
| ヒョンデ アイオニック5 NはランボルギーニやBMW上層部も最大の賛辞を惜しまない |
まさかヒョンデのクルマが「ハイパフォーマンスEVの常識」になろうとは
少し前までならばポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニといった世界最高峰のスポーツカーブランドが韓国のヒョンデから技術的なインスピレーションを受けるなどという話は「荒唐無稽なジョーク」だと笑い飛ばされていたことに違いありませんが、今ではそれが「現実」となってぼくらの目の前に現われようとしています。
ヒョンデが送り出したハイパフォーマンスEV「アイオニック5 N(Ioniq 5 N)」は世界の自動車産業の巨頭たちにとって「公然とモデルケースにされる」ほどの衝撃をもって登場しており、今回はポルシェの主要メンバーたちがこの技術をどのように評価し、ぼくらの愛する次世代のミッドシップスポーツにどう反映しようとしているのかについて考えてみたいと思います。
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ランボルギーニCEOが「EV開発の際にヒョンデ アイオニック 5 Nのサウンドを参考にした」。いつの間にかアイオニック 5 Nは高性能EVのベンチマークに
| さらにヒョンデ アイオニック 5 Nに搭載される「疑似マニュアル・トランスミッション」も高い評価を受けている | ただしランボルギーニは現段階では「そのサウンドをどうするか」決めかねている さて、 ...
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この記事の要約
- 異例の評価: ポルシェのトップ経営陣が、ヒョンデの高性能EV「アイオニック5 N」に搭載されている「疑似トランスミッション(模擬ギヤチェンジ技術)」を公式に高く評価
- 技術の狙い: この技術はEV特有のシームレスな加速へと、あえて内燃機関(ガソリン車)のようなシフトショックやエンジン音をデジタル的に再現し、ドライバーの「操る楽しさ」を最大化するもの
- 次期718への期待: まもなく登場する次世代の100%電動「718ケイマン」および「718ボクスター」への採用が噂されており、ポルシェ流の味付けに注目が集まっている
- 今後の課題: ただし、次期718はガソリン(ICE)モデルも併売されるため、「本物のギヤがある中で、あえてEVに偽物のギヤを作るのか」という”贅沢な選択肢”と”コスト”のバランスが議論の的となっている

ポルシェの重鎮たちが「アイオニック5 N」に目を見張った理由
ヒョンデのアイオニック5 Nがデビューし、パフォーマンスEVの基準を「単なる直線加速の速さ」から「ドライバーがいかに没入できるか」へと塗り替えてからしばらくが経過していますが、その評価は色褪せるどころか高まる一方というのが現在の状況です。
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ちょっと衝撃。BMW M部門のボスが「ヒョンデがアイオニック5 Nで取ったアプローチは正しい」と述べ、EVにフェイクサウンドとMTロジックを組み込むことに言及
| ヒョンデ アイオニック5 Nは異常なほど称賛を浴びている | たしかにボクも一瞬、アイオニック 5 Nを「欲しい」と考えた さて、日本ではブランド自体の知名度が高くないせいか「それほど」ではありま ...
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特にポルシェのエンジニアたちを驚かせたのは、ヒョンデの8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)の開発チームが手がけた「あまりにもリアルな模擬(シミュレーテッド)トランスミッション」の完成度で、タコメーターの針の動き、レブリミッターに当たったときの制御、変速時のわずかなトルク抜けにいたるまで、ほとんどのドライバーが「本物」と錯覚するレベルに達していたことがポルシェの開発陣を驚かせたわけですね(実際に運転した印象だと、サウンド含めこのクルマを即座にEVだと断じることができる人は非常に少ないであろう)。

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さらにポルシェで718および911のモデルラインを統括する副社長のフランク・モーザー氏は、GT部門のボスであるアンドレアス・プレウニンガー氏と共にアイオニック5 Nを徹底的にテストし、次のように大絶賛しており・・・。
「目から鱗が落ちるような体験でした。彼らは本当に、本当に素晴らしいクルマを作り上げました。私たちはアイオニック5 Nから多くを学びました。これ(疑似ギヤ&疑似サウンド)こそが未来への方向性です。完全な静寂の中で走りたいか、それとも水平対向6気筒のバーチャルサウンドと仮想ギヤシフトを感じて『走りのゲーム』に参加したいか、お客様自身が選べるようにすべきです」
ポルシェの製品スポークスマンであるベン・ワインバーガー氏も「非常に興味深い技術であり、ヒョンデは実に見事な仕事をした。我々がもしこれを導入するなら、間違いなく『ポルシェらしいソリューション』になるだろう」と語っていて、開発の可能性を否定していない、というのが「ポルシェの現在地」です。
次世代ポルシェ718ケイマン / ボクスターEV:車種概要
ポルシェがこの「操る楽しさを演出する偽物のギヤ」を最も導入しやすい、かつ導入すべきモデルこそが、開発の最終局面を迎えている次世代の100%電動(EV)718ケイマン / 718ボクスター。
電気自動車としてのスペックを、ベンチマークである「ヒョンデ・アイオニック5 N」と比較しながら、ポルシェが直面している課題を整理します。
Image:Life in the FAST LANE.
アイオニック5 N & ポルシェ次期電動718(予測) スペック比較
| 項目 | ヒョンデ アイオニック5 N(市販モデル) | ポルシェ 次期718ケイマンEV(予測値) |
| 車両タイプ | 高性能電動クロスオーバー(Cセグメント) | 純電動2シーター・ミッドシップスポーツ |
| 最高出力 | 650馬力(N Grin Boost作動時) | 約450〜600馬力(グレードによる) |
| 駆動方式 | 4WD(前後ツインモーター) | RWD(後輪駆動)または4WD |
| トランスミッション | 1速固定(e-Shiftによる8速フェイクギヤ制御) | 1速固定(ポルシェ流フェイクギヤ検討中) |
| エキゾースト音 | N Active Sound+(2.0T、EV、ジェット音) | 未定(伝統のフラット6音をバーチャルにて再現?) |
市場での位置付けとポルシェの葛藤:「本物」があるゆえの悩み
アイオニック5 Nがこれほど高く評価されているのは、3トン近い巨体を持つEVでありながら、ドライバーに「スポーツカーを操っている」という強烈なフィードバックを返してくれるから。※このシステムのコピーがまだ登場していないところを見るに、かなりレベルが高いシステムなのだと考えられる
一方で、ポルシェがこの技術を採用するかどうかには独自の「贅沢な悩み」が存在し、ポルシェは次世代の電動718を発売した後も当面の間は従来のガソリン(ICE)エンジン搭載モデルを並行して販売する計画を持っていて、つまりカスタマーのオプションリストには、物理的な「本物のトランスミッション(PDKやマニュアル)」が残る可能性も。

よってポルシェ社内には「本物が買えるのに、わざわざコストをかけてEVに偽物のギヤを仕込む必要があるのか?」という意見があるといい、さらには「もしフェイクギアを装備して」登場した電動718の走りが、3年も前に発売されたヒョンデのEVに比べて「退屈で無機質」だと評価されてしまえば、プレミアムスポーツブランドとしてのポルシェのプライドは完全に打ち砕かれてしまうことにもなってしまいます。
だからこそ、ワインバーガー氏の言う「ポルシェ独自のソリューション」の仕上がりに期待がかかっているということになり、「模倣」「二番煎じ」ではなくポルシェ流のフィーリングが必要になってくるわけですね。
結論
自動車の「電動化」が進むにつれ、どのメーカーのEVも「静かで、スムーズで、誰が踏んでも速い」という画一的なキャラクターに陥りがちで、しかしその中でヒョンデが証明した「あえてアナログな不完全さ(ギヤチェンジの変速ショックやエンジンの咆哮)をデジタルで構築する」というアプローチは、今後のスポーツEVにとって極めて重要なブレイクスルーとなったというのが「現実」です。
伝統的なギヤボックスと内燃機関のメカニカルな感触を最も崇拝してきたポルシェがヒョンデの「真似」ではなく、独自のモータースポーツの血統(ヘリテージ)をどうデジタル技術に昇華させていくのかどうか。
もし次期電動718ケイマンに対し、ポルシェの魂である「水平対向6気筒(フラット6)」の官能的なバーチャルサウンドと電光石火のPDKを模した疑似シフトが搭載されれば、それはEV嫌いの熱狂的なファンをも唸らせる「新時代の名車」になる可能性もあり、 シュトゥットガルトのエンジニアたちが導き出すポルシェらしい回答を楽しみに待ちたいと思います。

ただ、ヒョンデ アイオニック5 Nの疑似シフトが評価されたのは「それまでスポーツカー市場では存在感が皆無に近いヒョンデがこれを(しかも1番に)やったから」だとも考えられ、スポーツカー市場にて絶対的なポジションを構築しているポルシェが「フェイク」シフト導入、しかもヒョンデの二番煎じとなってしまうと必然的に評価は辛口になってしまい(そもそもポルシェというだけでハードルが高い)、ポルシェ自身のプライドどころか市場における評価すら失墜することにもなりかねないのでは、とも考えており、このあたりはポルシェ自身も非常に気にしているところなのかもしれませんね。
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