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マツダ・ロードスターをベースにアルファロメオが「デュエット」としてオープンスポーツを発売しようとした計画がいま明かされる。前任デザイナーがボツ案をSNSへと投稿

アルファロメオのデザイナーが公開した、マツダ・ロードスターベースの「デュエット」のデザインスケッチ

Image:manudiaz74

| もしもあの時、アルファロメオ版ロードスターが誕生していたら? |

アルファロメオはこれまでにも相当数の「ボツ企画」を公開している

かつてアルファロメオがマツダ・ロードスター(MX-5)のプラットフォームを使って、伝説の「デュエット(Duetto)」を現代に蘇らせようとしていた計画が存在したことが今になって明らかに。

結局そのプロジェクトは「フィアット124スパイダー」となって実現することになるのですが、アルファロメオ版のデザイン案も密かに進められていたことがわかっています。

今回、アルファロメオ「MiTo」の生みの親として知られるデザイナー、フアン・マヌエル・ディアス氏が、日の目を見ることのなかったいくつかの「幻のアルファロメオ」のスケッチを公開しており、ぼくらの想像力を掻き立てる、情熱的で美しいボツ企画の数々を詳しく見ていきましょう。

この記事の要約(3つのボツ案)

  • アルファ版Miata: マツダ・ロードスターをベースにした伝説の「デュエット」後継計画が存在した
  • 18年前の「Junior」: 現行のSUVではなく、MiToベースの250馬力クーペSUVとして企画されていた
  • 幻の旗艦セダン: マセラティ・クアトロポルテの骨格を持つ、ドイツ勢打倒の超大型スポーツセダン案

公開された「生産されなかった」傑作たち

ディアス氏が公開したスケッチは、2000年代初頭から2010年頃にかけ、いずれもアルファロメオのスタジオで熱を帯びつつ描かれたものだといい・・・。

1. アルファ・ロメオ「デュエット」復活計画

最も注目すべきはマツダMX-5をベースにしたロードスター。

2003年から2009年にかけ、ディアス氏は夜な夜なヘリテージとモダンの融合を模索し、スケッチを重ねていたのだそう。

一時はスーパーカー「8Cコンペティツィオーネ」のプラットフォームを利用する案もあったものの、最終的にプロジェクトは「8Cスパイダー」へと集約され、コンパクトなロードスターの案は立ち消えとなってしまったようですね。

2. Alfona(アルフォーナ):マセラティベースの旗艦

2006年、当時のデザイン責任者ヴォルフガング・エッガー氏の依頼で描かれたスポーツセダン。

マセラティ・クアトロポルテのプラットフォームを使用し、ドイツのプレミアムセダン(メルセデスやBMW)を真っ向から撃破することを目指した野心作であったと説明されています。

3. 初代「ジュニア(Project 955)」

現在発売されたばかりのコンパクトSUV「ジュニア」ですが、実は2006年にもその名の復活検討されており、当時はMiToをベースに車高を上げ、約250馬力を誇る3ドアのクーペスタイル・スポーツカーとして構想されていた、とのこと。


なぜこれらのクルマは生産されなかったのか

同氏はこの他にもいくつかのプロジェクトを紹介しており、そしていずれも「生産に至らなかった悲運のクルマたち」。

そしてディアス氏は「お蔵入りの理由」についても述べています。

モデル名ベース車両・エンジン企画年お蔵入りの主な理由
新型デュエットマツダ MX-5 または 8C2003-2009ジュリア/ステルヴィオ開発へのリソース集中
Alfonaマセラティ クアトロポルテ2006採算性とブランド戦略の変更
Junior (2006案)MiTo / 250hp2006ターゲット層の不透明さ
8C by Zagato8C (マセラティ製V8)不明既存デザインとの差別化とコスト
MiTo ConvertibleMiTo (布製ソフトトップ)2010セルジオ・マルキオンネ氏による商業的判断

アルファロメオの「苦悩」

もしこれらが発売されていたら、アルファロメオの運命は大きく変わっていたかもしれず・・・。

  • マツダベースのデュエット: もし実現していれば、フィアット124スパイダーよりも遥かに強力な「ブランドの象徴」となり、世界中のファンを魅了したかもしれない
  • MiToコンバーチブル: ミニ・コンバーチブルに対抗できる唯一のイタリアン・コンパクトでもあり、当時の経営陣は「小さなオープンカーに商業的成功はない」と断じて2010年に開発が中止されたものの、カルトカーとして人気を博した可能性も

アルファロメオは常に、限られた予算の中で「情熱的なスポーツカー」と「売れるSUV」の板挟みになってきた歴史がありますが、これらはまさにそういった歴史の「尊い犠牲」ということなのかもしれません。


結論:美しき失敗作たちが示す「アルファのDNA」

今回公開されたスケッチは、単なるボツ案ではなく、アルファロメオのデザイナーたちが絶えず抱き続けてきた「情熱」の証。

結果として生産ラインに乗ることはありませんでしたが、その造形美は現在の最新モデル、例えば「33ストラダーレ」や新しい「ジュニア」の中にも、かすかに息づいていることが分かります。

歴史に「もし」はないものの、これらのモデルがショールームに並ぶ姿を想像するだけで、アルフィスタならずとも心が躍るように思います。

参考:アルファロメオがマツダ・ロードスターベースのオープンカーを投入しなかった真の理由

アルファロメオがマツダとの提携を中止したことにつき、当時のCEOであったセルジオ・マルキオンネ氏が「アルファロメオはイタリア国内の工場で生産されるべきだ(マツダの広島工場産ではいけない)」という強い信念を持っていたからだと言われています。

その結果、マツダ産ロードスターは「アバルト/フィアット124」として世に出ることになったわけですね。

アバルト124ロードスターの全景(フロント)

ちなみにですが、ぼくはアバルト124スパイダーを非常に高く評価しており、というのもパワー、足回り、サウンドいずれを取っても一級品だから(そしてバランスが素晴らしい)。

マツダ・ロードスターをベースとしつつも価格が随分高価であったために「理解されにくかった」クルマではあるものの、「マツダは制限さえなければこんなに素晴らしいクルマを作ることができる(マツダのエンジニアが本当に作りたかったクルマが124スパイダーだったのかも)」という事実を証明したスポーツカーであり、「もしマツダがコストの制限なくロードスターを開発していたらこんなクルマになっていただろう」と思わせる、マツダ側の「もしも」を示す一台であるとも考えています。

アバルト124スパイダーのメーター

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参照:Motor1, manudiaz74

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