現在マニュアル・トランスミッションは「絶滅危惧種」であり、すでにフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンではMTを廃止。
ポルシェは911シリーズのフェイスリフトにてGT3/GT3RSにMTを復活させ、アストンマーティンは「MTを作る最後のメーカーになってもMTを作り続ける」と主張するなど、メーカー間によってその対応が大きく分かれています。
なおスパイカーのマニュアル・トランスミッションはこの画像のように美しいリンケージを持ちますが、もしATを選ぶことでこのリンケージが失われるのであれば、MTを選ぶ人が多いというのも納得できるようには思います。
スパイカーも「MTにこだわり続ける」メーカーの一つで、スパイカーCEO、ヴィクター・ミュラー氏によると「我々の(C8 Preliatorを購入する)顧客のほとんどがMTを選択する。オートマティック・トランスミッションを選ぶのはごく僅かだ」とのこと。
現在スポーツカー/スーパーカーのパフォーマンスは非常に高くなっていますが、そのパフォーマンスを満喫するにはシフトチェンジに気を取られている時間はない(0コンマ数秒が大きな差に)のも事実で、かつシフトミスの可能性を考慮するとマニュアル・トランスミッションを選ぶのはあまり意味が無いのかもしれません。
それでもMTにはATにない楽しさ、「自分でギアを選んでクラッチを繋ぐ」という車との対話があり、これもまた車の魅力を語る上で排除することができない要素であるのも事実。
ぼくとしては、「0-100キロ加速が4秒前半以下」の車であれば(MTによる、人間の)シフト操作が車の性能や挙動に追いつかないと考えており、しかし「それ以上」の車だと積極的なシフト操作を行うことで「車を操る」ほうが楽しいのでは、と考えています(もちろん車の性格にもよる)。
いずれにせよ、ドカンとクラッチを踏んでシフトノブを(ある程度の機械的な抵抗を感じながら)シフトゲートに放り込み、瞬時にクラッチを戻すあの動作については(単なるスイッチであるパドルを操作するのに比べ)表現しがたいダイナミックな感覚があり、それが自動車業界から消え去るのは寂しいことではありますね。
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スパイカーは電気自動車を作る予定は無い、と正式に発言。
一方でSUVの開発に触れるなど他社とは異なる方向に動いていますね。
こういったエキゾチックカーメーカーとしてはほかにグンペルト、ケーニグセグをまず思い浮かべますが、その今後における方向性としてケーニグセグは小排気量エンジンとモーターの組み合わせ(そしてSUVは作らない)、グンペルトはガソリンエンジンのみ、とけっこう色が出ています。
スパイカーはガソリンエンジンとマニュアル・トランスミッションの組み合わせにこだわるとのことですが(このあたりTVRに近い)、今のところオーダーを受けている新型車、C8 Preliatorの86%がじつにMT、とのこと。
なおマニュアル・トランスミッションに拘る理由としては「そのほうが楽しいから」とスパイカーCEO。
合計で50台程度の予約を受けており、25台はアメリカ、残りは中東と欧州へ納車されるようです。