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2026年のル・マンではトヨタが4年ぶり総合優勝、フェラーリは5位に終わる。ハイパーカークラスは18台が出走し14台が完走、なぜトヨタは接戦を制することができたのか

フェラーリのル・マン・ハイパーカー、499Pのフロント
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| フェラーリは2023~2025年の3連勝から記録を伸ばせるかどうかに期待がかかっていたが |

フェラーリ勢3台(50号車・51号車・83号車)は優勝争いに加わったものの、前年までの強さを再現することはできず

2026年の第94回ル・マン24時間レース(6月13〜14日開催)のハイパーカークラスは、トヨタが4年ぶりとなる総合優勝を果たし、一方でフェラーリは5位に終わるという結果に。

その間に割って入ったのは「一発の速さはあったが、これまで一貫性に欠けていたキャデラックとBMW」で、ここで今年のル・マン24時間レースを振り返ってみましょう。

2024年ル・マン24時間レースのポイント

  • BMWがポールポジションからスタートし、レース終盤まで優勝争いを展開
  • キャデラックも一時は1-2体制を築くものの、38号車がパワーステアリングトラブルで後退・リタイア
  • トヨタ7号車は大きなトラブルを回避しながら粘り強く走行し、BMW20号車に10.9秒差をつけて優勝を飾る
  • 小林可夢偉選手にとっては2021年以来2度目のル・マン総合優勝に

ハイパーカークラス 最終順位(全18台)

2026年ル・マン24時間レースのハイパーカークラスは18台がエントリーし、そのうち14台が完走を果たしていて、以下ががその順位となっています。

順位No.マシンメーカー周回
17Toyota GR010 HYBRIDToyota381
220BMW M Hybrid V8BMW381
38Toyota GR010 HYBRIDToyota381
412Cadillac V-Series.RCadillac381
551Ferrari 499PFerrari381
635Alpine A424Alpine381
783Ferrari 499PFerrari381
8007Aston Martin ValkyrieAston Martin379
9101Cadillac V-Series.RCadillac379
1036Alpine A424Alpine379
1194Peugeot 9X8Peugeot377
1293Peugeot 9X8Peugeot376
1319Genesis GMR-001Genesis372
14009Aston Martin ValkyrieAston Martin372
DNF50Ferrari 499PFerrari284
DNF15BMW M Hybrid V8BMW272
DNF17Genesis GMR-001Genesis263
DNF38Cadillac V-Series.RCadillac218

ハイパーカークラス参戦車両のエンジン形式

そしてこちらがハイパーカークラス参戦車両のエンジン形式で、V6、V8どちらが「強い」とは判断ができないようですね。

メーカー車両エンジン排気量過給方式
ToyotaToyota GR010 HybridV型6気筒3.5Lツインターボ
FerrariFerrari 499PV型6気筒3.0Lツインターボ
BMWBMW M Hybrid V8V型8気筒4.0Lツインターボ
CadillacCadillac V-Series.RV型8気筒5.5L自然吸気
AlpineAlpine A424V型6気筒3.4Lターボ
PeugeotPeugeot 9X8V型6気筒2.6Lツインターボ
Aston MartinAston Martin ValkyrieV型12気筒6.5L自然吸気
GenesisGenesis GMR-001V型8気筒3.2Lツインターボ

なぜトヨタはル・マン24時間レースで優勝することができたのか

そこでトヨタが混戦を制した理由について考えてみると、2026年のル・マンでトヨタ7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ニック・デ・フリース)が優勝できた理由は、「圧倒的な速さ」よりも、24時間を通じた戦略の完成度とトラブル回避能力にあったと考えられます。

実際のところ、レース中はBMWやキャデラックの方が速い場面も多く、終盤まで優勝の行方は「分からない」といった感じでしたね(直線でキャデラックがトヨタを置いてきぼりにするシーンもあった)。

1. 「無理をしない」序盤戦略

レース序盤ではBMW15号車がポールポジション、キャデラック勢も序盤から積極的にレースをリードしており、一方のトヨタ7号車はスタート直後から首位争いに固執せず、自車のペースを維持しながらも燃料消費とタイヤマネジメントを優先。

序盤の数時間は大きなリスクを取らず、着実に上位圏をキープするという戦略を採用し、これは近年のトヨタが得意とする「24時間全体を見据えたレース運び」です。

2. ノーミスのピット戦略

近年のル・マン24時間レースでは「24時価走っても」2位との差が数秒ということも少なくはなく、よって(予定通りにせよ、予定外にせよ)ピットストップによるタイムロスが明暗を分けることも。

ただしトヨタ7号車は以下のような非常にクリーンなレースを展開しており、さらにはノートラブルで走り切ることでピットで過ごす時間を最小限にとどめています。

  • 接触による修復作業なし
  • 大きなペナルティなし
  • スケジュール外のピットインなし

対照的にライバルたちはいくつかのトラブルにおいて「計画外の」ピットストップを余儀なくされることに。

  • キャデラック38号車はパワーステアリングトラブルで後退後リタイア
  • BMW15号車はリタイア
  • フェラーリ50号車もピットで長時間を過ごしたうえ脱落

3. ライバルの脱落を確実に拾った

「最速車が勝つ」とは限らないのがル・マン24時間レースであり、もっとも重要なのは「信頼性」そして「一貫性」。

しかし24時間の中で各陣営が何らかの問題を抱えるなか、トヨタ7号車だけが最後まで大きな失点を避け、ポールポジションを獲得したBMW、レース中盤で1-2体制を維持し続けたキャデラックの「速さ」に対して安定した走りを続けることで確実な勝利を手に入れたのだと考えられます。

4. 終盤の可夢偉のスティント

最後のスティントを担当した小林可夢偉選手はBMW20号車からのプレッシャーを受けながらも冷静にレースをコントロールし、最終的にはBMWに10.9秒差をつけてフィニッシュ。

24時間レースにおいて「10秒」というのは決して大差ではなく、最後までミスが許されない状況であったことを考えると「素晴らしい」仕事であったといえます。※ドライバーもマシン同様、「速いだけ」でか勝てないのがル・マンである

5. GR010 HYBRIDの熟成

2026年のトヨタは前年型を発展させたマシンで参戦しており、新規参戦メーカーが増えるなかでも以下の強みを持っていて、実際のところトヨタ自身も「経験の活用」が強みであると説明していますね。

  • サルト・サーキットでの膨大なデータ
  • ミシュランタイヤの理解
  • 燃費とタイヤ摩耗の最適化
  • WECで培った運用ノウハウ

まとめ

2026年ル・マンのトヨタ7号車の勝因を一言で表すと、「最速ではなく、最もミスが少なかったチームが勝った」ということに。

  • 序盤は無理をしない
  • タイヤと燃料を管理
  • ピットミスなし
  • マシントラブルなし
  • ドライバーのミスなし
  • ライバルの脱落を確実に活かした

これらが積み重なってフェラーリの3連覇を止め、トヨタにとって2022年以来となるル・マン総合優勝につながったのだと考えられ、今回の勝利は小林可夢偉にとって2021年以来2度目のル・マン総合優勝であり、トヨタにとっては通算6勝目となります。

なお、ポルシェが撤退した後、「ライバル不在」のなかでの優勝はトヨタにとっても満足できるものではなかったかもしれませんが(豊田章男会長は「誇れるものではない」とコメントしていた)、今回は強豪ひしめくなかでの総合優勝であり、堂々と「誇る」ことができるというわけですね。

フェラーリ499P勢の最終結果

一方のフェラーリについて触れてみると、まず各車の結果は以下の通り。

順位車番チームドライバー結果
5位51Ferrari AF CorseAlessandro Pier Guidi / James Calado / Antonio Giovinazzi完走
7位83AF CorseRobert Kubica / Yifei Ye / Phil Hanson完走
DNF50Ferrari AF CorseAntonio Fuoco / Miguel Molina / Nicklas Nielsenリタイア

51号車(5位)

3台のフェラーリの中では最上位フィニッシュです。

  • 予選は8番手スタート
  • レース中盤以降は上位グループを維持したものの、トヨタ、BMW、キャデラックのトップ争いには加われず
  • 最終的に総合5位でチェッカー。フェラーリ勢唯一のトップ5入りとなる

83号車(7位)

前年(2025年)のル・マン総合優勝車。

  • 予選ではハイパーポール進出を逃し17番手スタート
  • レースでは着実にポジションを回復
  • 大きなトラブルなく走り切り、総合7位で完走
  • 優勝経験を持つAF Corseとしてはやや不本意な結果ではあるが、後方スタートを考えれば堅実なレース運びであった

50号車(リタイア)

最も期待されたワークスカーの1台なるもフェラーリ勢で唯一のリタイア。

  • 予選12番手スタート
  • レース前半からペナルティや細かなトラブルに苦しみ、上位争いから徐々に後退
  • 終盤までに大きく周回遅れとなり、その後リタイア扱いに

フェラーリ敗因のまとめ

フェラーリ499Pは(2023年から2025年まで)ル・マン3連勝を達成していたものの、2026年は以下の要素が重なり、不本意な結果に終わったものと思われます。

その結果、フェラーリ勢最高位は51号車の5位となり、499Pのル・マン連勝は「3」でストップしてしまい、来年のリベンジには期待がかかりますね。

  • 予選で前方グリッドを確保できなかった(最高でも51号車の8番手)
  • BMW、キャデラック、トヨタのペースが大幅に向上
  • レース中のペナルティやトラブル
  • 気温上昇時のロングラン性能でトヨタが優位だったとの見方

ルイス・ハミルトンはフェラーリ移籍後「初」の優勝を手に

一方、ル・マン24時間レース決勝と同日に開催されたF1バルセロナ・カタルーニャGPでは、ルイス・ハミルトンがフェラーリ移籍後に初優勝を飾っており、文字通り「悲喜こもごも」の週末となっています。※アストンマーティンはF1、ル・マンともに残念であった

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