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【ヒョンデの本気】新IMAアーキテクチャとE-GMPがEV業界を揺るがす理由とは?「ヒョンデの実力を知らないのは日本だけ」

【ヒョンデの本気】新IMAアーキテクチャとE-GMPがEV業界を揺るがす理由とは?「ヒョンデの実力を知らないのは日本だけ」

Image:Hyundai

| ついに本気を出したヒョンデ、EV戦争の主役へ |

日本では存在感の薄いヒョンデだが

さて、日本ではいまひとつ存在感が薄いヒョンデですが、「再参入」する前には「世界でヒョンデを知らないのは、日本だけかもしれない」といった感じのキャッチコピーを使用していたことも。

そして再参入を果たした今でもやはり「世界でもヒョンデを知らないのは日本だけ」といった雰囲気ではありますが、日本以外だと実際に相当に大きな存在感を放っており、かつての“価格勝負”の安売り自動車メーカーから、今では高性能EVのリーダー格へと急成長を遂げています。※もう何年も前から、北米市場だと「もっとも安価なクルマ」は日産製となっている

 IMAとは?新時代のモジュラーEVプラットフォーム

そしてヒョンデのポジションを大きく変えたのは2020年に発表したE-GMPプラットフォーム。

これはその柔軟性と技術力で高く評価され、ヒョンデグループはこれを活用しアイオニック 5N、キアEV6 GT、ジェネシスGV60といった画期的なEVを次々と投入しており、とくにアイオニック 5 Nはその「疑似トランスミッション」「パフォーマンス」が高く評価され、BMW M、ランボルギーニなどのハイパフォーマンスブランドがその車両を買い求め、実際にテストを行ったことが明らかになっています。

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さらに北米では、ヒョンデやキア、ジェネシスのEVは(バイデン政権が導入した)EV減税対象とはならず、つまりテスラ等の米国製EVに比較すると「高額」となるものの、それでも販売ランキング上位に顔を出すことも珍しくはなく、つまりは「割高であっても買う人が少なからず存在する」のが現在のヒョンデグループのクルマです。

そして今、はやくもヒョンデが次世代EVプラットフォーム「IMA(インテグレーテッド・モジュラー・アーキテクチャ)」を発表し、さらに業界に大きな衝撃を与えようとしているわけですね。

IMAの主な特長:

  • 800V対応/双方向充電/OTA対応
  • バッテリーパックとモーターの標準化
  • 13車種以上に採用予定(2025年後半~)
  • 開発期間30%短縮、コスト削減

まるで「スイスアーミーナイフのような柔軟性」を持つこのIMAは、SUVからセダン、ピックアップ、ハッチバック、さらには商用EVまで、1つのアーキテクチャで幅広い車種に対応可能。

ヒョンデはこれを活用し、地域特化型のEV展開(新興国など)も視野に入れているといい、ヒョンデのEV戦略は新たなフェーズに突入したということになりそうです。

2026年登場予定のアイオニック 9:IMA採用第1弾のスペック

そしてこのIMAを最初に採用するのは「アイオニック 9」で、そのスペックは以下の通り。

項目内容
モーター永久磁石同期モーター(PMSM)
出力215 hp
トルク258 lb-ft
駆動方式後輪駆動
トランスミッションシングルスピード・ダイレクトドライブ
2

Image:Hyundai

“ソフトウェア・ファースト”のEV戦略

IMAの注目点のひとつは、ソフトウェア中心の設計を持っていること。

将来的にはレベル3以上の自動運転やV2X(Vehicle to Everything)に対応する設計を持ち、性能・航続距離・運転特性のOTAアップデートが可能となっています。

これは「ハードウェアとして完成しているクルマ」を、「ソフトウェアで進化させ続けるクルマ」に変えるという、まさにApple的な自動車戦略です。

ソリッドステートバッテリー=“ドリームライン”計画始動

ヒョンデは同時に全固体電池(ソリッドステートバッテリー)のパイロットライン「ドリームライン」も準備中。

この全固体電池はアイオニック 5NやEV6 GTの後継モデルに採用される可能性も高く、400マイル(約644km)超の航続距離も現実的だとされています。

  • 高エネルギー密度
  • 急速充電(15分で80%)
  • 軽量化によるパフォーマンス向上
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Image:Hyundai

商用EVや小型EVにも対応:E-GMP.Sとエレクシオ

このIMAに加え、ヒョンデはすでに商用車専用のE-GMP.Sを開発しており、こちらはシャトルや配送バン、ライドシェア車両など多用途に対応でき、すでに韓国や東南アジア市場で展開中。

また、小型EV市場にも力を入れており、以下のクルマもE-GMP派生プラットフォームで構築されるなど、現行の「E-GMP」プラットフォームであっても最大限の活用がなされていることがわかり、価格と性能を両立したグローバル戦略の鍵として機能しているわけですね。

そして新しいIMAはこのE-GMPに比較し、コストや柔軟性、もちろん機能においてアドバンテージを持つとされ、ますますEV市場におけるヒョンデのプレゼンスを高めるために機能するものと思われます。

  • Hyundai Elexio(中国市場)
  • Kia EV3($35,000以下のエントリーEV)

アメリカ市場にも注力:ジョージア州新工場とEV税制対応

さらにヒョンデは米国でも攻勢を強めており、ジョージア州に新工場を建設中。

ここでアイオニックシリーズやキアブランドのEVを北米向けとして生産することで、関税やインセンティブ制度にも対応することができ、となればすでに北米市場で好評を博しているヒョンデ アイオニック 5 Nやキア EV9が「より安価で手に入る」可能性が高くなり(あるいは値下げせずにヒョンデの利益を確保することもできる)、いっそうヒョンデの成長を加速させるものと見られています。

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Image:Hyundai

他社との比較:ヒョンデ方式が強い理由

多くの自動車メーカーがEV戦略に苦戦する中、ヒョンデは以下の要素で突出しており、「次世代EV業界におけるアップル」的なポジションを確立しつつある、とまで言われるのが現在の状況で、ある意味では「中国勢に対抗しうる、数少ない既存自動車メーカーのひとつ」がヒョンデなのかもしれません。

  • 開発・製造のスピードと柔軟性
  • 原価低減と高い利益率の両立
  • ソフトウェア中心の製品戦略
  • グローバル適応力

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参照:Hyundai

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