アルファロメオも「EVブランドへの転換」をあきらめ「マルチエネルギー戦略」へ。「EVのみのポートフォリオでは、現在のディーラーを維持できずブランドが存続できない」

｜　EVのみとされていた次期ジュリア、そしてステルヴィオにも内燃機関搭載モデルが登場　｜

この判断以上に重要なのが「それを実行するスピード」である

さて、現在は「EV専業ブランドになる」としていたベントレーやロータスが方針の変更を行い「ガソリンエンジンも継続させる」と発表している状況ですが、今回アルファロメオも「2027年までに全車種をEV化する計画を撤回し、内燃機関（ICE）やハイブリッドを含むマルチエネルギー戦略に転換する」という決定を行っています。

この決定の背景には、特に北米市場での低迷する販売状況やディーラーの持続可能性に対する懸念があるといい、ここでその「アルファロメオの事情」を見てみましょう。

「このままではアルファロメオのディーラーを維持できない」

まず、アルファロメオ北米責任者のクリス・フューエル氏は、この（マルチエネルギーへの）転換が2024年1月末に行われたディーラーミーティングの後に決定されたと述べ、次のように説明しています。

「アルファロメオの製品・技術ロードマップにおける最大の変更点は、BEV（電気自動車）専用戦略からマルチエネギー戦略への移行です。アルファロメオはこれまで、2023年発売のトナーレ」を最後の内燃機関モデルとし、その後のステルヴィオやジュリアを含む全モデルをEV化する計画でした。しかし、北米市場では、BEVのみのポートフォリオだと、110店舗のディーラーネットワークを存続させることが困難だと判断されたのです」。

アルファロメオは現在ステランティスに属しており、そしてそのステランティスは現在危機的状況にあるとたびたび報じられているところですが、北米におけるアルファロメオは2024年販売が19％減少して8,865台にとどまり、これで4年連続の販売減少を迎えます。

さらに現在アルファロメオディーラーは「在庫の山」を抱えているといい、「2024年と同じ状況が続けば、多くのディーラーを失うことになり、ネットワークを再構築する必要があります。すでに我々のディーラー数は150店舗から110店舗に減少しているにもかかわらず、です」とも。

こういった背景があり、アルファロメオは「EVのみではなく」ガソリンエンジンを存続させハイブリッドの展開にも注力することとなりますが、新しい戦略の下で、次世代「ステルヴィオ」および「ジュリア」にもハイブリッドや内燃機関モデルが用意され、これらのモデルは（ダッジ・チャージャーと同じ）ステランティスのSTLA Largeプラットフォームを採用するものと予想されています。

なお、クリス・フューエル氏によれば、ディーラーネットワークの再建に向けた最優先事項は次の3つで、今回の方針転換に加え、ディーラーの存続基盤強化政策が同ブランドの再成長につながるのかどうか、今後の展開に注目が集まるところでもありますね。

1. 販売・売上の回復
   質の向上や保証修理の削減に注力し、顧客支払によるメンテナンスや軽修理へ移行
2. 品質問題の改善
   過去の製品で見られた品質問題を解消する
3. 新市場の模索
   サブコンパクトSUV「ジュニア」の米国導入を検討

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