
| ライダーの肌を守る最後の砦。なぜ今も革ジャンなのか? |
これだけ素材が進化したいま、レザーよりも良い素材が存在しそうだが
バイクに乗る以上、大なり小なり「転倒」のリスクが常につきまとうこととなり、初心者であれ、ベテランのライダーであれ、ライディングギア(装備)への投資を惜しむことは、自らの命を危険にさらすことに直結します。
グローブ、ジャケット、ブーツ、パンツなど、基本装備の組み合わせは、ライディングスタイルや体型、気候、そして「毎日乗るのかどうか」によって変わってくるもので、例えば、日本の夏のように高温多湿な環境ならベンチレーション(通気機能)に優れたジャケットが必要となり、サーキット走行がメインなら全天候型の快適性よりも「絶対的な安全性」が最優先されることとなります。
この記事の要約(この記事でわかること)
- レザーの圧倒的な優位性: 転倒してアスファルトの上を滑った際、ナイロンなどの合成繊維(テキスタイル)を大きく引き離す「驚異的な耐摩耗性・引き裂き強度」を保有
- 経済性と育てる楽しみ: テキスタイルジャケットが「1度の転倒で使い捨て」になることが多いのに対し、レザーは軽微な転倒であれば耐え、手入れ次第で一生モノの「経年変化(パティナ)」を楽しめる
- 正しい安全基準の知識: ライディングギアの欧州安全基準「CE規格」のクラス分け(A〜AAA)を理解し、自分のライディングスタイルに最適なウェア選びができるようになる
すべてを完璧にこなす「魔法の素材」は存在しないもの、もし「安全性とプロテクション」を最優先するならば、バイク用ジャケットの素材は「レザー(本革)一択」となり、なぜハイテク繊維が進化を遂げた現代でも、レザーが理想の素材であり続けるのか、その理由を探ってみましょう。

繊維構造がもたらす「耐摩耗性」の決定的な差
レザーがテキスタイル(ナイロンやポリエステルなどの合成繊維)に対して圧倒的に優れている最大の理由は、その「驚異的な耐摩耗性(擦れに対する強さ)」にあり、海外の有名なバイク系YouTubeチャンネル『FortNine』のライアン氏は、実際にバイクの後方に引きずられるという非常にクリエイティブ(かつ過酷)な実戦テストを行い、レザーと他素材の強度を比較することに。
その結果、レザーは合成繊維に比べて非常にタフで引っ張り強度(引き裂きに対する強さ)が桁違いに高く、なおかつ適度な通気性も維持していることが実証されているわけですね。
ここで「現代の繊維技術なら、レザーの繊維構造を模倣した人工素材を作れるのでは?」というのがぼくの疑問。
事実、樹脂ベースの模倣素材は多数存在するものの、アスファルトの上を高速で滑る際、摩擦によって発生する「強烈な熱」に耐えられず溶けてしまうリスクがあり、自らの皮膚が熱を帯びた路面と接触するのを防ぐためには、自然が作り出した本革の密な繊維構造が今なお不可欠というわけですね。
H性能・デザイン・スペックなどの特徴、市場での位置付け
ライディングジャケットを選ぶ上で重要な「レザー」と「テキスタイル」の特徴、そして見落としがちな「安全規格(CE規格)」について解説してみると・・・。
レザーとテキスタイルの徹底比較
| 特徴・性能 | レザージャケット(本革) | テキスタイルジャケット(合成繊維) |
| 最大の強み | 圧倒的な耐摩耗性、引き裂き強度、高い耐久性 | 軽量さ、全天候対応(防水・防風)、通気性 |
| 転倒時の耐久性 | 複数回の転倒にも耐えうる(損傷の程度による) | 基本的に「1度の転倒で使い捨て」となることが多い |
| デメリット | 重量がある、雨(水)に弱い、夏場に蒸れやすい | 高速域での滑走において、摩擦熱で溶ける可能性がある |
| デザインの魅力 | 時間とともに体に馴染み、美しい経年変化(パティナ)が楽しめる | カラーバリエーションが豊富で、カジュアルに着こなせる |
| 価格帯 | 比較的高価(初期投資は大きいが長寿命) | 比較的安価に入手可能(シーズンごとの買い替えが容易) |
ライダーが知っておくべき「CE規格」の基礎知識
多くのハイエンドなライディングジャケットには、肘、前腕、肩などの重要部分に「プロテクター(アーマー)」が標準装備されており、ここで目安となるのが、欧州の安全基準である「CE(Conformité Européenne)規格」。
ウェア全体の保護性能はテストを経て「Class C」から最高峰の「Class AAA」まで格付けされており・・・。。
- Class AAA: 最高レベルの保護性能。主にフルレザーのレーシングスーツに適用されるものの、一部の最高級レザージャケットやヘビーデューティなジーンズにも付与される
- Class A / B: 街乗りレベル(ストリート走行)で必要とされる最低限の耐摩耗性を満たしているという基準
なお、内部の「プロテクター(アーマー)単体」に対するCE規格はウェア本体とは異なり、衝撃吸収能力に応じて「Level 1」と「Level 2(より高性能)」に分類され、安全性を追求するなら、ウェア自体のクラスだけでなく、中のプロテクターのレベルも確認することが重要です。

絶対にやってはいけない「ファッションレザー」でのライディング
なおジャケットを購入する際には重要な注意点があり、それは、「ファッション用レザージャケットでバイクに乗ってはいけない」ということ。
一見すると、アパレルブランドの革ジャンもバイク用の革ジャンも同じように見えるかもしれませんが、しかしその中身(設計)は完全に別物です。
ライディング用のレザージャケットは、転倒時の衝撃を計算して「革の厚み(一般的に1.2mm〜1.4mm以上)」が十分に確保されており、縫製に使用される糸も強靭なナイロン糸などでトリプルステッチ(三重縫い)されるなど、破断しないための特殊な加工が施されています。
また、乗車姿勢(前傾姿勢)に合わせた立体裁断になっており、前述したCE規格適合のプロテクターを装着するためのポケットがあらかじめ備わっています。
一方で、ファッション用の革ジャンは「軽さ」や「柔らかさ」「デザイン性」を最優先しているため、革が非常に薄く、転倒時の摩擦であっけなく破れてしまい、バイクに乗る際は、必ず「モーターサイクル専用」として開発されたレザージャケットを選ぶようにする必要があるわけですね。
初期投資は高いが、最終的に「最も安上がり」で愛着の湧く選択肢
レザーには「重い」「雨に対応しにくい」「最初は硬くて体が動かしにくい(慣らし期間が必要)」という欠点があるのもまた事実。
そのため雨天時の通勤や、のんびりとした街乗りがメインであれば、優れたプロテクターを備えたテキスタイルジャケットの方が快適で合理的な選択になることもあり、しかし、ひとたび万が一の事態が起きたとき、ライダーを重大な怪我から守り、文字通り「身代わり」になってくれるのは間違いなくレザーです。

さらに、テキスタイルジャケットは激しい転倒を喫すると繊維が破れて一発廃棄になりますが、上質なレザーであれば、適切なメンテナンス(オイル補給など)を行うことで、傷をも「勲章」として刻みながら何十年も着用し続けることができ、さらには使い込むほどにライダーの体形に馴染み、独特のツヤと風合い(パティナ)を醸し出すという「ほかにない特徴」も。
つまるところ、レザージャケットは、単なる装備を超えバイクライフの歴史を共に歩む「最高の相棒」になってくれるというわけですね。
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