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| フィアットが放つ超小型モビリティ戦略の全貌に迫る |
かつては「世界で最も醜いクルマ」と言われたものだが
イタリアの老舗自動車メーカーであるフィアット(FIAT)がローマで開催されたプレスカンファレンスにて、未来の都市型モビリティ(マイクロモビリティ)の常識を覆す大胆な新戦略を世界初公開。
「マイクロモビリティという言葉が生まれる遥か前から、フィアットは街の移動のあり方を形作ってきた」と語るのは、同社CEOのオリヴィエ・フランソワ氏。
今回の発表で最も注目を集めているのが、かつての名車を現代風にEVとして蘇らせた「ムルティプリーナ(Multiplina)コンセプト」で、トポリーノの爆発的ヒットを背景とした、”フィアットが仕掛ける3つの次世代モビリティエコシステム”の全貌を見てみましょう。
この記事の要約(この記事が30秒でわかるポイント)
- 新時代の名車誕生: フィアットが1956年の伝説的名車「600ムルティプラ」をオマージュした4人乗り超小型EV「ムルティプリーナ・コンセプト」を発表
- 市場のリーダー: 欧州の電動クアドリシクル(超小型四輪車)市場を牽引する「トポリーノ」に、若者向けの「スポーツ」やリゾート仕様の限定版を追加
- ビジネスへの革新: 3輪モビリティ「TRIS(トリス)」をベースに、移動式本格カフェを展開する「カッフェ・ヴェルニャーノ」との共同プロジェクトを始動
街乗りEVの勢力図を変える「3つの柱」:トポリーノ・TRIS・ムルティプリーナ
フィアットが描く未来の都市移動は、パーソナル(個人利用)、ビジネス(商業・ラストワンマイル輸送)、そしてライフスタイルの3つの要素をシームレスに繋ぐエコシステムであり、今回、それぞれのセグメントに向けて革新的なモデルやアップデートが提示されています。
1. 欧州の覇者「トポリーノ(Topolino)」に待望の新バリエーション
2人乗りの電動クアドリシクル(超小型四輪車)として2025年に欧州市場のリーダーに君臨したトポリーノ。
その勢いは凄まじく、直近の2026年第2四半期には前年比プラス30%という過去最高の受注記録を更新しており、今回はその魅力をさらに高める新たなラインナップが加わることに。

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- トポリーノ・スポーツ(Topolino Sport): 1958年の「ヌォーヴァ500スポーツ」から着想を得た、若者向けのカスタム仕様。ブラックのヘッドライトベゼルやホイール、カーボン調のインテリアを採用
- ヴィレブレカン・コレクターズエディション(Topolino New Vilebrequin Collector's Edition): フランスのリゾートウェアブランドとコラボした、イタリアとフランス合わせて限定200台のプレミアムモデル。キャンバストップやヨットを思わせるウッド調フロアマットを装備
- モンスターリーノ(Monsterlino): 音響メーカー「Monster」と共同開発した、車両に磁石で脱着できるBluetoothスピーカー。車内だけでなく、降車後もスマホと繋いで音楽を楽しめる遊び心溢れるアクセサリー
2. 3輪モビリティ「TRIS(トリス)」の進化と移動式カフェの誕生
フィアット初の3輪商用モビリティとして開発された「TRIS」も単なる物流の道具からライフスタイル領域へと進化を遂げており、イタリアのリビエラ海岸のエレガンスを取り入れたリゾート仕様の「TRIS ドルチェヴィータ・コンセプト」がお披露目されたほか、イタリア最古のコーヒーロースター「カッフェ・ヴェルニャーノ(Caffè Vergnano)」とのエキサイティングなコラボレーションも発表。
ヨーロッパ全土の都市へ本格的なイタリアンカフェを届ける「移動式ストリートカフェ仕様」のTRISが展開されることについても言及がなされています。

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3. 【世界初公開】世紀の復刻!4人乗りEV「ムルティプリーナ・コンセプト」
今回の主役であり、フィアットが「超小型車と一般的な乗用車を繋ぐミッシングリンク(失われた輪)」と位置づけるのが一番上の画像のムルティプリーナ・コンセプトで、1956年に登場し、天才的なスペース効率で世界中を驚かせた「フィアット 600ムルティプラ」のDNAを現代に受け継ぐ4人乗りEVだと説明されています。
丸型のヘッドライトやチャーミングな「微笑む」フロントマスクなど、レトロで愛らしい外観を持ちながら、L7規制(最高速度約88km/h)に準拠しており、トポリーノ以上の航続距離と実用性を兼ね備え、2028年の市販化が予定されている、とのこと。
なお、ぼくの知るムルティプラとはあの「世界でもっとも醜いクルマ」と言われたモデル(1998年に発売、これが二代目となるようだ)だったのですが、今回のフィアットによる発表で「はじめて」その先代が存在したことを知った次第です。

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スペックと市場ポジションの比較
フィアットのマイクロモビリティ陣形が、従来のシティーカー(フィアット 500など)とどのように異なるのか、スペックと特徴を表にまとめてみると以下の通り。
| 車種名 | 区分・乗車定員 | 最高速度(目安) | 特徴・主なターゲット |
| トポリーノ | L6eクアドリシクル (2人乗り) | 約45km/h | 欧州シェア1位のEV。14歳から運転可能な国もあり、若者や日常の買い物に最適。 |
| TRIS(トリス) | 3輪商用・旅客 (1〜2人乗り) | 都市型スピード | ラストワンマイル輸送。カフェ仕様やリゾート向け「ドルチェヴィータ」も展開。 |
| ムルティプリーナ | L7eクアドリシクル (4人乗り) | 約88km/h | 2028年発売予定。 伝説の600ムルティプラを現代風にアレンジした広々4人乗りEV。 |
| フィアット 500e | 登録車・乗用車 (4人乗り) | 約150km/h | 高速道路も走行可能な本格的な100%電気自動車(シティーカー)。 |
なぜ今、フィアットは「小さな車」に集中するのか
自動車業界が大型の電動SUV開発にしのぎを削る中、フィアットがここまで超小型モビリティに注力する背景には、欧州の都市部が抱える「深刻なスペース不足と環境規制」があります。
超小型EV(クアドリシクル)は、普通車に比べて製造時のCO2排出量が圧倒的に少なく、バッテリー容量も小さいため環境負荷が極めて低いのが特徴で、さらにフィアットは単に「エコで実用的な移動手段」を作るのではなく、ガジェット感覚で楽しめるスピーカー(モンスターリーノ)を発表したり、人気ブランドとコラボしたりすることで若者やファッションに敏感な層を惹きつけることに成功しているわけですね。
つまるところ、フィアットは、かつて1950年代に「500(チンクエチェント)」や「600ムルティプラ」でイタリアのモータリゼーションを支えたという動きを、2020年代後半の今になって「移動の民主化」としてエコロジーかつスタイリッシュに再定義しようとしているのだとも考えられます。

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結論:単なる移動手段を超えた、イタリアン・ライフスタイルの提示
フィアットがローマで提示したビジョンは、単なる新型車の発表に留まらず、都市の景色をより豊かで楽しいものに変える「エコシステム」そのもの。
絶好調のトポリーノ、ビジネスの枠を超えたTRIS、そして未来を担うムルティプリーナ。これら3つの柱は、いずれもフィアットのDNAである「シンプルさ」「機転の利いたデザイン」、そして「ひと目でそれと分かるイタリアンスタイル」が貫かれています。
大型化・高価格化が進む現代のEV市場において、フィアットのアプローチはぼくらの都市生活をよりスマートに、そして笑顔にしてくれる確かな可能性を秘めており、日本への導入についても期待したいところでもありますね(それにはまず法改正が必要か)。
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