
| どこかで「EVに対する偏見」を、いずれかの自動車メーカーが払拭せねばならない |
そしてメルセデスAMGはその役割を担おうとしている
メルセデスAMGが現在開発を進めている次世代の「GT 4ドア(EV)」。今回、「AMG EA」という呼称があわせて用いられている
これは現行モデルのAMG GT 4ドアクーペから電動化への移行にとどまらず、V8エンジンの咆哮、シフトチェンジの衝撃、そして猛烈なタイヤスモークといった「かつてのAMG」の象徴を現行モデルよりも「さらに濃密に」再現するEVだとされています。
つまるところ、「EVは退屈だ」と切り捨てる熱狂的なファンを振り向かせるためにAMGがそのプライドをかけて挑む、「EV嫌いのためのEV」という、ブランド史上最も野心的なプロジェクトというわけですね。
この記事の要約(まとめ)
- EV嫌いのためのEV: V8エンジンの音、擬似的なギアチェンジ、シートへの振動フィードバックを完璧に再現
- 驚愕の1000馬力オーバー: F1ドライバーのジョージ・ラッセルも驚く、異次元の加速性能
- ドリフトマシンとしての血統: Yasa(ヤサ)製アキシャルフラックスモーターと高度なトルクベクタリングにより自在なスライド走行が可能
- AMG専用プラットフォーム: メルセデスの既存モデルとは共有しない、独自の「AMG.EA」800Vプラットフォームを採用

-
-
【驚異の出力密度】重量わずか13kg、出力738馬力の次世代EVモーターが登場。開発元はメルセデス・ベンツが買収した「Yasa」
Image:Mercedes-Benz | エレクトリックモーターの常識が変わる瞬間がやってきた | エレクトリックスポーツ、ハイブリッドスポーツに「新たな可能性」 エレクトリックモーターの小型化・軽 ...
続きを見る
「V8の魂」を電気で再現する、AMGの新たな挑戦
「エンジン音のないAMGなんて、AMGじゃない」――そう考えるファンは少なくはなく、実際に「4気筒」ですら拒絶されるというのが現状で、つまりメルセデスAMGにとって「大排気量エンジン」は必要不可欠なものであり、「EVなどもってのほか」というのがいまの状況かと思います。
-
-
ついに「メルセデス・ベンツ史上最悪の失敗作」とされた4気筒版AMG C63が生産中止へ。「テクノロジーの傑作」とされながらもなぜファンに拒絶され短期間での終焉を迎えたのか
Image:Mercedes-Benz | ファンが待ち望むV6/V8エンジン復活の道 | 短命に終わった「技術の傑作」 メルセデスAMGの最新世代「C63」は、かつての轟音を響かせるV8エンジンから ...
続きを見る
しかし、AMGが公開した最新のテスト動画はそんな懐疑的な見方を一蹴するもので、この新型「EV GT」は強烈な馬力を誇るだけの直線番長ではなく、加速時のサウンド、変速時のショック、そして路面からのフィードバックに至るまで、従来のガソリン車が持つ「情熱」をデジタルとメカニズムの両面からシミュレートしたクルマ。

これは効率を重視する一般的なEVとは正反対の、「操る楽しさ」に全振りした1台というわけですね。
ただ、ぼくが思うのは「EVにおいて楽しさを強調するためにガソリン車を模倣するのはどうか(EVであればEVにしかできない方法で楽しさを追求すべきである。中国で売ろうと思えばなおさらである)」ということですが、それはさておき、新型AMG GT 4ドアEVについて見てゆきましょう。
詳細:F1直系の技術が支える「最強のEVアーキテクチャ」
このクルマの核となるのは、メルセデス・ベンツの標準モデルとは一切共有されない、AMG専用の「AMG.EA」プラットフォームであり・・・。
1. Yasa製アキシャルフラックスモーターの採用
最大の特徴は、メルセデス・ベンツ傘下にある英ヤサ(Yasa)社製の「アキシャルフラックス(軸方向磁束)モーター」を搭載している点で、このモーターは従来のエレクトリックモーターに比べてサイズは約3分の1、重量は3分の2という驚異的なコンパクトさを誇るもの。
これにより、軽量化と高出力を高次元で両立させている、というわけですね。
-
-
【驚異の出力密度】重量わずか13kg、出力738馬力の次世代EVモーターが登場。開発元はメルセデス・ベンツが買収した「Yasa」
Image:Mercedes-Benz | エレクトリックモーターの常識が変わる瞬間がやってきた | エレクトリックスポーツ、ハイブリッドスポーツに「新たな可能性」 エレクトリックモーターの小型化・軽 ...
続きを見る
2. 自由自在なトルクベクタリングとドリフト性能
EV版メルセデス AMG GT 4ドアクーペはリアに2基、フロントに1基の計3基のモーターを搭載しており、後輪の各ホイールを個別のモーターが駆動することで”ミリ秒単位の精密なトルク制御”を実現します。
F1ドライバーのジョージ・ラッセルによれば、アクセルをわずか40%踏み込むだけで派手なドリフト走行が可能とのことで、センターコンソールのダイヤル操作によってレスポンスやシャーシの挙動、トラクションコントロールの介入度を自在に操ることができるのだそう。
-
-
メルセデス AMGの「ドリフトモード」はエレクトリック時代も健在。新型GT 4ドアEVが北極圏にて華麗なドリフトを披露【動画】
| エレクトリック時代になり「より緻密な制御が可能に」 | 記事の要約(ハイライト) 1,300馬力超のモンスターEV:次期「メルセデスAMG GT 4ドア」のピュアEVモデルが市販化に向けた最終テス ...
続きを見る
新型メルセデスAMG EV GT(プロトタイプ)のスペック
| 項目 | スペック・特徴 |
| プラットフォーム | AMG.EA (800V専用アーキテクチャ) |
| 最高出力 | 1,000 HP 以上 |
| モーター構成 | 3モーター (リア2基、フロント1基 / アキシャルフラックス方式) |
| バッテリー技術 | 800V超急速充電対応 |
| シミュレーション機能 | V8サウンド、擬似ギアチェンジ、シート振動フィードバック |
| 制御システム | トルクベクタリング、3モード調整ダイヤル |
-
-
【AMGが“疑似シフト”搭載EVを開発中】「ただの電気自動車では意味がない」──メルセデスが追求する“感情”と“V8の魂”
Mercedes-AMG | EVに“感情”を──AMGが挑む「電動でもワクワクできるクルマ作り」 | 疑似ギアシフト&V8風サウンドで“本物らしさ”を演出 多くの自動車メーカーが挑戦してきた「エモー ...
続きを見る
市場でのポジショニング:ポルシェ・タイカンへの強力な刺客
現在、ハイパフォーマンスEV市場をリードしているのは「ポルシェ・タイカン」や「ルーシッド・エア」ですが、メルセデスAMGが狙うのはそれらとは異なる「エモーショナルな体験」の提供です。
多くのメーカーが「いかに静かに、いかに滑らかに走るか」を競う中、メルセデスAMGはあえて「音」や「振動」という、かつてのガソリン車が持っていた「不純物(しかし、ファンには不可欠な要素)」をテクノロジーの力を借りて再現しようとしています。
これはブランドの歴史を次のページへと進めるための「大きな賭け」であると考えてよく、さらには、この4ドアに続き、同じパワートレインを共有するハイライディング(クロスオーバー)モデルの登場も示唆されているというのが現在の状況でもあり、メルセデスAMGの電動化攻勢はさらに加速することになれども「弱まることはない」というわけですね。
-
-
メルセデスAMGが1,000馬力超の「クーペSUV」も開発中?「セダン、SUV、クーペSUV」というハイパーEV軍団の結成へ
| メルセデスAMGは電動化を「継続」?この分野でのリーダーを目指す | メルセデスAMGが、そのブランドの歴史を塗り替える「1,000馬力超」の完全自社開発電動SUVの計画を加速させていることが明ら ...
続きを見る
結論:これは「電気で動く、紛れもないAMG」である
メルセデスAMGが目指しているのは、環境への配慮のみではなく、「電気の力で、ガソリン車以上の興奮を生むこと」。
1000馬力という数字以上に、ドライバーがステアリングを握った時に感じる「血が沸き立つ感覚」こそがこのクルマの真の価値と言え、「エレクトリックパワートレインだから」という理由でEV敬遠していた人こそが、この新型AMG GTの登場に期待すべきなのかもしれません。

合わせて読みたい、メルセデス・ベンツ関連投稿
-
-
メルセデスAMGが「専用に開発する」スーパーSUVのティーザー画像を公開。最新のEV専用プラットフォームを採用、ランボルギーニ・ランザドールやポルシェK1に先駆け市場に投入か
Image:Mercedes AMG | 現在、メルセデスAMGのトッププライオリティは「AMGであること」、第二は「電動化」である | メルセデスAMGはピュアエレクトリックカーであっても「顧客がつ ...
続きを見る
-
-
メルセデス・ベンツの新技術が「リアブレーキを車からなくす」?ブレーキ兼用超小型モーターが自動車の常識を覆す
Image:Mercedes-Benz | 同社傘下にあるYASAが画期的な技術を開発 | この記事のハイライト:YASAのモーターがブレーキシステムをどう変える? 衝撃の提案: メルセデス・ベンツ傘 ...
続きを見る
-
-
メルセデスAMG、新型モデルはすべて「バットマン的であるかどうか」を判断するテストをクリアする必要に迫られることに。次世代EV戦略とそのブランド哲学とは
| メルセデスAMGが掲げる「バットマン哲学」とは | メルセデスAMGはたしかに「バットマン」とのコラボレーションを行ったことがあるが メルセデスAMGはV8エンジンを縮小する一方、ブランドのアイデ ...
続きを見る
参照:Mercedes AMG










