テスラが「中国でエネルギー消費の認証を受け、現地でのサイバートラック発売」に一歩近づく。トラックが好まれない中国市場の認識をひっくり返し人気を獲得できるか

｜　おそらくは「さほど台数は出ないだろうが、相当な話題となることでテスラのポジションを押し上げる」ことになると考える　｜

これによって確実にテスラのブランドバリューは向上するであろう

さて、現在テスラにとってもっとも重要な市場が「中国」であることは間違いありませんが、現在中国ではサイバートラックが販売されておらず、しかし非常に強い（中国の消費者からの）販売に対しての要望があると言われています。

そこで今回報じられているのが「テスラが中国でサイバートラックのエネルギー消費に関する承認を完了した」というもので、これによりテスラは工業情報化部（MIIT）の管轄下にある規制当局から公式のエネルギー消費ラベルを受け取ることに成功し、中国市場での発売に向け一歩前進したわけですね。

中国だとサイバートラックは「軽トラック」という分類に

MIITの報告書によると、サイバートラックはM1乗用車（軽トラックカテゴリー）に分類され、航続距離は618km、車両の車両重量は3,104kg、ピーク出力が206kW、222kW、222kWの3つ、そしてエネルギー消費量は22.6kWh/100km。

これは100kmに走行あたり燃料2.6リットルに換算され、推定コストは100kmあたり14.92元（300円くらい）であると記載されています。

この申請ではさまざまな条件下での性能の詳細も明らかにされており、高温環境下ではエアコンを使用すると航続距離が約15%減少し、低温で暖房を使用すると航続距離が40%減少する可能性があるもよう。

なお、このエネルギー消費ラベルの取得は市販に際して必要な規制手順ではあるものの、この取得が完了したからといってサイバートラックが中国ですぐに発売されることを保証するものではなく、というのも衝突に関する安全性など様々な規制をクリアせねばならないから。

中国ではサイバートラックの発売が困難だとされていたが

参考までに、サイバートラック発表時、イーロン・マスクCEOは規制上の制限により、中国とヨーロッパでは”サイバートラックを合法に登録することが困難である”ことを認めていましたが、今回の動きは「中国での公道走行を可能にする」ひとつの取り組みであると考えてよく、実際に「テスラは歩行者衝突保護を含む市場参入要件を満たすための（サイバートラックの）改造に取り組んでいる」という報道も。

ただ、懸念としては中国の「トラックに対する認識」で、中国の富裕層は「トラック」「バン」を嫌う傾向にあり、一般にそれらは労働者階級のためのクルマ、あるいは商用車でありラグジュアリーではないと考えるから。

そのため中国ではセダン、そしてクーペ風SUVが強く好まれる傾向があり（箱型SUVも商用車的という理由、荷室と同じ空間に自分が乗らなければならないという理由で敬遠されるようだ）、そのためサイバートラックが中国でどれくらい受け入れられるのかは未知数です。

しかしその一方、現在の中国車の持つ特徴である「ツルっとした外観、格納式ドアハンドル、自動運転、物理コントロールを排除したタッチ式操作系（内装）」といった特徴はすべてテスラが”標準化”したものであり（テスラは中国の新興EVメーカーのベンチマークである）、そしてこれだけ強力なライバルが増えたにもかかわらずテスラの販売が依然として高い水準にあることを考えるならば、もしかするとサイバートラックは「これまでの、中国がトラックに持つイメージ」を完全にひっくり返し、「若くリッチな人々が乗る」新しいガジェットとして認識され、大きなヒットとなるかもしれません。

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