| なんだかんだいいながら、テスラはちゃんと品質面に高い関心を払っている |
ただしまだまだ「完全」とはいいがたいようだ
さて、米レビュワーにしてエンジニア、さらにはユーチューバーでもあるサンディ・マンロー氏。
同氏は過去(2018年)に登場したばかりのテスラ・モデル3を文字通りバラバラに分解したことがあり、その過程で「このクルマには火星からでも見えるほどの(パーツ同士の)隙間がある」という名言を残したことで一気にその名を知られることに。
ちなみにその際には、テスラの品質を1990年代のキア並だと表現していますが、これはつまり「業界最低水準」と言っているわけですね。
さらにはテスラ・サイバートラックの製造原価を正確に予想し、イーロン・マスクCEOに「当たってる」といわしめたこともあって一目置かれる存在となっています(イーロン・マスクCEOと対談したこともある)。
ただしサンディ・マンロー氏はけして「アンチ」ではなく、テスラの自律走行技術について、フォードのブルークルーズより優れていると評価したことがあるほか、テスラの株を保有していた(現在はどうなのか不明)こともあり、「中立的な立場で、客観的に評価を下している」ということになりそう。
4年後、サンディ・マンローの評価は大きく変わる
そしてそこから4年後の今、サンディ・マンロー氏は最新そしてフラッグシップのモデルSプレッドを分解することになりますが、現在は実際に運転したのちに車両の各部をざっとチェックし、フロント周りを分解するところから開始しています。
ちなみにモデルSの「欠点」として現段階で指摘しているのは”後部座席”。
サンディ・マンロー氏によれば、世界最高水準のフロントシートとは対照的に、リアシートはその角度が悪く、背もたれが腰痛の原因になる、とコメント。
さらにはリヤウインドーのシールがうまくはまらず、風切り音が大きい、という評価も下しています(ドア開閉時に、ウインドウとシールとが噛み合わないのだと思われる)。
しかしながらそのほかの評価については(4年前とは異なり)かなり好意的なもので、実際に自身が運転してみて、そのADASシステムが「自身がほかのクルマに追突しそうになったのを救ってくれた」ことから高く評価しており、さらにフロントトランク周りの構造についても「ただ組み立てるのではなく、すべて工学的に正しく作られているようだ」とコメント。
つまりクリップやトリムはすべて簡単に取り外すことができ、かつてのモデル3のようにバラバラになることはなく、高い精度で合理的に設計がなされ、パーツの品質も高い、というこになりそう。
なお、こういった「合理性」は非常に重要であり、これが組立時におけるミスを減らし、製造にかかる時間を短縮し、整備時のコストも節約できるというメリットをもたらします。
ちなみにこのモデルSプレッドの片方のフェンダーにスペーサーが貼られていて、もう片方にはなく、しかしサンディ・マンロー氏いわく「こういったアライメントの問題は、アルミニウムプレスパネルを使用した車にはよくあることだ」とも指摘しており、テスラのみの問題ではないもよう。
テスラは他の自動車メーカーとは製品に対する姿勢が異なる
テスラはなんだかんだと品質問題にて突っ込まれることが多いものの、今までにもチョコチョコと改良を行っていることでも知られ、ソフトウエアの更新については既存自動車メーカーの比ではない頻度を持つと認識しています。
もともとの完成度がどうと言われるとそれまでではありますが、何度か述べているようにテスラの企業風土自体がギャランティー型ではなくベストエフォート型なので、とりあえず製品を出し、そこから完成度を高めてゆくという、これまでの自動車業界にはないスタンスを考慮に入れる必要がありそうです。
なお、今回分解しているのはトップレンジのモデルSプレッドであり、「エントリーモデルの」モデル3ではないということも肝に銘じておかねばならず、しかしテスラは効率を重視する企業なので、いずれかのモデルにて導入された仕組みは他のモデルにも取り入れられてゆくのかもしれません。
ただ、サンディ・マンロー氏の現段階における見解としては「これまでに調査した他の(テスラの)モデルから大幅に改善されている」ということになり、地道ながらもテスラはその弱点を克服している、というのもまた事実かと思います。
テスラ・モデルSを分解し検証する動画はこちら
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参照:Munro Live