
| 中国が牽引する「L(レベル)2+/L2++」とAI技術の未来とは |
もはや中国市場のトレンドは全世界を巻き込んで拡散中
自動車産業における技術革新の核となっている「自動運転(AD)」および「先進運転支援システム(ADAS)」。
矢野経済研究所が発表した最新の市場調査結果によると、普及の中心はレベル1・2の運転支援から、より高度な判断を行う「レベル2+(L2+)」および「レベル2++(L2++)」へとシフトしつつあることが明らかに。
ここでは2035年に向けたAD/ADAS世界市場の動向や、先進的な取組で市場をリードする中国のAI技術トレンドについてまとめてみましょう。
この記事の要約
- 2035年には、高度な運転支援機能(L2+高速NOA/L2++都市NOA)の新車搭載台数が世界で4,228万台に達する見通し
- 普及を強力に牽引するのは中国市場であり、市街地での運転操作を支援する「L2++都市NOA」の採用が急速に進んでいる
- End-to-End AIやVLM/VLAといった最新AI技術の導入により、システムの高度化と普及価格帯への拡大が加速している

自動運転・ADASの世界市場概況
まず2025年時点におけるAD/ADASの世界新車搭載台数は6,825万1,000台だそうで、このうち大部分は従来の運転支援機能である「レベル1/レベル2」が占めているものの、より高度な機能を持つ「L2+/L2++」がすでに15.4%(1,051万6,000台)までシェアを伸ばしているというのが現在の状況です。
一方、運転の主体がシステムへ移行する「レベル3(条件付き自動運転)」や「レベル4(高度自動運転)」は、現時点だと全体の0.1%以下と限定的な市場にとどまっていて、あくまでも市場の主戦場はドライバーの責任範囲内で高度な支援を行う「L2+/L2++(高度運転支援)」であり、自動車市場全体が「極度に高価になりがちな」レベル3とレベル4の実装を避け、安価で実現が可能な「L2+/L2++」へと移行しつつあるという状況が見えてきます。
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普及を牽引する高度ADAS(NOA)の仕様と最新スペック
現在、市場で特に大きな注目を集めているのが「NOA(Navigation on Autopilot)」と呼ばれる機能でであり、これは目的地までのルートに沿って車線変更や合流・分岐などをシステムが支援するもので、対象エリアによって「高速NOA」と「都市NOA」に分類されることに。
特に市街地を対象とする「L2++都市NOA」では信号機の認識、交差点での右左折、周囲の車や歩行者を踏まえた複雑な判断など、高い処理能力が求められ、しかしレベル3よりはずっと安価であるとされ、そして「他メーカーとの差別化を示しやすい」とうことから中国市場ではこの「L2++都市NOA」が非常に注目されているのだそう。

なお、中国市場では、少し前だと「AIによるバーチャルアシスタント」「豊富な機能を持つインフォテイメントシステム」というコミュニケーション分野での競争が主軸であったものの、すでにこのジャンルではどのクルマも高度なシステムを搭載するに至ったことで「差別化が難しく」なってしまい、そこでいま「L2++都市NOA」が脚光を浴びているのだとも考えられます。
参考までに、テスラは(ほかの日米欧の自動車メーカーが存在感を失う中でも)販売ランキング上位に位置しており、その理由は「高いレベルの自動運転を誇るから」なのかもしれず、であれば文字通りFSDが窮地からテスラを救ったということになるのかもしれません。
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高度ADASを支える主な技術・車載パーツ
- 高性能SoC(System on Chip): 膨大なカメラ画像やセンサーデータをリアルタイムで並列処理する超高速プロセッサ
- 8MP高解像度カメラ: 800万画素相当の精度で遠方の標識や細かな障害物を精密に認識
- ミリ波レーダ & LiDAR: 悪天候下や夜間でも周囲の立体物・距離を正確に測定するセンシングデバイス
中国市場が主導するグローバル競合と技術エコシステム
世界に先駆けてL2+/L2++の普及が進んでいるのがもちろんのこと中国市場であり、中国では高度ADASの導入が激化していることからも欧州や日本などのグローバル自動車メーカーも(これがないと商品力を訴求できないので)中国の自動運転技術企業と提携や技術導入を進める動きを見せているというのが直近の状況で・・・。
| 領域 | 従来のADAS (L1/L2) | 最新の高度ADAS (L2+/L2++) |
| 主な機能 | ACC(車間距離保持)、LKAS(車線維持) | 高速・市街地でのルート追従、合流、右左折アシスト |
| 技術構成 | 単一カメラ、ミリ波レーダ | 高性能SoC、8MPカメラ、LiDAR、高度AIモデル |
| 市場の中心 | 日米欧含む世界全域で標準化 | 中国が先進事例となり、世界へ波及中 |
| 搭載車種 | 大衆車から高級車まで幅広く定着 | 高級車から普及価格帯の車種へと拡大中 |
中国市場向けモデルで培われた高度なAD/ADAS技術やソフトウェア基盤は、今後グローバル市場にも普及していくと見られており、従来の自動車サプライチェーンの構造を大きく変えつつあるのですが、そしてこのサプライチェーンの多くは中国に存在するため、バッテリーと同様に、またしても世界の受動車メーカーは中国の先行を許してしまうことになるのかも(ますます中国の自動車メーカーが有利な状況が出来あがる)。

注目の最先端AI技術(E2E・VLM/VLA)
今回の調査で特に注目すべきポイントは、中国を中心とした「自動運転のAI化」の急速な進化です。
従来は認識・予測・制御を個別のプログラムで処理していたものの、最新のトレンドではルールベースを脱却して入力から出力までを一元処理するEnd-to-End(E2E)AIや、視覚と言語情報を統合して判断するVLM(Vision Language Model)、行動までを結びつけるVLA(Vision Language Action)などの先端AIモデルが量産車へ実装され始めています。
これにより、システムは単に物体を認識するだけでなく、「交通状況の意図」を理解して人間のようにスムーズで安全な運転操作を行えるようになり、さらに技術の成熟とコスト低減が進んだことにより、これまで高級車に限られていた高度ADASが普及価格帯の車種にも標準搭載され始めるという状況も報告されていて、クルマ選びの基準自体が「走行性能」から「スマートな運転支援機能の有無」へと劇的に変化している点には注目しておく必要がありそうです。※この点においてもやはりテスラの「カメラオンリー」システム(テスラビジョン)は理にかなっている

結論
2035年に向けて、自動運転・先進運転支援システム市場は「L2+/L2++」を中心として確実な成長を続けてゆくことが予想され、2035年にはAI技術の適用と低コスト化がその拡大を後押しすることで4,228万台規模にまで達するという推測も示されており、とにかくこのトレンドが収まる気配がないというのが現在地。
中国のトレンドや規制に世界中の自動車メーカーが「かき回されている」という状況ではありますが、今後も自動車を取り巻く環境は完全に予想を超えた方向へと進む可能性も。
これからのクルマは単なる移動手段を超えて、より安全でストレスフリーな移動体験を実現するモビリティへと「中国主導で」進化する可能性が見えており(排他性を持たない普及価格帯の自動車メーカーはこれに従うしかない)、車載AIと高度なADASの進化から今後も目が離せない、といったところでもありますね。
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参照:日本経済新聞











