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【試乗:ホンダ Super-ONE】これぞ現代のブルドッグ。 疑似シフトと95馬力ブーストが魅せる“新時代の痛快EVハッチ”、これが補助金適用で200万円で買えるとは

ホンダ SuperONEのエクステリア〜フロント
Life in the FAST LANE.

| 「EV」だと侮ることなかれ、まさかここまでの楽しさを誇るクルマだとは |

おそらくは「富裕層の新しい選択肢」としての需要があるものと思われる

さて、2026年5月に発売されたホンダのホットハッチEV、Super-ONEに試乗。

「EVの走りはどれもスムーズだけど退屈」――もしそんな先入観を持っているならば、このクルマは頭をガツンと殴られるような衝撃与えてくれる存在かもしれません。

ベースとなったのは軽EVの「N-ONE e:」ではありますが、実車を目の前にするとその佇まいは完全に別物で、往年の「シティ・ターボII(ブルドッグ)」を彷彿とさせるかのような「前後50mm拡幅されたブリスターフェンダー」そして大径16インチホイール、さらには専用のテールランプやリヤスポイラーなど。

この小さなボディに、ホンダが持つ走りの遺伝子をこれでもかと詰め込んだ“確信犯”的な1台がこのSuper-ONEというわけですね。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜リア全景
Life in the FAST LANE.

この記事の要約

  • 内外装にはホンダの「走り」のエッセンスが凝縮
  • 「BOOST」モードは常時使用したくなる楽しさ
  • 車内を満たす「快音」、しつけの良い足回りは「さすがホンダ」
  • N-Oneベースだからこそ実現できたこのコストパフォーマンス
  • 補助金を利用すればなんと「200万円ちょっと」でこのクルマを購入可能

「まさに現代のブルドッグ」

SuperOneのオプションには、かつてのシティターボII「ブルドッグ」を連想させるアクセサリーが存在しますが、実際のところSuper-ONEの佇まいはまさに「現代のブルドッグ」。

ベースとなった軽EV「N-ONE e:」の骨格を活かしつつ、普通車(Aセグメント)規格へとトレッド&フェンダーを拡幅したことで塊(カタマリ)感の強いワイド&ローなプロポーションに変貌しています。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜フロント全景
Life in the FAST LANE.

【主要諸元:ボディサイズ】

項目Super-ONE(普通車・Aセグ)[参考]N-ONE e:(軽自動車)
全長3,395 mm3,395 mm
全幅1,575 mm (+100mm)1,475 mm
全高1,535 mm (-10mm)1,545 mm
ホイールベース2,520 mm2,520 mm
トレッド(前/後)1,355 mm / 1,355 mm (+50mm)1,305 mm / 1,305 mm
最低地上高130 mm (-10mm)140 mm

サイズ感のポイント

① 「全長」は軽のまま、「全幅」だけを100mm拡大

全長は3,395mmと軽自動車規格のコンパクトさを完全に維持しているため、抜群の取り回しの良さは健在です。

一方で全幅は左右に50mmずつ(計100mm)広げられて1,575mmとなり、この拡幅分がそのまま「往年のシティ・ターボII」のような力強いブリスターフェンダーの膨らみとして見るものを圧倒し、実際にトレッド(左右のタイヤ間隔)も50mm拡大されることで車両の安定性を担保しているというわけですね。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜フロントフェンダー
Life in the FAST LANE.

② 機械式立体駐車場に余裕で収まる「全高1,535mm」

ベース車に対してサスペンションを10mmローダウン(低車高化)したことで、全高は1,535mmに抑えられ、これは一般的な都市部の機械式立体駐車場の制限(1,550mm以下)を余裕でクリアするため、出先での駐車場選びに困ることはまずないものと思われます。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜リアスポイラー
Life in the FAST LANE.

③ 絶妙な「塊感」と佇まい

ホイールベース(2,520mm)はN-ONE:eと変わらないため、前後オーバーハング(タイヤより外側のはみ出し)が非常に短く、四隅に大径16インチホイールが踏ん張るというデザイン。

よって正方形に近い「チョロQ」的な、あるいは「走るブリック(レンガ)」のような、密度感の高い独自の存在感を放つことに。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜リア
Life in the FAST LANE.

参考までに、Super-ONEのフロントグリル(エンブレムの左右)にある2つの充電口は「普通充電」と「急速充電」という、用途と充電スピードが全く異なる2つの規格に対応するために並べて配置されていて、そしてフロントパネルの「ツブツブ」は最近のホンダが好んで用いるテクスチャですね。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜フロントエンブレム
Life in the FAST LANE.

乗り込んだ瞬間から始まる「ホンダのスポーツカー」的演出

エクステリア同様、インテリアの演出も「さすがホンダ」ともいえるもので、ドアを開けると迎えてくれるのは体をタイトにホールドしてくれる専用のバケットシート。※シートのカラーはプレリュードのそれに近く、やはりこれも最近のホンダがスポーティーモデルに好んで用いるもの

内装の基本骨格はNシリーズ譲りの実用性を持ちつつ、目の前にはタコメーターを模したトリプルメーターが鎮座するほか、ステアリングホイールのスポークにはイメージカラーのパープルを使用した「BOOST」と記されたボタンが配置されるなど「雰囲気満点」。

ホンダ SuperONEのインテリア〜シート
Life in the FAST LANE.

走行に際してはダッシュボード右側にある「Power」スイッチを押してシステムを起動し、その後はセンターコンソールの「D」ボタンを押してあとはアクセルを踏むだけ。

なお、ドライブモードは「NORMAL」に加え街乗り向けの「CITY(回生ブレーキ強め)」、そして「ECON(エアコンや走行用モーターの出力特性がマイルドに押さえられる)」、「SPORT」、さらにもっともスパルタンな「BOOST」の5つ。

この「BOOST」モードのスイッチはステアリングの右親指が届く位置に配置されていて、つまり「いつでも押せる」位置にあるのですが、「どのモードに入れていても」BOOSTモードに入ることからも、ホンダがこれを積極的に使用してほしいと考えていることがわかります。

ホンダ SuperONEのインテリア〜ステアリングホイール
Life in the FAST LANE.

乗り味は「軽快」そのもの

そしてディーラーから出てゆく際、「歩道の段差」を超える時には足回りの素晴らしさを体感でき、というのも「サスペンションがしっかりストロークしていることがわかる」というしなやかさを持っていて、つまり「硬すぎない」設定を持っています。

これは上述のワイドトレッド化に起因して物理的にロール(車体の傾き)が抑えられるため、サスペンション自体をガチガチに硬くしなくても”シャープに曲がる”セッティングが可能になったからなのかもしれません。

さらにはこれに加え、約300kgの重いバッテリーパックが床下の最も低い位置に敷き詰められているため、ロールの軸(ロールセンター)が非常に低くなっていて、これによりトーションビーム式(リア)特有の突っ張り感が抑えられ、路面にしなやかに追従する上質な乗り味を実現したのだとも考えられます(ホンダはEVならではのメリットをしっかり活かしてきたということになる)。

なお、EVというと「バッテリー重量との戦い」は避けられず、しかしSuper-ONEではバッテリーサイズを29.6kWhに留めることで車両重量を1,090kgという「EVとしては異例の軽さ」に抑え込んでいるのですが、この代償として航続距離はWLTCで274km、実測200km程度と言われるEV性能にとどまっているようですね。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜フロントタイヤ
Life in the FAST LANE.

ハンドリング・足回りはホンダらしいマナーの良さ

そしてしばらく走ってみることになりますが、市街地を「NORMAL」、そしてアクセルオフで完全停止までコントロールできる「CITY」モードで流しているだけでも鼻先がグイグイと内側を向くハンドリングの軽快さに思わず笑みがこぼれることになり、ワイドトレッド化されたシャシーと優れたサスペンションのおかげでコーナリング時のロールは最小限。

まるで路面に吸い付くようにキビキビと走る感覚はかつてのCR-Xや初代シビック・タイプRをどこか思い出させるように思います。

とにかく「ハンドリング」「サスペンション」には非常に驚かされ、「1クラス」どころか「2クラス」は確実に上のパフォーマンスそしてマナーを見せるという感じ。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜リアフェンダー
Life in the FAST LANE.

慣れてきたところでドライブモードを「BOOST」へと入れてみると、最高出力が通常の64馬力から瞬時に95馬力(70kW)へと(1.5倍に)解放され、さらにはインパネの照明がパープルへと染まり、アクセルを踏み込んだ瞬間に弾けるような加速を披露することに(バッテリー消費は激しくなるが、常時このモードを使用したくなる)。

なお、このBOOSTモードは「一時的」なものではなく、ボタンを押せば恒久的に動作するもので、BOOSTモード作動中は車内に設置されたスピーカーから疑似エンジン音が流されることとなり、そしてこのサウンドは「シフトダウン」時にはブリッピングとともに大きくなるというギミック付き。

ちなみに「疑似タコメーター」も装備されていて、これが「仮想ギア」と連動することで気分を盛り上げてくれるわけですが、この「仮想ギア」は完全オートモードで走行しても、あるいはパドルを駆使してセミAT的な走りをしたとしても「両方」で楽しむことが可能です(オートモードであっても速度を落とすとガッツンガッツンとギアが落ちてゆく)。

ホンダ SuperONEのインテリア〜シート
Life in the FAST LANE.

この「仮想7段変速(バーチャル・シフト制御)」はとにかく優秀で、レブリミットにおける”頭打ち”や、上述のブリッピング(回転合わせの音)まで完璧に再現されており、テスラや他のEVのような「シームレスでワープするような加速」とは真逆の手法です。

つまるところ、あえて加速に“リズム”と“間”を作ることでドライバーの五感を刺激し、クルマを操っている実感を何倍にも増幅させているのだとも考えますが、試乗中にはあまりの楽しさに我を忘れてしまい「やばい、スピード出しすぎたか」と思ってスピードメーターを見てもまだ法定速度の範囲内であったり、「実際の速度が低くても十二分に楽しめる」キャラクターを持つもよう。

なお、ワインディングロードにおいてもロールは極小、そして加減速の際のピッチングもほぼ感じられず、よくホンダはこのSuper-ONEをここまでうまくしつけたな、と唸らされたのが今回の試乗です。

スペックと割り切り:航続距離「274km」をどう見るか

もちろん、このパッケージングを実現するために割り切った部分もあり・・・。。

項目スペック・特徴
最高出力(通常 / BOOST)47kW(64PS) / 70kW(95PS)
最大トルク162Nm
一充電走行距離(WLTC)274km(都市部中心なら実用十分)
乗車定員4名(後席は割り切りが必要)
充電時間普通(6kW): 約4.5時間 / 急速(50kW): 約30分(80%)
ホンダ SuperONEのエクステリア〜リアバンパー
Life in the FAST LANE.

バッテリー容量を29.6kWhに留めたため、WLTC航続距離は274km(欧州WLTPでは約206km)にとどまっていて、ロングドライブには事前の充電計画が必須となるのは間違いのないところ。

ただし車両本体価格339万円(2026年現在のCEV補助金130万円を活用すれば実質約209万円から)というバーゲンプライスを考えれば、この「走りの楽しさ」を実現するための割り切りを差し引いたとしても、その「投資価値」はあまりに高いんじゃないかというのが偽らざる心境です。※ワイドフェンダーによって普通車規格になったことで補助金の額が大きくなった

なお、O-ONE e:の売却相場から推測すると、このSuperONEも売却時にはかなり辛いことになるという見方もあるようですが、「ニッチ」なクルマでもあり、さほど「下がらないんじゃないか」というのがぼくの見解(ただし責任は持てない)。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜リアバンパー
Life in the FAST LANE.

さらにこのSuper-ONE「1台だけ」の所有に留まる人は少ないのではとも考えていて、「富裕層が休日の朝のドライブを楽しむ」ために購入するケースも少なくはないであろうとも推測でき、よってN-ONE:eとはまったく異なる需要の下支えがあるのかもしれません。

加えて、このSuper-ONEには「シートヒーター」「ステアリングホイールヒーター」「BOSE製スピーカー」「バックカメラ」など様々な快適装備そしてドライバーエイドが「ほぼ全部入り」。

「EV」ということを考慮すると、通常では3,390,200円という価格の範囲内でこれほどまでに装備を充実させることは非常に困難だと思われ、しかしこの価格を実現できたのは「N-ONE」「N-One e:」というベース車両があったからだと考えてよく、これもまたSuper-ONEのアドバンテージということになりそうです。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜テールランプ
Life in the FAST LANE.

総評:ホンダはEVでも“やっぱりホンダ”だった

そしてこのSuper-ONEはエコや効率という視点から語られがちなEVの世界において、「クルマ好きが乗って、心の底から楽しいと思えるEVとは何か」に対するホンダからの明快な回答となるクルマ。

航続距離や広さを求めるなら他にもたくさん選択肢はあり、しかし日々の通勤やいつものワインディングを「刺激的なステージ」に変えたいなら、今これ以上にファンで、愛嬌があって、熱いコンパクトカーは他にないであろう、とも考えています。

つまるところ、EV時代になっても「ホンダの魂は死んでいなかった」。そう確信させてくれる、記念碑的な名車候補がこのSuper-ONEというわけですね。

ホンダ SuperONEのエクステリア〜リアハッチとエンブレム
Life in the FAST LANE.

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