
| てっきり「国家ぐるみで」あのターコイズのランプを導入したと考えていたが |
さすが中国、何があるかわからない
先進運転支援システム(ADAS)や自動運転機能をオンにした際、自車が自動走行中であることを周りのドライバーや歩行者に知らせる外部照明「青色インジケーター(小藍灯)」。
中国のEV・新エネルギー車メーカーを中心に急速に普及したこのトレンドではありますが、中国当局が国家標準規格を厳格に適用することを決定し、事実上の「搭載禁止」へと舵を切ることに。
すでにこのランプを装備したクルマは中国の路上を多数走っており、一般の人にも広く認知されていることもあって「なぜ今になって禁止されるのか」「すでに納車されているクルマはどうなるのか」といった疑問が生じるのですが、この規制、そしてその背景について考えてみたいと思います。
【この記事の要約】
- 中国で自動運転ランプの規制決定:先進運転支援システム(ADAS)の作動状態を示す「青色インジケーター(通称:小藍灯)」について、中国工業情報化部(MIIT)が乗用車への搭載を原則禁止する方針を固めた。
- 国家標準(GB4785)への不適合:現行の車両外部照明規格「GB4785-2019」では、認可されている灯火色が「白・黄・赤・琥珀色」の4色のみであり、青色は規定外のグレーゾーンと判定された。
- 来月以降の新車申請から適用:青色ランプを装備した車両は新車型式認証の申請が不可となり、吉利(Geely)などの大手メーカーは速やかな対応を表明。既販車にはOTAアップデートでの消灯対応などが検討されている。
- 安全性と責任の議論:周囲への視認性を高める有用性を評価する声がある一方、夜間の目障りさや方向指示器との誤認、ドライバーの過信(免責アピール)、無理な割り込みといった悪用に繋がるリスクが懸念されていた。

グレーゾーンだった「青色ランプ」と国家標準GB4785の衝突
中国における自動車の外部照明や光信号装置については国家標準規格「GB4785-2019」によって厳しく制限されていて、この規格で車外灯火として認められている色は現時点だと以下の4色のみとなっており・・・。
- 使用が認められている色:ホワイト(白)、イエロー(黄)、レッド(赤)、アンバー(琥珀色)
- 認められていない色:ブルー(青)、グリーン(緑)など
この「青色インジケーター」ブームは、2022年8月に理想汽車(Li Auto)がフラッグシップSUV「L9」の車体に5箇所の青色LEDランプを配したことから始まったとされ、その後に問界(AITO)、小鵬(Xpeng)、蔚来(Nio)、BYDといった新興・大手のEVメーカーがこぞって採用しており、2026年モデルのLi Auto L9では、フロントの「スターリング(一文字)」ライトバー自体が運転支援起動時に青く点滅する意匠までが組み込まれています。
しかし、これらは元々GB4785の規定外であり、法的な「グレーゾーン」のまま各社がデザインとして取り入れていたのが実態で、しかし今後は「来月以降の新車申請(型式認証)から青色インジケーターを備えたモデルの申請が完全に受け付けられなく」なるといい、国家自動車標準化技術委員会、GB4785に関する補足規定を発行して制限をより明確化する見通しである、と報じられています。

各メーカーの対応と影響
自動運転表示灯(小藍灯)をめぐる動向と影響一覧
| 項目 | 詳細・内容 |
| 禁止対象 | 乗用車外部に搭載されるADAS/自動運転作動表示用青色ランプ(小藍灯) |
| 根拠規制 | 中国国家標準 GB4785-2019(外部照明・信号装置の設置規定) |
| 主な搭載メーカー | 理想(Li Auto)、問界(AITO)、小鵬(Xpeng)、蔚来(Nio)、BYD、吉利(Geely)など |
| 新規車種への影響 | 規制適合外として新車型式認証の申請が不可に |
| 販売済み車両への対応 | 工業情報化部が対応策を検討中。OTA(無線アップデート)による消灯や色変更が有力視 |
吉利汽車(Geely)は報道に対し「国家の法規制を厳格に順守する」と速やかに発表し、市場に出回っている既存の販売済み車両については工業情報化部が取扱措置を検討中だそうですが、専門家の間ではOTA(Over-The-Air)アップデートを通じて表示灯の色を変更するか、機能を完全にオフ(消灯)にする対応が取られる可能性が高いと見られています。
なお、中国では政府の意思に反した行動を取ることは「自殺行為」だとも考えてよく、よって各社とも「速やかに」今回の対応を行うものと考えられます。

関連情報:なぜ「青色」は賛否が分かれたのか?先進技術と法規制の壁
自動運転表示灯の導入には、当初からメリットと懸念点において激しい議論があり・・・。
1. 肯定派の意見(安全性の明示)
周囲のドライバーや歩行者に対し「このクルマは現在、システムによる運転支援を受けて走行中である」という状態を視認できるため、事故防止や周囲の予測可能性を高める上で有効であると支持されていた、という事実も。
2. 否定派の意見(視認の不快感と過信)
一方、夜間に青い光が点灯することで周囲のドライバーの気を散らしたり、方向指示器(ウインカー)と誤認されるリスクが指摘されていたほか、「青色ランプを点灯させているのだから周囲が配慮すべきだ」というドライバーの過度なシステム依存や責任転嫁の免責ツールとして使われる懸念も指摘されていたのに加え、「自動運転中のクルマは車載コンピューターが安全第一に運転する」という認識が一般化しているため、「青色ランプ点灯中のクルマの前に割り込むのは容易」という”悪用”が状態化しているという指摘もあるもよう。

3. 法規制の二転三転
実は2021年の草案段階では、Level 3(L3)以上の高度な自動運転車に対して「青緑色」の標識灯を義務付ける案が検討されていた時期があったといい、しかし2025年に最終確定した国家標準にはその規定が引き継がれておらず、「にもかかわらず」Level 2(L2)段階の車両に各社が独自で青色灯を装備し始めてしまったため、今回のような厳しい規制強化・一斉排除へとつながったのだと報じられています。
結論
今回の騒動は、先進技術の進化スピードに対して法規制や標準化の整備がどのように追い付いていくかを示す象徴的な事例となるもので、自車が最新技術を搭載していることを主張するアイコンでもあった「青色インジケーター」ではありますが、道路上の安全と光害防止、法的な明確化という観点からその役割を一一旦終えることになるというあっけない幕引きに。
今後、L3やL4といった本格的な自動運転社会が到来した際、世界各国でどのような「自動運転中の識別サイン」が新標準として策定されるのか、引き続き注目が集まります。
なお、「中国でトレンド化」→「流行に乗り遅れまいと取り入れる」→「中国政府が禁止」という流れは「ちょっと前の格納式ドアハンドル騒動」と同じではありますが、いったん導入したものを「もとに戻す」のには相当な労力が必要となり、今後は慎重な対応を取るメーカーが増えてくるのかもしれませんね。
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参照:CarNewsChina











