| さらに言うならば、オープンカーはリアウイングを装着するよりも幌を閉じって走ったほうがダウンフォースを得られるもよう |
どうりで箱型のオープンコクピットレーシングカーが絶滅したわけだ
さて、「オープンカーにリアウイングを装着しても全く意味がない」という動画が公開。
これは元F1のエンジニア、カイル・フォースター氏がYoutube上にアップしたもので、CFDソフトウエアを使用して実際に効果があるのかどうかの検証を行っています。
ちなみにモータースポーツ黎明期のレーシングカーといえばほとんどがオープンコクピット構造を持っており、それは「スピードスター」に代表されるように重心を低くすることが目的(そして、それがもっとも重要な課題)であったためだと思われます。※エンツォ・フェラーリは「エアロダイナミクスなんぞはエンジンを作れないヤツがやるもんだ」と言っていたほどで、それくらい当時は重要視されていなかった
ただしその後エアロダイナミクスが重要視されるようになるとウイングが装着されるようになり・・・。
さらに空力に関する研究が進んだ時代になるとコクピットは「クローズ」に。
実際にはどうなのか、マツダ・ロードスターで実験してみた
そこでカイル・フォースター氏はマツダ・ロードスターを(ソフト上で)用いることで実験を行っていますが、ひとつはウイングレス、しかしトランクリッドスポイラー装着状態での「ルーフを閉じた状態」「ルーフを下ろした状態」での実験。
そしてもうひとつはリアウイングを装着し、ルーフを閉じた状態と開いた状態とで実験を行っています。
なお、リアウイングに関し、その効果をよりわかりやすくるため、一般的なリアウイングよりも後ろへ、そしてキャビンの影響を受けにくいように車体よりも幅広なものを装着。
リアウイングを装着するよりも幌を閉じておいたほうがよっぽどいい
そして実験の結果ですが、トランクリッドスポイラーであろうがリアウイングであろうが「幌を開け放っていると、ほぼ効果はない」。
リアウイングについては、意図的に「後ろの方へ、幅広なものを」取り付けているにも関わらずこの状態なので、保安基準に適合する範囲の「車体の全長と全幅に収まる」範囲のリアウイングだとさらに効果がないということになり、むしろ重量が増えるだけ「悪影響がある」と考えることもできますね。
さらに言えば、リアウインドウの角度が寝ていれば寝ているほどスムーズに空気が流れると考えられ、しかし開閉式トップの構造上「そうもできない」オープンカーは色々な意味において空力的に不利ということになるのかもしれません。※ロングテールになればなるほど空気の流れがスムーズになるとも思われる
もちろん、キャビンの影響を受けないほどの「(F1マシンのような)ハイウイング」を装着すればダウンフォースを得られるのは間違いなく、しかしそれは現実的ではなく、オープンカーの場合は「幌を閉じたほうがいい」というのが今回の結論となりそうです。
さらに近代では「リアウイングも不要」に
なお、上の方でエアロダイナミクスの流れに触れましたが、直近ではさらにエアロダイナミクスの効率化が進み、ちょっと前まではスポーツカーに多く見られた「リトラクタブル(ポップアップ)リアウイング」が採用されないモデルも増えています(ランボルギーニだと、ガヤルドではポップアップ式リアウイングが採用されていたが、ウラカンでは非採用)。
これはポップアップ式リアウイングを用いずともじゅうぶんなダウンフォースを得られるようになったためで、レーシングカーではル・マン24時間レース「ハイパーカークラス」に参戦するプジョー9X8が異例のリアウイングレスデザインを採用していますね。
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