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フェラーリがマニュアル・トランスミッションを復活させる?ただし「物理的な接続を持たないクラッチペダル」を介した”デジタル時代の超リアル疑似MT”に

フェラーリのクラシックカーのコクピット

| やはりフェラーリも「”フェイク” マニュアルトランスミッション」へと向かうのか |

ガソリンからEVへの「過渡期」において、疑似MTは避けることができない流れなのかもしれない

「速さを求めて」マニュアルトランスミッション(MT)を捨てたフェラーリではありますが、まさかの「偽物のクラッチ」でMTを復活させるかもしれないというニュース。

その根拠となるのがCARBUZZが発見したフェラーリによる特許申請で、内容を簡単に説明すると「トランスミッションやエンジンと物理的に一切繋がっていない、独立した電子制御クラッチペダル、その操作によってトルクのカットを行う」というものです。

この記事の要約(20秒でわかるポイント)

  • 謎の特許が発覚: フェラーリが「パワートレインと機械的に接続されていない独立型クラッチペダル」の特許を出願
  • 超リアルな踏み応え: 単なるバネではなく、ピストンと特殊なカム形状を組み合わせることで、本物のクラッチ特有の「ミート感(重さの変化)」を完全再現
  • EV・デジタル時代の救世主: 2012年にMTを完全廃止したフェラーリが次世代EVや最新DCT車に「走る歓び(エモーション)」を取り戻すためのゲームチェンジャーとして検討中
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フェラーリはマニュアル・トランスミッションを「切り捨てた」が

2012年の「カリフォルニア」を最後に、すべてのラインナップからマニュアルトランスミッションを排除し、電光石火のF1そしてデュアルクラッチトランスミッション(DCT)へと完全移行したフェラーリ。

最高のアブソリュート・パフォーマンス(絶対的な性能)を追い求める彼らではありますが、米国特許商標庁(USPTO)へと極めて興味深い特許を出願していたことが判明しており、「究極の効率」を求めてMTを排除したにもかかわらず、なぜフェラーリはあえて「3本目のペダル」を車内に戻そうとしているのか。

その驚きの仕組み、そして彼らが目指すドライビングプレジャーの未来について考えてみたいと思います。

ゲーム用ハンコンとは次元が違う「クラッチバイワイヤ」の仕組み

「どこにも繋がっていない電子クラッチ」と聞くと、PlayStationやPC用のリアルなレースシミュレーター(ハンコン)に付属するペダルを思い浮かべるかもしれません。

しかし、数千万円から億単位の価格を誇るイタリアンエキゾチックカーに対し、ゴムバンドや単純なスプリングで戻るだけのオモチャのような機構を採用するわけにはゆかず、フェラーリがまず特許で指摘したのは”既存の電子クラッチペダルの弱点”で、それらは多くのスプリングを必要とし、調整が難しく、構造が複雑でコストがかかりすぎるという問題に触れています。

そこでフェラーリが考案した新機構は、極めてエレガントかつシンプルなもので・・・。

  • ピストンとスプリングの融合: 足の力に抵抗し、ペダルを自然に戻すための基本構造。
  • 緻密に計算された「カムプロフィール(形状)」: ペダルがピストンに接触する面に、特殊な角度のカムを採用。
フェラーリ849テスタロッサに積まれるV8ツインターボエンジン

これにより、ペダルを踏み込んでいくにつれて足にかかる負荷が非線形に変化することになり、つまり、本物の機械式クラッチにある「最初は重く、ある点を過ぎるとフッと軽くなり、また奥で踏み応えが出る」という独特のミートポイント(反力曲線)を完全に再現することができることになり、フェラーリはこのシステムを「比較的シンプルで経済的」と説明しています。

ただ、ちょっと気になるのはクラッチが繋がるあの瞬間」「半クラッチ状態」をフィードバックとして返すことができるのかということで、これがなければ、いかにタッチが「リアル」だとしても、「スイッチの域を出ない」のかもしれません。

次世代EVやDCTに革命を起こす可能性

この特許の最も興味深いポイントは、「どのエンジン(パワートレイン)に組み合わせるかが明記されていない」点にあって、特許にはただ「道路を走る車両用(for road vehicles)」とだけ記載されており、ここからこの技術が今後の自動車市場で以下のような役割を果たす可能性が浮上しています。

1. 次世代パフォーマンスEV(電気自動車)への搭載

最も有力視されているのが、フェラーリが開発を進めているピュアEVへの応用で、EVは本来ギアチェンジを必要としませんが、すでにヒョンデが「アイオニック5 N」で擬似的なパドルシフトとエンジンサウンドを再現し、世界中で大ヒットを記録しているのは記憶に新しいところ。

フェラーリはこれに「3本目のペダル(クラッチ)」を加えることで、デジタルEVの中に強烈なアナログ体験(エモーション)を閉じ込めようとしているのだともと考えられ、しかし出願の時期を考慮すると、そして「ガソリン車の模倣ではなく全く新しい乗り物」としての開発がなされていることを考えるならば、ルーチェへの搭載は「ない」のかもしれません。

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2. 現行のDCT(デュアルクラッチ)やAT車への統合

そしてもうひとつは従来のガソリンエンジン車やハイブリッド車のDCTと組み合わせるパターンで、ドライバーがこの疑似クラッチを踏み込んだ瞬間、センサーが感知して一時的にエンジンの出力をカット、またはクラッチを切ったような制御を行うことになり、これによって電光石火のパドルシフトだけでなく、「自分でクラッチを蹴り込んでギヤを叩き込む」という古典的なスポーツドライビングをシミュレートできるようになります。

しかしながら、「いったんMTを捨てた」こと、そしてその目的が「速く走るため」であったこと、さらにフェラーリのバックボーンがモータースポーツにあることなどを考慮すると、この「疑似MT」を”ガソリンエンジンを積むスポーツモデル”に搭載することに納得できるファンは多くないのかもしれません。

フェラーリ849テスタロッサのインテリア〜メーター

電子制御クラッチペダル(フェラーリ特許)の特徴一覧

項目詳細・特徴
接続方式完全なバイワイヤ方式(エンジンやギヤボックスとの物理的接続なし)
反力シミュレーションピストン、スプリング、および特殊設計のカムプロフィールによる機械的再現
ドライバーへのメリット本物の機械式クラッチと遜色のない「ミート感」や「踏み応えの変化」を足裏にフィードバック
構造の特徴従来の電子ペダルより部品点数が少なく、シンプルかつ低コスト
想定される用途ガソリン車のDCT/ATの制御シミュレート、および次世代ハイパフォーマンスEV(電気自動車)
データ連携センサーによりペダルの位置や速度を検知し、ECU(車両コンピューター)が即座に駆動力を制御

競合他社との「アナログ体験」開発競争

実は、デジタル技術を使ってアナログの楽しさを残そうとしているのはフェラーリだけではなく、自動車業界では今、この「エモーショナル・シミュレーション」の開発競争が勃発しています。

  • ケーニグセグ(Koenigsegg): 「CC850」に搭載されたライト・スピード・トランスミッションでは、オートマチックとしても機能しながら、車内にはゲート式のシフトレバーと「クラッチペダル」が用意され、実際にエンストまで再現するシステムを市販化※これはほぼ本物のMTだと考えていい
  • ポルシェ(Porsche): EV向けとして、オートマティックモードとHパターンのシフトレバーをカチャカチャと動かして擬似ギヤチェンジを楽しめる「デュアルファンクション・シフター」の特許を出願中
  • ヒョンデ(Hyundai): 前述の「アイオニック5 N」のパドル擬似シフトに加え、さらに手元でシフトレバー操作できる擬似マニュアルシフターの特許を申請している

かつては「効率」と「速さ」のために駆逐されたマニュアル操作ではありますが、現代のハイパースポーツ市場では「目的地にどれだけ早く着くか(性能)ではなく、その道のりをどれだけ楽しめるか(エモーション)」に価値のパラダイムシフトが起きていることは間違いなく、そしてそれはフェラーリにとっても見過ごすことができない「新しい流れ」なのかもしれませんね。

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最高のエンターテインメントとしての跳ね馬

純粋な自動車愛好家(ピュアリスト)の中には、「どこにも繋がっていないフェイクのクラッチなんて邪道だ」と嫌悪感を抱く人がいるかもしれません。

しかし、スポーツカーやスーパーカーに乗る人の価値観はこの数年で大きく変わっていて、フェラーリも顧客を満足させるならば「乗る者を狂熱させるエンターテインメント」を提供する方向へと向かわねば会社の存続自体が危うくなるのかも。

こういった流れもありフェラーリは「環境規制や時代の流れでEV含む電動化を受け入れつつ」も、ドライバーが左足と右手を使って車と対話する「あの神聖な儀式」を蘇らせようとしているのでは、とも考えます。

デジタルとアナログを最高次元でブレンドし、退屈な電動化時代に強烈なカウンターを喰らわせるフェラーリの「嘘の本物」。

このペダルが実際にマラネロの最新スーパーカーに搭載されるとなれば、ぼくらの左足を再び熱くさせてくれることになるのは間違いないものと考えています。

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参照:CARBUZZ

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