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このままEVシフトを続けて大丈夫?米では販売するよりも多くのEVが供給され、在庫が前年比3.4倍に。今年は30車種、来年は50車種が投入され、確実に「売れないEV」が出てきそう

2023/07/15

EV

| EVの在庫が過剰になって売れなくなると、「EVのみのラインアップ」にシフトした自動車メーカーは大ピンチに |

ここ数年でEV市場は大きな混乱をきたすことになるのかも

さて、今ひとつよくわからないのがEVの販売現場の「実態」で、ある調査では「顧客がEVを買いに来ても、納車できるクルマはおろか、展示車も試乗車もないので販売のしようがない(EVが足りない)」というものもあれば、逆に「消費者が興味を示さないので、作れば作るだけ、仕入れれば仕入れるだけ在庫になる」というものも。

テスラ
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正直なところ報道が極端すぎて判断が難しく、しかしぼくとしては後者の方(売れてない)が実態に近いのだろうとも考えていて、というのも実際にフォルクスワーゲンが「このままだと供給過剰になる」として生産を一時休止する、と発表したためです。

VW
VW「EVに対して消費者が消極的なのでEVが売れず、工場を6週間閉める」。やはりEVはメーカーが笛吹けど消費者が踊らず、早々にEVシフトを行ったメーカーにはダメージが及ぶ?

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米国ではEVの在庫が3.4倍に

そこで今回新しく報じられているのが「米国の自動車ディーラーは、2023年第2四半期に、週平均9万台のEV在庫を抱えており、これは前年同期比で342%の増加である」というニュース。

数字を見るとなかなかに恐ろしいものが感じられ、つまり「EVがあまり売れていない」もしくは「EVが供給過剰」になっているという可能性が見えてきます。

コックス・オートモーティブのシニア・エコノミスト、チャーリー・チェスブロウ氏は、デトロイト首都圏で開催されたメディアミーティングにて「たしかにEVの販売台数は増加しているが、在庫はそれ以上に増えている」とのこと。

このコメントを見るに、そしてこれまでの数々の報道を見るにつけ、EVの販売が伸びているのは間違いなく、しかしそれ以上にEVが市場に大量に投入されていると考えてよく、実際のところ今年は30車種、来年だとさらに50車種の投入があるといい、このまま各社がEVシフトを続けてゆくと、確実に「売れないEV」が出てきて自動車メーカーの首を締めることになるのかもしれません。

たとえばガソリン車であれば、在庫が増えてくると、値引きしつつも中古市場に影響が出ないよう(法人向けの)フリート販売に回すことで在庫をさばくことが可能ではありますが、EVはもともと高価であり、値下げしたとしても法人が「まとめ買いする」レベルではなく、よって在庫を持て余すディーラーも出てきそう。

EVの充電

「購入環境が在庫に追いついていない」

さらにコックス・オートモーティブのチーフ・エコノミスト、ジョナサン・スモーク氏は「各種データは、購入環境が在庫に追いついていないことを示している」と述べ、消費者1,024人とディーラー152人を対象に実施した調査では、消費者のEVに対する熱意と実際の購入にはギャップがあることが明らかになったと指摘しています。

そして問題はこれだけにとどまらず、米国の自動車ディーラーでは、EVの販売やサービスに関する準備が不足するケースが目立つとされ、「消費者とディーラーの両方に対する教育は、電気自動車に対する信頼と普及を促進する上で、依然として重要な要素です、特にディーラーにとっては、準備が最も重要であり、今回の調査結果からは、ディーラーに電気自動車の販売・サービス能力が欠落していることがわかります」という報告もなされており、つまりは「消費者がEVを購入しようとディーラーに行っても、セールスパーソンの知識や対応が不十分なので、購入の決断ができない」ということなのかもしれません。

ボルボ

ただ、明るいデータも示されており、これまで「充電に対する懸念」を示していたEV購入予備軍は、(2021年の)40%から(最新の調査で)32%に減少しているといい、さらには「いざEVを購入してみると」さらにこの充電に対する懸念を示す人の割合が下がるのだそう。

ここからは「実際に購入してみると、購入前に考えていたほど充電体験(充電時間やその煩わしさ、充電ステーションの立地や使用方法など)は悪くない」と感じるEVオーナーが多いという推測ができ、ディーラーとしては(販売を伸ばそうとなると)購入前の不安を取り除くこと、正しい現実を伝えることに注力する必要があるという課題も見えてきます。

ただ、ディーラーの努力だけではどうしようもない問題もあって、それは「EVの価格」。

実際にEV購入検討者の43%が「EVは内燃機関(ガソリン/ディーゼル)搭載車よりも高価である」と回答しており、こればかりは自動車メーカーに頑張ってもらうしかなさそうですね。

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参照:Wards Auto

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