| 新型コルベットには「右ハンドル」も用意され、ディーラーいわく「新型コルベットは売れまくる要素が揃っている」 |
さて、東京オートサロン2020に急遽展示されることになった新型シボレー・コルベット。
シボレーの日本法人がアメリカ本社にかけあって「なんとか」東京オートサロンに間に合わせたそうですが、ボディカラーは非常に珍しい「ゼウス・ブロンズメタリック」。※アメリカ以外で新型コルベットが公開されたのは日本が「初」
なお、ホイールはゴールドのように見え、インテリアはタンレザーを持つという「同系色でまとめた」一台です。※画像はAutocarより
新型コルベットのモデルチェンジは大成功
新型コルベット(C8)は御存知の通り「これまでのフロントエンジンからミドシップレイアウトへ」変更されたことが最大のセールスポイントですが、もちろんこれには多大な開発費がかかることに。
その開発費を嫌がったがために、コルベットは「60年もミドシップ化できなかった」という経緯を持つほどで、しかしシボレーは今回思いきってミドシップ化を行ってきたわけですね。
コルベットのミドシップ化に要したのは60年。途中で「ロータリエンジン搭載」モデル、「デロリアン」の元祖とも言えるモデルもあった!
しかも、そのコストを上乗せして「それまでのC7の1.5倍くらいになる」と言われた車両本体価格につき、「C7とほぼ同じレベルに抑えてきた」というのもC8コルベットの恐ろしいところ。
この戦略的価格設定については「絶対に失敗できない」というシボレーのビビりが入ったものだと考えて良さそうで、というのもすでに初年度分が完売してしまった新型コルベットの「2年目となる2021年モデル」では大幅値上げがなされると報じられているため。
シボレーは新型コルベットの完売までのスピードを見て「もうちょっと高くてもイケたんじゃないか・・・」と考えのだと推測でき、それを翌年度から実行に移すということになりそうです。
実際のところ、現在の価格ではC8コルベットを一台売るごとに220万円の損失が出るといい、よってC8コルベットの適正価格は850万円くらい、もしくはそれ以上と考えたほうが良さそうですね。
新型コルベット(C8)は一台売るごとに220万円も損していた!シボレーはこれを取り戻すために二年目以降に大幅値上げを行うと報じられる
シボレーは新型コルベットを本気で「売りに」かかっている
それでもシボレーは、コルベットをミドシップ化するために投じた開発費用のモトを取るために「車両価格を高く設定する」方法ではなく、「台数を売る」方法を選んだと見え、上述の価格もそうですが、「右ハンドルを用意する」というのも台数をより多く販売するためのひとつの策。
右ハンドル国というと日本、香港、オーストラリア、そして英国あたりとなり、これらの国でもシボレーは「コルベットを売りまくる」と考えたということになります。
なお、アメリカのクルマはコルベット含め、これまで「アメリカ以外では売れていなかった」のが現状で、それはアメリカ人そしてアメリカ企業のビジネスに対する考え方に理由がありそう。
ハリウッド映画を見ても分かる通り、多くのアメリカ人は「アメリカが世界の中心」だと考えているので、他の国で商売を行う際にも「現地に合わせる(ローカライズ)」ということをほぼ行わず、現地の習慣などを無視。
よって日本でもウォルマートなどいろいろな企業が進出しては撤退しているわけですが、これはトランプ大統領の主張によると「アメリカ側の企業努力が足りないのではなく、買わない国が悪い」。
そのため日本でアメリカ車が売れないのも「日本のせい」となるわけですが、今回シボレーはその考え方を変えてきた、ということに。
新型コルベットは日本でもヒット間違いなし
そしてオートカーによると「シボレーの日本法人/ディーラーは口を揃えて”これは売れる”とコメントした」とのことで、その理由の多くは「右ハンドルだから」。
今までこういったクルマを購入していた人々の多くは「本国仕様」を好み、よって左ハンドルでも気にしない人が多かったそうですが、販売を伸ばそうとすると「一般の人」を取り込む必要があり、一般の人に買ってもらうには「右ハンドル」が必須だと考えられているようですね。
これについては「結果を待たねば」なんとも判断は難しく、というのも「(特殊な例を除いて)全車右ハンドルに」切り替えたポルシェの販売が爆発的に伸びたかというと「そうでもない」から。※販売は伸びているが、車種増加が主要因とも考えられる
それはともかくとして、日本における新型コルベットは2021年春を予定していると報じられ、その価格はまだ「暫定」ながらもベースモデルのLT2が1180万円、上位グレードのLT3では1400万円万円を予定。
なお、アメリカ本国だとLT2は66,200ドル(邦貨換算725万円)、LT3は70,850ドル(邦貨換算776万円)なので日本での価格設定は「かなり高い」ということになりますが、これは今までのシボレーの日本での価格設定、現行カマロの内外価格差を見ても「やむをえない」ところ(なにより日本は販売台数が少ないのでコストがかかる)。
それでもポルシェ911並み、そしてフェラーリやランボルギーニの1/3程度の価格なので、性能を考えると「かなり競争力がある」と考えて良さそうです。
新型コルベットの仮想ユーザーは?
そしてオートカーによると、日本国内のシボレーディーラーが想定する仮想ユーザーは「フェラーリやランボルギーニを中古で購入している人」。
さらにはポルシェからの流出、そしてホンダNSX(新旧)や日産GT-Rからの買い替えも想定できるとしており、「日本車」ユーザーを取り込むにはやはり右ハンドルは非常に有用だと考えているようですね。
ちなみにアメリカではC8コルベットについて、その人気っぷりばかりが報道されるものの、実は「賛否両論ある」とのこと。
しかし日本では新型コルベットについてネガティブな意見はないと捉えられていて、「ミドシップ化を受け入れている」という風潮が強く、つまりC8世代のコルベットには肯定的な意見を持つ人が多いということもディーラーが「爆売れする」と考える理由のひとつのようですね。
VIA:Autocar