| スーパーキャパシタは他社との重要な差別化要素だったが |
ランボルギーニは「ブランド初」の市販ハイブリッドカー、「シアンFKP37」を発表しており、これに搭載されるハイブリッドシステムはリチウムイオンバッテリーではなく、代わりに「スーパーキャパシタ」を蓄電池として使用したもの。
スーパーキャパシタは放電特性に優れ、リチウムイオンバッテリーと同じ重量ならば「3倍の」容量を持ち、もし容量が同じであれば重量が1/3で済むという優れモノ。
シアンだからこそ「スーパーキャパシタが許される」
ランボルギーニは、このスーパーキャパシタの使用について「ハイブリッドカーとしては世界初」だと述べ、軽量コンパクトなこのシステムを用いることでランボルギーニのDNAを守ったとも主張。
そこで気になるのが「アヴェンタドール後継」「ウラカン後継」。
これらはハイブリッド化されることが決定していますが、それらにもこのスーパーキャパシタが採用されるのかどうか、ということが焦点となります。
そして今回、ランボルギーニの技術部門を率いるマウリッツォ・レッジャーニ氏がオーストラリアのカーメディア、carsalesに語ったところでは、アヴェンタドール後継、ウラカン後継に「スーパーキャパシタは使用しない」とのこと。
シアンFKP37にスーパーキャパシタを使用したのは、シアンは「ランボルギーニ初」のハイブリッドカーであり、ここでブランドのDNAでもある「パフォーマンス」を(エレクトリック化で)損なうわけにはゆかず、よってパフォーマンスを最優先したエレクトリック化を行う必要があって、その回答が「スーパーキャパシタであった」と述べています。
アヴェンタドール後継、ウラカン後継では「燃費重視型」ハイブリッドに
そしてスーパーキャパシタを使用したハイブリッドシステムは走行可能な距離が「5キロから10キロ」と短いこと、シアンのような少量生産車では許される「パフォーマンス向上のための」ハイブリッドシステムが”量産車”であるアヴェンタドール後継やウラカン後継では許されないこと、そしてそれらでは「CO2排出量削減につながるハイブリッドシステムを搭載する必要があることに触れ、「スーパーキャパシタではなくバッテリーを使用せざるを得ない」。
ただ、ランボルギーニとしてはバッテリーを可能な限りコンパクトに抑えようと努力しようとしているはずで、そして現在のバッテリー技術ではランボルギーニの求める性能を発揮できるバッテリーはなく、そのため(バッテリー技術の進化を待つために)アヴェンタドール後継モデルの登場が3年ほど遅れる、という報道も。
ランボルギーニのクルマはモデルライフが10年と長く、その間には様々な技術的進歩があると思われ、しかしランボルギーニとしては「20年間はトップランナーでいられるだけの性能を与える必要がある」と以前から主張しており、そのためには「これから崎、性能が進化することがわかっている」バッテリーを、今の段階で妥協して積むことはできないのでしょうね。
現在の規制はあまりに「性急」すぎる
なお、現在は欧州を中心に様々な規制によってガソリンエンジン単体で走るクルマを販売しにくい状況が加速しており、じき「販売も完全にできなくなる」ように。
よって、(とくに量産自動車)メーカーとしては「発展途上の」技術を使用し、早いサイクルで技術の発展に従いながらニューモデルを開発・発売してゆくことになりますが、それがむしろメーカーや消費者、そして環境に対する負荷になるんじゃないかと思うことも。
であれば、もっとエレクトリック技術の発達とともにガソリン車を縮小できるよう、「ゆるやかな」規制に変更すべきでは、と考えたりします(ただ、必要は発明の母なので、規制で締め付けることによって技術が発展するという側面もある)。