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EU議会が「2035年にガソリン禁止」という最終合意に至る。年産1万台以下のメーカーでも2036年にはガソリン禁止、1,000台以下だと当面は無罪放免

2022/10/29

EU議会が「2035年にガソリン禁止」という最終合意に至る。年産1万台以下のメーカーでも2036年にはガソリン禁止、1,000台以下だと当面は無罪放免

| 現時点での販売台数だとフェラーリは2035年、ランボルギーニとアストンマーティン、マクラーレンは2036年にはEUでガソリン車を販売できない |

ただ、この1−2年で世界の電動化が急速に加速しており、もしかするとガソリン禁止のタイミングは早まる可能性も

さて、先日は「EU27カ国の環境相が「2035年までに新車のCO2排出量を100%削減する目標を導入することに合意したという報道がなされていますが、今回はEUの執行機関である議会と加盟国が、2035年までに内燃機関を違法とすることで最終合意したという報道。

ただしこれには「但し書き」があるようで、年間生産台数が1,000台から1万台の小規模自動車メーカーには2036年まで1年間の免除が与えられるといい、生産台数が1,000台未満のメーカーについては今のところ制限が課されないようですね。

なお、この1万台のラインを超えるスーパーカーメーカーはフェラーリ、そしてそれ以下だとランボルギーニ、マクラーレン、アストンマーティンなど。

「1,000台」というところになるとパガーニやケーニグセグ、ブガッティが対象となり、これらは当面エレクトリック化を考えなくてもいいということになります(ただしEU以外では年間販売台数に関係なくガソリン車が禁止される場合もある)。

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内燃機関の存続は今後非常に難しい

今回の決定によってEU内では2035年、おそくとも2036年にはほとんどの(超少量生産ハイパーカーメーカーを除き)自動車メーカーが「ガソリンエンジン車の発売をできなくなるわけですが、ガソリン車存続の可能性が残されているとすれば、Eフューエルはじめとする代替燃料。

これは生産過程にてCO2を回収するため、のちの燃焼時にCO2を排出したとしても「プラスマイナスゼロ」になるというものです。

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もしくはトヨタはじめいくつかの自動車メーカー、サプライヤーが進めている「水素エンジン」。

これはFCVとは異なるもので、水素を燃料化したものをガソリンの代わりに燃やすという方法を採用しており、潤滑油の燃焼時に出るわずかなCO2を除けば燃焼時にもCO2を発生させないという画期的な内燃機関です。

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なお、この水素エンジンについては、構造的にガソリンエンジンに似ているため、自動車メーカーがその開発にかかりやすく、そしてサプライヤーとしても既存技術を用いたパーツの開発と供給ができるため、雇用を失わないカーボンフリーへの解決策としても注目を集めており、ポルシェも水素エンジンの開発に参入したほか、ボッシュもこれを支持していますね。

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EUのほかにも様々な国や地域がガソリンエンジンを禁止の意向

なお、現在EUには27カ国が加入していますが、アルバニア、モルドバ、北マケドニア共和国、モンテネグロ、セルビア、トルコ、ウクライナが加盟候補となっており、これらの国では2035年以降ガソリン車を販売することが難しくなり、その前の2031年にはCO2排出量を55%削減せねばならず、これはかなり難しい目標だと言えそうです(以前の37.5%から引き上げられている)。

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加えて、EU加盟国であってもオランダ、スウェーデンのように「独自ルール」にて2030年の時点ですでにガソリン車禁止という国も存在しますが、現時点でのガソリンエンジン廃止を打ち出している国や地域は下記のとおりです。

  • ノルウェー・・・2025年(HV、PHEVも禁止)
  • イスラエル・・・2030年(HV、PHEVも禁止)
  • アイスランド・・・2030年(HV、PHEVも禁止)
  • イギリス・・・2030年(PHEVは2035年から禁止)
  • 米国カリフォルニア州・・・2035年(HV、PHEVも禁止)
  • 香港・・・2035年(HV、PHEVも禁止)
  • カナダ・・・2035年(HV、PHEVも禁止)
  • 中国・・・2030年(HV、PHEVは規制対象外)
  • EU・・・2035年(HV、PHEVも禁止)※EU加盟国はアイルランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク

なお、こういった動きを受けて欧州の自動車メーカーの多くは電動化を加速させており、ジャガーは早ければ2025年、ステランティス(プジョー、シトロエン、マセラティ、アルファロメオなど)、ボルボ、ベントレー、ロールス・ロイスは2030年、フォルクスワーゲンは2033年に(欧州では)ガソリン車の販売を終了させる、とコメントしていますね。

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参照:Automotive News Europe

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