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ポルシェが内燃機関の「出力向上」「クリーン化」を実現するため”ウォーターインジェクション”に関する特許を出願。2つの問題のうち1つをクリアしているが

ポルシェ

| 市販車にこの技術を採用するのは非常に困難ではあるが |

ポルシェであればその困難を乗り越える可能性も見えてくる

さて、自動車業界では保有特許件数ナンバーワンとも言われるポルシェですが、今回「ウォーターインジェクション」に関する特許を出願したことが明らかに。

このウォーターインジェクション(時にはメタノールと併用される)は、吸気温度を下げることでエンジン出力を向上させるという古くからある手法です。

そして「ウォーター・メタノール・システム」は、極度にチューンされたターボ車に採用されることがあり、ブースト圧の向上によって発生しやすい有害な早期点火(ノッキング)を防ぐ役割を果たすわけですね。

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ポルシェはウォーターインジェクションを市販車に採用?

ウォーターインジェクションはインテークマニホールドに水を注入し、空気と燃料の混合気を冷却するプロセスを採用することで早期点火やノッキングによるエンジンの損傷を防ぐ点で効果的ではあるものの、そこにはいくつかの欠点も存在しており、そのひとつが「ウォーターハンマー効果」。

水は圧縮できないため、個々の水滴がエンジン内部に達すると、ピストンやシリンダー壁、シリンダーヘッドに微小な凹みや損傷を引き起こす可能性があり、よって不特定多数の人が、かつどんな環境で使用するかわからない市販車にこれ採用することは「かなり難しい」というのが一般的な認識です。

しかしながら、今回ポルシェがドイツ特許商標庁へ「ウォーターインジェクション」に関するパテントを出願したことが明らかになっており、そしてこの中ではウォーターハンマー効果に対する解決策も提示されています。

今回出願された内容を見るに、その解決策は比較的シンプルで、簡単に言えば「吸気の初期段階でより多くの水を噴射する」というもの。

ポルシェによれば、インテークマニホールドの表面に”より多くの”水をかけることで、混合気がより素早く冷却され、ウォーターハンマー効果が大幅に軽減されるとのことで、つまり、一見逆説的ではあるものの、システム内により多くの水を導入することで、燃焼室内の水の量を減らし、想定されるするダメージを防げる可能性がある、というわけですね。

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これによってウォーターハンマー効果を抑えることができれば「画期的」としかいいようがなく、出力向上、燃費改善、さらにはCO2や窒素酸化物の排出削減といった多くの利点を生み出すことが予想されます。

しかしながらここにもうひとつの問題が生じることとなり、それは「水の補充」。

ウォーターインジェクションに使用する水は「リサイクル」できるわけではなく、よって常に補充が必要となるわけですが、そうなると「ドライバーが水を補充しなかったり」「不純物の入った水を補充したり」「水を補充しても使い切ったり蒸発したり」ということも考えられ、車両の適切なメンテナンスという観点、そして「ウォーターインジェクション用の水のあるなしによって排出される環境汚染物質の両が変化してしまう」という問題も。

残念ながら、ポルシェはこの「水の補充」に関する問題の解決策をまだ見出しておらず、しかし、もし突破口を見つけることができれば、ウォーターインジェクションは同社の内燃エンジン存続戦略の重要な要素となるかもしれません。

実際のところ、ポルシェはこれまでにも様々な技術を導入することで内燃機関の可能性を追求しており、VGT(可変タービン)のように、当時一般的ではなかった技術を取り入れ、そして今ではターボエンジンを搭載する911のほとんどにこれが取り入れられていることからも「ポルシェの出願する特許は実用化を前提としている」ことがわかりますね。

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参照:CARBUZZ

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