとって「それは本望ではない」のかも。

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そのほか、ランボルギーニは「現存するカウンタックやミウラの市場価値を混乱させる可能性」を考慮しているかもしれず、たとえば「当時と全く同じカウンタックやミウラを生産し、販売すれば」必ず現在の”クラシック”カウンタックやミウラの市場価格に影響を与えることになり、そういった事態を避けたいのかもしれませんね(ジャガーやベントレーの場合、復刻の対象となる車両の当時における生産台数が極めて少なく、流通量も限られているので相場が変動しにくい)。

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