
| 自動車業界においても「トレンドが繰り返す」? |
【1分でわかる】要点まとめ
- EV旋風の沈静化とタフな四駆の需要増:電気自動車(EV)人気の一巡や規制見直しに伴い、堅牢で走破性の高いラダーフレーム車が再び脚光を浴びている
- 圧倒的な耐久性と牽引力:乗り心地重視のモノコック構造に対し、過酷なオフロード走行や重い荷物の牽引ではラダーフレーム構造が現在も圧倒的な優位性を誇っている
- 日産エクステラ復活や新モデルが続々:日産「エクステラ」の再投入計画をはじめ、電動パワートレイン(PHEV/EREV)とラダーフレームを組み合わせた次世代モデルの発売が控えている
- 全米売上トップ10の半数が採用:最新の販売データでも上位をトラック・大型SUVが占めており、市場の根強い支持が証明されている
ラダーフレーム vs モノコック:決定的な構造の違いとそれぞれのメリット
自動車の骨格(シャシー)には、大きく分けて「ラダーフレーム(ボディ・オン・フレーム)」と「モノコック」の2つの構造が存在し、それぞれの特徴を知ることで、なぜ今ラダーフレームが見直されているのかが見えてきます。
1. ラダーフレーム構造(ボディ・オン・フレーム)
2本の頑丈な鋼鉄製サイドレールをハシゴ(ラダー)状にクロスメンバーでつないだ骨格(フレーム)を作り、その上にエンジンやサスペンション、車体を載せる伝統的な方式です。※そのため「ボディオンフレーム」と呼ばれることも
- メリット:圧倒的な強度と耐荷重性。悪路で車体がねじれても骨格が歪みにくく、修復も容易。高床になるため最低地上高を確保しやすい。
- デメリット:重量が重くなりやすい。低重心化が難しく、オンロードでの操縦安定性や乗り心地では不利。

Image:Toyota
2. モノコック構造
車体全体がひとつの箱のような構造(卵の殻のようなイメージ)で強度を保つ方式で、現在の乗用車の多くがこの構造を採用しています。
- メリット:軽量で剛性が高いため、燃費向上や俊敏なハンドリングが得られる。フロアを低くできるため室内空間が広く、乗用車としての快適性が高い。
- デメリット:極端な悪路走行や重量物の牽引・積載を続けると、ボディ全体に歪みが生じるリスクがある。

Image:Toyota
数値で見る性能差。モノコックトラックが超えられない「牽引・積載」の壁
乗用車としては快適なモノコック構造ではありますが、本格的な「トラックとしての仕事」においてはラダーフレームに一日の長があり、ミッドサイズ・ピックアップトラックの具体的スペックを比較してみましょう。
ピックアップトラックのスペック比較表
| 項目 | ホンダ リッジライン(モノコック) | ヒョンデ サンタクルズ(モノコック) | トヨタ タコマ(ラダーフレーム) | シボレー コロラド(ラダーフレーム) |
| 最大牽引能力 | 約2,268 kg (5,000 lbs) | 約2,268 kg (5,000 lbs) | 約2,948 kg (6,500 lbs) | 約3,492 kg (7,700 lbs) |
| 最大最大積載量 | 約718 kg (1,583 lbs) | - | 約775 kg (1,710 lbs) | - |
| 得意な用途 | 街乗り、快適なドライブ | カジュアルなレジャー | 本格オフロード、牽引 | 重作業、最大牽引 |
このように、適切な構造を持つラダーフレーム車はモノコック車に対して1.3倍〜1.5倍以上の牽引能力を発揮することが明確になっていて、キャンピングトレーラーの牽引や過酷な環境における作業では、ラダーフレームが今なお不可欠な存在であるというわけですね。
なお、日本だとさほど「牽引能力」は重視されていませんが、北米ではけっこう色々なものを牽引することがあるようで、新車発表時には「かなり上の方に」表示される重要な指標でもあります。
なぜ今ラダーフレームなのか?復活を裏付ける3つの背景
長年「旧時代の技術」とみなされがちだったラダーフレームが「今まさに脚光を浴びている」背景には、市場や社会情勢の大きな変化があり・・・。

1. EV(電気自動車)シフトの減速と環境規制の再評価
一時期急加速した完全電動化の波ではありますが、充電インフラの課題、バッテリー交換コストへの不安、中古車値落ち率の高さなどから消費者の需要が落ち着きを見せているという状況。
また、政策面での見直しも手伝い、自動車メーカーは再びガソリンエンジンやハイブリッド技術を活用した堅牢なプラットフォームへの投資を強化しているといった状況が存在します。
2. アウトドア・オーバーランド人気の高まり
近年のライフスタイルの変化により、キャンプやトレイル走行、本格的な過酷な自然を楽しむ「オーバーランディング」が世界的なブームとなっていて、これに伴い、見た目だけでなく「実際に荒野を走破できる本物のスペック」を備えたクルマを求めるユーザーが急増しているということに。

3. 北米自動車市場における圧倒的なシェア
2025年の全米新車販売ランキングトップ10を見ると、なんと半数の5モデルがラダーフレーム車(フォード Fシリーズ、シボレー シルバラード、RAMピックアップ、GMC シエラ、トヨタ タコマ)で占められていて、市場の根幹を支える売れ筋カテゴリだからこそ、メーカー側も最新技術を投入して進化させ続けているというのが今の状況で、つまるところ「一つのトレンド」となっています。
今後の注目モデルと次世代ラダーフレームの進化
ラダーフレームの復活は、単に古き良き時代への先祖返りではなく、最新の電動パワートレインやハイブリッドシステムと組み合わされることで「地球環境に配慮しながら圧倒的な走破性を誇る次世代オフローダー」へと進化を遂げていて・・・。
注目される未来のラダーフレーム車
- 日産 エクステラ(新モデル):名車エクステラの「ラダーフレーム構造を携えての復活」が計画されており、V6ガソリンエンジンやハイブリッドとの組み合わせが噂され、本格クロカンファンから高い関心を集めることに
- ヒョンデ Boulder(ボルダー)コンセプト:デザインスタディとして提示された本格オフロードコンセプトとして登場し、未来的なデザインと頑丈な骨格の融合を提示している
- スカウト・モータース(Scout Terra / Traveler):フォルクスワーゲングループ傘下の新ブランドが手掛けるモデルで、ラダーフレームにEV/レンジエクステンダー(発電用エンジン)を組み合わせた革新的なシャシーを採用したことで話題に
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【関連知識】知っておきたい四駆用語と豆知識
- オーバーランディング(Overlanding)舗装路だけでなく、数日から数週間にわたってオフロードを旅しながらキャンプを行うドライブスタイル。車上で寝泊まりするためのルーフテントや大容量の荷物を積載するため、タフなラダーフレーム車がベース車両として好まれる
- レンジエクステンダー(EREV)基本はモーターで走行し、バッテリー残量が減ると車載した小型ガソリンエンジンで発電を行う仕組み。完全なEVと異なり、給油によって長距離走行が可能なため、充電設備のない奥地を目指すオフローダーに最適なシステムとして注目されている。中国製エレクトリックオフローダーの多くがこのパッケージングを採用
結論
「乗り心地と効率」のモノコックと「耐久性と走破性」のラダーフレーム。
自動車技術が成熟した現在、どちらか一方が淘汰されるのではなく、用途に応じた明確な住み分けが進んでいます。

街乗りや日常の通勤にはモノコックSUVが適している一方、過酷なフィールドに挑む冒険家や重い荷物を運ぶプロフェッショナルにとって”頑丈なラダーフレーム”はこれからも決して代わりのきかない「最強のパートナー」であり続けることは間違いなく、電動化技術と融合し、より力強くクリーンに進化を果たす次世代ラダーフレーム車のような「新種」の登場に期待したいと思います(直近では、新型三菱パジェロ、メルセデス・ベンツ「ベビーg」がどういったパッケージングになるのか気になるところである)。
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参照:CARBUZZ











