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| メルセデスAMGのCEOが「どうやって顧客を納得させるのか」について語る |
正直、かなり苦しい戦いになるのは間違いないが、成功すれば「唯一の勝者」である
メルセデスAMGといえば、大排気量のV8エンジン、唸るような爆音、そして他の追随を許さない圧倒的な過激さを誰もが思い浮かべるかと思います。
しかし新しく発表されたスーパーセダン「AMG GT 4ドアクーペ」の次世代モデルは「エンジンを完全に捨て去り、バッテリーとモーターで駆動するピュアEV」へと舵を切っており、歴史的に見てもエンジンを小型化したり完全に排除したAMGモデルは(特に北米のような巨大市場で)苦戦を強いられきたという実績も。
さらにメルセデスAMGはつい最近「4気筒エンジンを廃止する」とコメントするなど大排気量エンジンへの回帰を示したばかりでもあり、ほとんどの人が「大丈夫かメルセデスAMG」と考えているかと思います。
そして今回、この真っ当な疑問に対し回答を示したのが、メルセデスAMGの最高経営責任者(CEO)であるマイケル・シーベ氏で、同氏いわく「明確な勝算を持っている」。
ここで彼が導き出した、パフォーマンスEVを売るための「シンプルかつ強力なゲームプラン」を見てみましょう。
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この記事の要約
- メルセデスAMGが誇るスーパーセダン「GT 4ドアクーペ」が次世代モデルでV8エンジンを廃止し、完全なEV(電気自動車)へと生まれ変わる
- 最高出力は驚異の1,153馬力、0-60マイル加速はわずか2.0秒。F1由来のバッテリー技術や世界初の「アキシャルフラックスモーター」を3基搭載
- 「EV性能車は売れない」という現在の市場のジンクスに対し、AMGのマイケル・シーベCEOは「とにかくハンドルを握らせる、乗ればすべてが変わる」と確固たる戦略を示す
- V8エンジン独特の「感情に訴える咆哮」を愛してきた既存の熱狂的ファン(ギヤヘッド)を納得させるため、1,600以上のサウンドファイルを駆使した音響システムも搭載
V8を捨てたAMGは本当に売れるのか?CEOが導き出した答えとは
失敗から学んだAMG、「乗ればリアルがわかる」
現在のパフォーマンスEV市場は、世界的に見ても決して大きなものではなく、(おそらくはもっとも規模が大きいと思われる)アメリカ市場を例に挙げても、ヒョンデ「アイオニック5 N」、よりプレミアムなアウディ「e-tron RS GT」などが存在感を放っているものの、販売台数という面では苦戦を強いられているのもまた事実。
しかし、シーベCEOはこうした市場の停滞や、自社のEQE AMGでの失敗体験をネガティブには捉えておらず、「過去数年間の市場を観察してこなかったとしたら、それこそ愚かというもの。競合が何をして、何が成功し、何が失敗したかはすべて把握している」と自信をのぞかせているわけですね。

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彼が掲げる必勝法は、極めて泥臭く、しかし自動車ビジネスの本質を突いたもので・・・。
「何よりもまず、プロダクトそのものが本物でなければならない。私は、この新型EVがパフォーマンスセグメントにおける電動ドライブを全く新しい次元へ引き上げると確信している。
その上で、ディーラーへの徹底的なトレーニングと、膨大な試乗の機会を提供する。なぜなら、このクルマは『体感』しなければ意味がないからだ。お客様を何としてもステアリングホイールの前に座らせる。体験してもらうこと、それだけがすべてだ」
市場には「EVにはエモーション(感情)がない」という先入観が根強く残っており、しかしシーベCEOによれば、すでにプロトタイプのステアリングを握った人々は、その「リアルな手応え」に深く感銘を受けていると述べています。
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新型メルセデスAMG GT 4ドアクーペ(EV)の概要とスペック
新型「AMG GT 4ドアクーペ」は、メルセデス・ベンツの既存のプラットフォームを流用したEQシリーズとは異なり、完全なAMG専用開発の電動アーキテクチャ「AMG.EA」をベースにして開発されたもの。
最大の特徴は、世界で初めて量産車に採用される「アキシャルフラックス(軸方向磁束)モーター」を3基(フロントに1基、リアに2基)搭載している点で、従来のモーターに比べて非常に薄型・軽量でありながら、桁違いの連続出力とトルクを引き出すことが可能になったとされ、さらにはF1(フォーミュラ1)やハイパーカー「AMG ONE」の知見を詰め込んだ800Vの超高性能バッテリーが驚異的な充放電パフォーマンスを支えている、と説明されています。

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【車両スペック・特徴】
- 駆動方式: 3モーター駆動(フロント×1、リア×2)
- モーター技術: YASA製アキシャルフラックスモーター(量産EV世界初)
- バッテリー容量: 106 kWh(800ボルト高電圧アーキテクチャ)
- 最高充電出力: 600 kW(わずか10分で約460km分の航続距離を充電可能)
- サウンドシステム: 「AMGFORCE S+」モードを搭載。往年の名車「AMG GT R(C190)」などのV8エンジン音をベースにした1,600以上のオーディオファイルをリアルタイムでミックスし、変速時のGやシートベルトの締め付けまで完全再現
| モデル・グレード(予定) | 最高出力(ブースト時) | 最大トルク | 0-60マイル(約96km/h)加速 |
| AMG GT 55 4ドアクーペ | 805 hp (600 kW) | 1,800 Nm | 約 2.5 秒(ロールアウト含む) |
| AMG GT 63 4ドアクーペ | 1,153 hp (860 kW) | 2,000 Nm | 2.0 秒フラット |
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市場でのポジショニングと「エンジン音なきハイパフォーマンス」の未来
新型AMG GT 4ドアクーペEVのデリバリーは2026年後半に北米をはじめ各市場で開始される予定だとされ、価格は未発表ではあるものの従来のV8エンジン搭載モデルと同等か、それを超えるハイエンドな価格帯になることは間違いない、と見られています。
このクルマのライバルとなるのは、ポルシェ「タイカン・ターボGT」や、テスラ「モデルS プラッド」、あるいはルシード「Air」といった、1,000馬力オーバーの超高性能電動セダンたちで、しかし、AMGが戦わなければならない本当の敵は、スペック上の競合車ではなく、「エンジン音やメカニカルな振動のないハイパフォーマンスカーに、大金を払う価値があるのか」というユーザーの心理的ハードルそのものなのかもしれません。

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ポルシェがタイカンにて電動スポーツカーにおけるハンドリングの正解を示し、ヒョンデがアイオニック5 Nで「擬似ギアシフト」による運転の楽しさを提案したように、エレクトリックパフォーマンスカー市場は「ただ速いだけ」のフェーズを終え、「いかにエモーショナルか」の戦いに突入しています。
そして今回、メルセデスAMGが投入する1,600以上のサウンドファイルを駆使した音響システムやトルクベクタリングによる超次元のコーナリング性能は、まさにその答え(の一部)とも言えるもの。
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「語る」よりも「走らせる」ことがEV時代のブランドを守る
メルセデスAMGが歩んできた歴史は、常にモータースポーツの情熱とともに出力や音の限界を押し広げる旅であったとも考えてよく、それがゆえにV8エンジンから電動パワートレインへの移行は、ブランドの歴史上最も危険、かつ最も野心的な挑戦です。
重量の増加や価格の高騰など、電動パフォーマンスカーには依然として多くの課題がつきまといますが、しかしバッテリー技術が進化し、より軽量で高効率なモーター(アキシャルフラックスなど)が実用化された今、ハードウェアとしてのポテンシャルはかつてのガソリン車を遥かに凌駕するレベルに達しています。

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シーベCEOが言うように、これほどドラスティックに進化した製品の魅力を伝えるには、スペックシートを何時間眺めるよりも、「たった1回の試乗」の方が遥かに効果的で、シートに背中が張り付くような2.0秒の加速、ガソリン車ではあり得ないレスポンスで曲がるコーナリング、そして五感を刺激する演出。
これらを実際に体験した顧客が増えたとき、初めて「EV時代のAMG神話」が幕を開けることになるはずで、この挑戦の成否は2026年末、ディーラーに実車が並び、最初の顧客がステアリングを握った瞬間に決まるのかもしれません。
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参照:Motor1










