マツダがロータリーエンジンを「レンジエクステンダー用として復活させる」という噂は何度か出ていますが、今回新たにマツダが二つのロータリーエンジンに関する特許を取得したことでそれが現実味を帯びてきているようです。
なおマツダ自身はロータリーエンジンを自動車の動力源として搭載するのは難しいとしており、レンジエクステンダーとしての使用を自ら示唆したことも。
「レンジエクステンダー」はいわゆる「発電機」で、日産リーフe-powerのように「モーターで走るEVではあるものの、発電用のガソリンエンジンで発電しながら走る」ために用いるもの。
(高速走行すると)電力消費の大きいスポーツカーへ使用が検討されることも多く、中国系ハイパーカー(NIO EP9など)に搭載されています。
今回の特許内容では「ハイブリッドシステムと組みあわせて走行する」ことを前提にスタート/ストップシステムを内蔵しており、ロータリーエンジン単体での走行はない、ということを示しているようで、レンジエクステンダーとしての使用、もしくはモーターの「補助動力源」としての使用が想定されているようです。
なおロータリーエンジンは小型コンパクト、振動や騒音が小さいという特徴があり、レンジエクステンダーとして「向いている」エンジンと考えられ、単体で動力源として使用すると非常に燃費が悪いとされますが、低負荷での使用だとメリットを発揮でき、「一旦は価値がないとされながらも、時代が変われば活躍の場が出てくる」技術があるのは面白いですね。
マツダ執行役員「ロータリーはレンジエクステンダーで復活。おっと、喋りすぎましたな」
マツダが北米にて新しいロータリーエンジンの特許図面を申請。
これによるとRX-8に採用されていたロータリーエンジンよりも排気量が23%大きいとのこと。
ターボの装着も前提で、おそらく400馬力は出るのでは、と見られています。
もちろんこれは東京モーターショーで発表された新型ロータリーエンジン「スカイアクティブR」と見られ、RXヴィジョン・コンセプトの市販モデルに搭載されると思われます。
いまのところマツダは比較的コンセプトカーに忠実なデザインで市販車を発売してくる傾向にあり、RXヴィジョンコンセプトそのままは難しいかもしれませんが、それに近い形状での発売が期待できそうです。
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マツダ社長、小飼 雅道氏によると「ロータリエーンジン搭載のスポーツカー発売の計画はない」とのこと。
つまりはRXヴィジョンやRX-7後継と言われた”RX-9”の噂をバッサリ切り捨てたことになりますが、悲しいことにロータリーエンジン50周年を迎える2017年には何も起きそうにありません。
なおRXヴィジョンについては市販化が熱望されながらも、マツダのデザイナーが「あれは理想であり製品化は難しいだろう」と語り、しかしその後にマツダのエンジニアが「なんとか市販化したい」と語ったことで一気に「市販化という希望的観測」が広まったわけですが、今回はCEOによって「無い」と断じられたということに。
加えて小飼 雅道CEOは「まず取り組むべきは環境問題と燃費であり、ロードスター(MX-5)より上のスポーツカーを投入することは考えておらず、もし高性能で経済性に優れるロータリーエンジンの開発ができたとしても、それはレンジエクステンダーに使用する」と語っています。
ロータリーエンジンは小型が可能であり騒音も小さいのでレンジエクステンダーには向いていると思われ(ロータリーエンジンはトルクが小さく、発電機に向いているのかも)、トヨタとマツダとの協業にて、トヨタのハイブリッド技術にマツダのロータリーエンジン(発電機)というシステムがそのうち登場するかもしれない、と考えたりします。
マツダがメディアに語ったところによると、新型ロータリースポーツカーはハイブリッドなどエレクトリック化は行わない、とのこと。
モーターショーが開催されるとそのメーカーの重要人物が会場を訪れたりプレスカンファレンスを開くので、モーターショー直後はよくこう言った「普段聞けない話」を聞けたりするのですが、今回もその一環ですね。
なおマツダは新技術や一部車種にしか使用できない技術への投資を嫌い、よってEVやハイブリッドには積極的ではないという現状があります。
「スカイアクティブ」は全車に採用可能なので積極的に進めていますがハイブリッドはそうでもない(コンパクトカーに採用すると重量と価格がかさむのでマツダの車種構成にとってあまりメリットはない)、ということもこの方針の表れなのかもしれません。
かつ「極力シンプル」な車を好む傾向にあり、何かを取り付けるよりは何かを簡素化したいと考えているようで、それはNDロードスターが端的な例かもしれませんね。
ただ、それらはメーカーの特色として生きているので問題はなく(差別化要素になっている)、しかし一部車種にしか採用されないロータリーエンジンを開発するのは非効率なはずで、しかしそれを行うのは「宣伝広告やブランディング」的要素が大きいのかもしれない、と思います。
なぜならばロータリーエンジンは「マツダしか」実用化できなかった(しなかった)エンジンですし、そしてマツダが何か新エンジンを開発してもニュースにはなりませんが、しかしロータリーエンジンを開発すればそれは大きなニュースになり、マツダの存在意義を世に示すことができる、ということですね。
今回の「エレクトリックなし」についてもマツダは「それがファンの望むことだ」としていますが、シンプルを好むマツダの方針がよく市場に理解され、それに対してファンがマツダの方針に沿った「正しい期待」を抱いていることがわかる発言であり、マツダとファンとの健全な関係を知ることができます。
マツダがヴィラ・デステにてRXヴィジョンを展示した模様。
ヴィラ・デステ(コンコルソ・デレガンツァ)は世界でももっとも高いレベルの審美眼を持つ人々が集まるイベントでもありますが、そこで何らかの反響を収集したかったようですね。
マツダのデザインダイレクター、ケビン・ライス氏によると「おどろくほど良い反響がった」とのことでRXヴィジョンの市販化に意欲を見せているものの、同時に「技術的には簡単とはいえない」とも語っています。
その「簡単でない」部分とはロータリーエンジンで、これをいかに現代で要求される基準にて達成させるかが大きな課題のようですね。
ただ、マツダは新しくロータリーエンジンの特許も出願していますし、マツダとしても「他ではなし得なかったロータリーエンジンの実用化」を行ってきたプライドがあり、今後も引き続き新型ロータリーエンジンの開発には力を入れる模様。
実現はいつになるか明確な答えはありませんが、実際に発売されるとなると相当に大きな反響を呼びそうな車ですね。