
| 元祖V12オフローダーから最新800馬力ハイブリッドSUVまで |
ランボルギーニは「SUVの歴史を変革した」存在である
今や世界中のプレミアムブランドやスーパーカーメーカーがこぞって参入している「ハイパフォーマンスSUV」セグメント。
その絶対的な王者として君臨しているのがイタリアのサンタガータ・ボロネーゼに本拠を置くランボルギーニの『ウルス(Urus)』です。
しかしランボルギーニがSUVを作ったのはウルスが最初ではなく、その歴史を遡ると、今から約半世紀も前に「当時の自動車業界の常識を根底から覆す先駆的なビジョン」として、まずは軍用プロトタイプから始まり、のちにカウンタックの心臓を移植された伝説の怪物として市販され、そして現在では800馬力を誇るプラグインハイブリッド(PHEV)へと至るまでに。
ここでは2026年最新のミラノ・デザインウィークで発表された限定車「テットネロ・カプセル」含め、ランボルギーニがSUVにおいても頑なに守り続ける走行性能への拘り、そして未来へのロードマップを見てみましょう。

Image:Lamborghini
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ランボルギーニの「スーパーSUV」の進化の物語
- 半世紀に及ぶ先駆的ビジョン: ランボルギーニのSUV挑戦は1977年の軍用プロトタイプ「チーター」からスタートし、現代の「ウルスSE」に続くスーパーSUVの絶対的地位を築き上げた
- 伝説のカウンタックV12を積んだ怪物「LM002」: 1986年、カウンタックのV12エンジンをフロントに移植する暴挙とも言える発想で誕生。最高速度200km/hを超え、砂漠を激走した「元祖スーパーSUV」
- ブランドを爆発的成長へ導いた「ウルス」の誕生: 2017年に量産型が登場。4.0L V8ツインターボ(650馬力)を搭載し、スーパーカーの魂とSUVの利便性を融合。同社の工場規模を2倍へと拡大させる歴史的大ヒットを記録
- 電動化の新時代へ、800馬力のモンスター「ウルスSE」: ランボルギーニの電動化戦略「Direzione Cor Tauri(コル・タウリに向けて)」の第2弾としてプラグインハイブリッド(PHEV)版の「ウルスSE」が登場。システム最高出力800馬力、最高速度312km/hをマーク
- 2026年最新限定車「テットネロ」など圧倒的な独創性: ミラノ・デザインウィーク2026で発表された世界限定630台の「ウルスSE テットネロ(Tettonero)・カプセル」はじめ、カスタムプログラム「アド・ペルソナム」による唯一無二のエクスクルーシブ性を追求
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軍用プロトタイプ「チーター」から伝説の「LM002」誕生まで
ランボルギーニのSUVストーリーは、1977年のジュネーブモーターショーで発表された「チーター(Cheetah)」から幕を開けます。
このモデルはアメリカのMTI社との共同開発により軍用目的として試作され、チューブラークロモリフレームにグラスファイバー製ボディ、そしてリアにクライスラー製V8エンジンを搭載するという革新的な構造を持っており、しかし残念ながらアメリカ政府の契約を勝ち取ることはできず、プロトタイプの域を出ずに終わります。

Image:Lamborghini
その後、出力を高めるためにカウンタックのV12エンジンをリアに積んだ「LM001」などの試行錯誤を経てエンジニアのジュリオ・アルフィエーリ氏が(それまでの)リアエンジンレイアウトを変更し「カウンタックのV12エンジンをフロントに積む」という歴史的な大英断を下すことになるわけですね。
こうして1986年のブリュッセルモーターショーでデビューしたのが、世界初のスーパーSUVと称される「LM002」で、2.7トンという巨体でありながら、カウンタックQV譲りの450馬力・5.2L V12エンジンにより最高速度は200km/hを突破。
ピレリが専用開発した「スコーピオンBK」タイヤを履き、ラグジュアリーな本革やウッドに包まれながら砂漠の広大な砂丘をものともせず駆け抜けるその姿はまさに「唯一無二の存在」ともいえるもので、1992年までにわずか301台が生産され、その魂は25年の時を経て「ウルス」へと受け継がれることとなっています。

ランボルギーニ・スーパーSUVのスペック比較
2017年に登場した現代の「ウルス」は、ランボルギーニの生産工場を8万平方メートルから16万平方メートルへと倍増させるほどの産業的・技術的リープ(飛躍)をもたらすことになり、文字通りランボルギーニを大きく成長させた「立役者」。
LM002、そしてウルス・ファミリーの主要モデルのスペックは以下の通りです。
| 車種・モデル名 | パワートレイン(エンジン/モーター) | 最高出力 / 最大トルク | 0-100km/h加速 / 最高速度 | 特徴・主なテクノロジー |
| LM002 (1986-1992) | 5.2L V12 自然吸気 (ガソリン) | 450 CV / —— | —— / 200 km/h以上 | カウンタックのエンジンをフロントに搭載した元祖。総生産台数301台。 |
| ウルス (初期型) (2017-) | 4.0L V8 ツインターボ (ガソリン) | 650 CV / 850 Nm | 3.6秒 / 305 km/h | ブランド初のターボエンジン。440mmカーボンセラミックブレーキ、4WS搭載。 |
| ウルス ペルフォルマンテ | 4.0L V8 ツインターボ (ガソリン) | 666 CV / 850 Nm | 3.3秒 / 306 km/h | スチール製スプリングサスによるサーキット重視仕様。パイクスピークSUV記録保持車。 |
| ウルス S | 4.0L V8 ツインターボ (ガソリン) | 666 CV / 850 Nm | 3.5秒 / 305 km/h | 快適性とラグジュアリー、高パフォーマンスを融合したエアサスペンション仕様。 |
| ウルス SE (最新PHEV) | 4.0L V8ツインターボ + 141kWモーター | 800 CV (システム総合) / 950 Nm | 3.4秒 / 312 km/h | 25.9 kWhバッテリー搭載、EVモードで60km以上走行可能。レヴエルト風フローティングボンネット。 |

特別仕様車および公的活動
- ウルス ST-X(2018年発表): スクアドラ・コルセ(レース部門)が手がけたレーシングSUVコンセプト。市販車から25%の大幅な軽量化を達成し、FIA公認ロールケージを装備※これを使用したワンメイクレースが開催される予定であったが、実施には至らなかった
- アド・ペルソナム(限定カプセルコレクション): 「パールカプセル」「グラファイトカプセル」に加え、アートバゼル・マイアミ2024での特別仕様、そしてミラノ・デザインウィーク2026で世界限定630台が発表された最新の「ウルスSE テットネロ(Tettonero)・カプセル」(艶ありブラックルーフのコントラストが特徴)など、究極のパーソナライズを提供
- イタリア国家警察仕様(Polizia): 2023年には666馬力のウルス・ペルフォルマンテが配備。ポータブル冷蔵システムや除細動器を備え、臓器や血漿(プラズマ)緊急超高速搬送など、人命救助の最前線でその圧倒的なパフォーマンスを発揮する「スーパー公用車」

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「電動化」がランボルギーニの官能的な走りを奪わない理由
近年の環境規制強化に伴い、「これに対応するためのプレミアムカーの電動化はクルマを退屈なものにしてしまうのではないか」という疑問が多く投げかけられている状況ではありますが、しかしウルスの進化の過程を読み解くと全く逆の方向性が見えてきます。
1. ハイブリッド化は「パワー不足を補うため」ではなく「ダイナミクスを支配するため」
最新の「ウルスSE」は、PHEV化によってシステム出力が800馬力という歴代最強のパワーを手に入れており、ここで重要なのはエレクトリックモーター(141kW)がもたらす「巨大なトルク」の電子制御です。
ウルスSEには新たに「エレクトロニック・セントラル・トルク・スプリッター(電子制御中央トルク配分機構)」、そしてリアの電子制御LSD(リミテッド・スリップ・デフ)がエレクトリックモーターとともに組み込まれ、これによってガソリンターボ特有のわずかな過給遅れ(ターボラグ)をエレクトリックモーターの瞬発力で完全に打ち消すだけでなく、前後左右のタイヤへ「ミリ秒単位」で完璧なトルク配分を行うことが可能になります。※正確に言うと、ターボラグそのものは存在するが、ターボラグが生じる”間”をエレクトリックモーターによる駆動力で埋めることになる
つまり、電動化によってドライバーの意図にこれまで以上に俊敏に反応する、よりエモーショナルで獰猛なハンドリングマシンへと進化を遂げているというわけですね。

2. 歴史の文脈から読み解く「伝統の破壊と創造」
ランボルギーニのファンの中には「V12や純粋なガソリンV8こそが正義」と考える向きも少なくななく、しかしランボルギーニの歴史を振り返れば、1986年にカウンタックのエンジンをSUVに積んだ「LM002」という存在も、当時のスーパーカーの常識からすると「あり得ない暴挙」です。
ランボルギーニというブランドの本質は既存の枠組みを破壊し、その時代の最新テクノロジーを使って「最も過激なパフォーマンスを表現すること」にあり、今回の「Direzione Cor Tauri(コル・タウリ)」戦略に基づく電動化は、単なる環境への妥協ではなく、次世代のハイパーカー・SUV市場を再び支配するための必然的なイノベーションでもあって、現在の電動化は「カウンタックのV12エンジンをフロントに積んだオフローダー」、LM002を誕生させたときとまったく同じ理論というわけですね。※現在のランボルギーニのコンセプトの一つが「予想外」でもある

結論
1977年の泥臭い軍用試作車「チーター」から始まり、貴族のための砂漠の怪物「LM002」、そして現代のラグジュアリーSUV市場を定義づけた「ウルス」まで。
ランボルギーニのスーパーSUVの歴史は常に時代の限界を押し広げ、不可能を可能にしてきた挑戦の歴史そのものだと言えるのかもしれません。
最新の「ウルスSE」が証明したように、彼らはプラグインハイブリッドという新しい武器を手に入れ、環境への配慮(デカーボナイゼーション)、そしてブランドの命である「アドレナリンが湧き出るようなエモーション」を極めて高い次元で融合させることに成功しています。

さらには2026年最新の「テットネロ・カプセル」に見られるような、ライフスタイルやファッション、現代アートとの深い結びつきは、ウルスが単なる高性能な、そして人やモノが載る超高速移動手段ではなく、所有者のステータスと美学を表現する「走る芸術品」へと昇華したことを物語っているかのようですね。
半世紀にわたりプレミアムSUVのトップを走り続けるサンタガータ・ボロネーゼの猛牛。彼らが描く次なる電動化の未来が、ぼくらの想像をどのように超えてくるのか、これからもその一挙手一投足に期待がかかります(ウルス後継モデルは2028年に完全電動化され登場する予定ではあったが、その計画はキャンセルされている)。
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参照:Lamborghni











