>フェラーリ

現行フェラーリにはない「V12×6速マニュアル」がレストモッドで奇跡の復活。さらにはタルガトップを備えた「ヴェローチェ12 アペルタ」が限定発売

カロッツェリア トゥーリング スーパーレッジェーラによるフェラーリ550のレストモッド、12 アペルタのエクステリア〜フロント

Image:Touring Superleggera

| 名門カロッツェリアが放つフェラーリ550ベースのレストモッド |

いまほどカロッツェリアが輝く時代はないであろう

2026年現在、フェラーリをはじめとするスーパーカーブランドの最新ラインナップを見渡しても、ターボチャージャーやハイブリッド、そして電光石火のデュアルクラッチ(DCT)が主流となり、ぼくらがかつて愛した「大排気量自然吸気エンジンを、自らの手でシフトレバーを操って走らせる」という原始的な歓びが完全に失われているというのが実情かと思います。

しかし、その「失われた聖域」を現代の最高峰テクノロジーと至高のエレガンスによって現代に呼び覚ました名門が存在し、それがイタリア・ミラノに本拠を置く老舗カロッツェリア「トゥーリング・スーパーレッジェーラ」。※こんな時代だからこそ小規模カロッツェリアの存在意義が際立つように思う

同社は過去にも「ヴェローチェ12(下の画像)」を発表していますが、今回はそのオープンバージョンである「Veloce12 Aperta(ヴェローチェ12 アペルタ)」を公開しており、ここでは現代のスーパーカーが失ってしまった官能美を宿す「世界一贅沢な”マニュアルV12”」について見てみましょう。

この記事の要約

  • マニュアルV12の奇跡的な復刻: 最新のフェラーリでは絶対に手に入らない「自然吸気V12エンジン×6速マニュアル(ゲート式MT)」というクルマ好き垂涎の組み合わせが、高級レストモッドとして蘇る
  • 名門カロッツェリアの100周年記念車: イタリアの高名なアトリエ「トゥーリング・スーパーレッジェーラ(Touring Superleggera)」が、その創立100周年を祝う特別な1台として世界初公開
  • 伝説のGT「フェラーリ 550」がベース: 1990年代後半を代表する伝説のFR(フロントエンジン・後輪駆動)グランドツアラー「550マラネロ」をドナーカーとして贅沢に使用
  • 究極のタルガトップスタイル: すでに発表されているクーペ、バルケッタ(完全オープン)に続き、ルーフパネルを外してトランクに収納できるポルシェ911テイストの「タルガ(Aperta)」スタイルを新提案
  • フルカーボンボディと洗練のアナログ: 外装はすべてカーボンファイバーで再構築され、内装は大型スクリーンを排除。レザーとアルミニウムが織りなす「本物のクラフトマンシップ」を追求
カロッツェリア トゥーリング スーパーレッジェーラによるフェラーリ550のレストモッド、12 アペルタのエクステリア〜リア

Image:Touring Superleggera

ヴェローチェ12 アペルタ:概要

トゥーリング・スーパーレッジェーラが創立100周年という記念すべき節目に発表した「Veloce12 Aperta」は、彼らが過去2年間にわたって展開してきた「Veloce12」プロジェクトの集大成となる第3のモデル。

2024年8月に登場した「クーペ」、昨年の「バルケッタ(ロードスター=下の画像)」に続き、今回は最もロマン溢れる「タルガトップ(Targa)」仕様として登場しています。

そのベース(ドナーカー)となっているのは1990年代のフェラーリを代表するフロントエンジンV12の傑作「550マラネロ」で、オーナーが持ち込んだ550マラネロは一度骨格が見えるまで分解され、外装パネルのすべてが専用にデザイン・製造された軽量かつ強靭な「カーボンファイバー製」へと置き換えられることに。

オリジナルの550の面影を絶妙に残しつつも、フロントマスクにはブラックアウトされた大型グリルやカーボン製のフロントスプリッター、冷却効率を高める追加のインテーク、そして現代的なLEDヘッドライトが奢られ、1990年代のエッジと現代の洗練が見事に融合しています。

何よりも美しいのは、本来の固定式ルーフを取り去り、シート後方に美しい彫刻のようなアルミニウム製のロールフープ(彼らはこれをマシンの『王冠』と呼ぶ)を配したタルガスタイルで、取り外した2枚のルーフパネルは特別に仕立てられたトランクスペースへとスマートに収納できるという構造を持つことに。

このマシンのコンセプトは、サーキットのラップタイムを競う冷徹なスピードマシンではなく、週末にパートナーと極上のロードトリップを楽しむための「究極のウィークエンダー」。

そのためインテリアからは昨今のEVや新型SUVに見られるような「巨大なタッチスクリーン」が徹底的に排除されており、そこにあるのは精緻なアナログメーターと、触れるだけでため息が出るような最高級レザー、そして削り出しのアルミニウムパーツのみ。

1960年代の名車「マセラティ 3500 GT」をオマージュしたホワイトとバーガンディ(ワインレッド)のレザー内装が"乗る者を非日常のラグジュアリー"へと誘うかのようですね。

カロッツェリア トゥーリング スーパーレッジェーラによるフェラーリ550のレストモッド、12 アペルタのインテリア〜全景

Image:Touring Superleggera

トゥーリング・スーパーレッジェーラ Veloce12 Aperta 推定スペック

項目詳細仕様
ベース車両(ドナー)フェラーリ 550マラネロ(550 Maranello)
エンジン5.5リッター V型12気筒 自然吸気(NA)「F133型」完全再構築
最高出力503馬力 / 7,000 rpm (オリジナル比+25馬力)
最大トルク760 Nm(スーパースプリント製高性能マフラー&冷却系刷新)
トランスミッション6速マニュアルトランスミッション(ゲート式MT)
駆動方式FR(フロントエンジン・後輪駆動)
ボディ素材フルカーボンファイバー(大幅な軽量化を達成)
足回り・ブレーキTracTive製アクティブダンパー / Brembo製高性能ブレーキシステム
パフォーマンス0-100 km/h加速:4.4秒 / 最高速度:290 km/h
荷室容量327リットル(専用ビスポーク・ラゲッジバッグ付属)
車両価格・生産台数生産台数は極少数限定。参考:クーペ版は世界限定30台、コーチビルド代金のみで69万ユーロ(約1億1,000万円)〜 +ドナーのフェラーリ550が別途必要。

独自の市場ポジション:なぜ現代の富裕層はこれに億を払うのか?

スペックを見ても分かる通り、0-100km/h加速4.4秒という数字は現代の最新スーパーカーと比較すれば決して速いわけではありません。

しかし、この車の価値は「デジタルな速さ」ではなく、「二度と手に入らないアナログな官能性」にあり、職人の手によって完全に分解・精密にリビルドされた5.5LのV12エンジンはイタリアの老舗「スーパースプリント(Supersprint)」製の特注エキゾーストシステムとカーボン製インテークによって最高出力503馬力までスープアップ。

ルーフを開け放ち、金属製のシフトゲートにレバーを滑り込ませるたびに、遮るもののないV12の極上の咆哮が乗り手の五感を満たします。

カロッツェリア トゥーリング スーパーレッジェーラによるフェラーリ550のレストモッド、12 アペルタのインテリア〜シート

Image:Touring Superleggera

結論

世界的な超富裕層コレクターたちの間では、あまりにもデジタル化・エレクトリック化が進む現代ハイパーカーへの反動から、こうした「本物の機械との対話」ができる超一級のコーチビルド(特注ボディ製造)やレストモッド(クラシックカーの近代化カスタム)へと興味の対象が移行しており、そのためこれらに対する需要が爆発的に高まっているというのがいまの状況。

自動車業界全体がEVシフトや環境規制の狭間で揺れ、ブランドのヘリテージが薄れつつある現代において、トゥーリング・スーパーレッジェーラが提示した「Veloce12 Aperta」はクルマが最も美しく、最も情熱的だった時代への熱いラブレターともいえるもの。

価格についてはドナーとなるフェラーリ550マラネロの車体代金に加え、1億円を軽く超えるモディファイ費用が必要となるため、手に入れられるのは世界でもごく限られたエリートコレクターのみとなりますが、こうした芸術品が存在し続けること自体が、ぼくら「本物の内燃機関とマニュアル・トランスミッションを愛する者」にとっての大いなる希望となりえます。

最新のフェラーリがどれほど洗練されたとしても(そして疑似MTを装備したとしても)、この2枚のルーフを外し、ゲート式MTを自らの手で操ってV12エンジンをレッドゾーンまで響かせる瞬間の美しさには追いつくことはできないのかもしれません。

カロッツェリア トゥーリング スーパーレッジェーラによるフェラーリ550のレストモッド、12 アペルタのインテリア〜シフトノブ

Image:Touring Superleggera

合わせて読みたい、フェラーリ関連投稿

伊名門コーチビルダーがフェラーリ550マラネロのレストモッド「ヴェローチェ12」を発表。製造するのは30台のみ、改装費用は1億円オーバー
伊名門コーチビルダーがフェラーリ550マラネロのレストモッド「ヴェローチェ12」を発表。製造するのは30台のみ、改装費用は1億円オーバー

Image:Touring Superleggera | フェラーリ550マラネロの美しさはそのままに、その芸術性と質感が最大限にまで引き上げられる | このヴェローチェ12の内外装は最高の技術をもっ ...

続きを見る

【魂の咆哮】9,000回転の衝撃。伝説のフェラーリF355が「別次元の怪物」として現代にレストモッド車両として蘇る
【魂の咆哮】9,000回転の衝撃。伝説のフェラーリF355が「別次元の怪物」として現代にレストモッド車両として蘇る

Image:Evolito Automobili | デザインはあのイアン・カラム、F355の新しい伝説がいま始まる | フェラーリ史上最も美しい一台とも評される「F355」が現代の技術で究極の進化を ...

続きを見る

マチューロによるフェラーリ308のレストモッド「308ストラダーレ」全景
これからのトレンドなるか。フェラーリ308のレストモッド「マチューロ308ストラダーレ」誕生。V8自然吸気400馬力、前後オーバーフェンダーにて完全武装

| まだまだフェラーリのレストモッドは市民権を得ている状態ではないが | 今後、自由な発想でカスタムされるフェラーリが増えることを期待したい フェラーリが初の電気自動車(EV)「ルーチェ」を世界初公開 ...

続きを見る

参照:Touring Superleggera

->フェラーリ
-, , , ,