■そのほか自動車関連/ネタなど

これから中国のEVメーカーが世界に打って出ることになりそうだ。とくに存在感を強めそうな「5社」を見てみよう

これから中国のEVメーカーが世界に打って出ることになりそうだ。とくに存在感を強めそうな「5社」を見てみよう

| 中国市場はすでに過密状態、力のあるEVメーカーは「海外市場」を目指すと見られている |

PCや家電、そのほかの製品同様、自動車についても中国製が世界にあふれることになるだろう

さて、現在中国には170を超える自動車ブランドが存在すると言われますが(これでもピークに比べると随分減った)、中国市場では人口1,000人当たりの新車販売台数がわずか17.5台しかなく、よって自動車ブランドは「超」過密状態だと言われます。※参考までに、アメリカは40.6台、西ヨーロッパは24.4台である

この状況については中国の自動車メーカー自身がもっともよく理解しているとも言われ、よっていくつかの自動車メーカーは「中国市場での過当な競争を避け、海外市場に脱出すること」を検討しているとも報じられており、つまりこれからは中国の自動車メーカーによる海外展開が本格化する、とも言われているわけですね。

中国
中国がドイツを抜き「自動車輸出国No.2」に!前年比+54%、世界のEV生産のうち1/3は中国にて行われているという事実を背景に、No.1の日本を抜くのは時間の問題か

| 一昨年は韓国を抜き、昨年はドイツを抜き、今年は日本を抜くかもしれない | 世界のEVの多くは「中国製」で占められ、タイで販売されるEVの80%は中国製 さて、中国が自動車販売にて世界一の座を獲得し ...

続きを見る

ただし全ての中国の自動車メーカーが海外市場に対応できるわけではない

しかしながらこれら中国の自動車メーカーすべてが「輸出」できるかというとそうではなく、まずは中国政府の発行する輸出免許を取得できるかどうか、そして取得できたとしてもその品質が海外市場で通じるかどうかといった問題も。

そこで今回、中国の自動車メーカー(ブランド)で「世界に進出し、戦える可能性がある」5社を見てみましょう。

1.MG

MGは中国で誕生した自動車ブランドではありませんが、2006年以降中国の自動車メーカーの管理下にあり、現在のオーナーは上海汽車。

実際の設計・生産設備が中国にあるため、もと英国ブランドといえど、現在は「中国のブランド」と言って良いかと思います。

そして直近だと上海汽車のもとで大きく飛躍を遂げており、2013年には3,500台しか生産がなかったものの、2022年ではなんと45万台規模にまで生産を拡大しており、現在非常に勢いのある自動車ブランドといって良いかもしれません。

さらにMGを有利にしているのはその「ブランドバリュー」であり、多くの人が「英国の名門ブランド」という認識を持っているためか、2023年上半期、MGは欧州で4番目に売れたBEV(バッテリー電気自動車)ブランドとなっており、「ルノー、プジョー、ヒョンデ」よりも売れたブランドでもあります。

4

話題のピュアエレクトリックロードスター、「MGサイバースター」のスペックがついに公開。544馬力、0−100km/h加速3.2秒、航続距離は580km
話題のピュアエレクトリックロードスター、「MGサイバースター」のスペックがついに公開。544馬力、0−100km/h加速3.2秒、航続距離は580km

| 現時点では競合車種が存在せず、世界中の市場にて高いプレゼンスを発揮する可能性がある | ただし問題は「MGらしさ」を持っているかどうかである コンセプトモデルとして発表されてからというもの、常に高 ...

続きを見る

2.BYD

中国では圧倒的な存在感を誇るBYDですが、実は輸出に弱く、しかし徐々に勢力を拡大している最中。

BYDのポジショニングはメインストリームとプレミアムセグメントの中間であるため、中南米、中東、東南アジアなど、誰もがプレミアムな電動自動車を購入できるわけではない地域に進出することができるという特徴があり、かつ最近では「シーガル」など低価格モデルも手掛けているため、「日常の足」として安価なEVを求める人にとっては有用な選択肢となる可能性があります(日米欧の自動車メーカーよりもはるかに安いEVを提供できる)。

中国BYDがテスラに宣戦布告!「2023年はテスラを抜いてEV販売世界一になる」。国内市場の混乱や輸出不調など不安要素があるも「問題ない。どれも軽微でしかない」

BYDが153万円の驚愕のコスパを持つEV「シーガル」発表!アナリスト「この半年で中国のベストセラーになり、事実上、世界で最も売れるEVになるだろう」
BYDが153万円、驚愕のコスパを持つEV「シーガル」発表!アナリスト「この半年で中国のベストセラーになり、事実上、世界で最も売れるEVになるだろう」

| おそらくBYDは中国のEVメーカーを絶滅へと追い込むだろう | 中国EVメーカーの敵は中国国内にあった さて、現在絶賛開催中の上海モーターショーでは多数のEVが発表されており、いずれのEVもパフォ ...

続きを見る

3.Geely/Zeekr

Geely(吉利汽車)は現在ボルボやロータスを参加に収めており、これによって欧州自動車メーカーの考え方を吸収することが可能となっているほか、欧州や北米の基準に準拠した技術を利用できるという状態に。

そしてGeelyブランドでは比較的低価格帯に属するクルマを手掛け、傘下にあるZeekrではややプレミアムなクラスへと進出することになりますが、Zeekrは非常に優れたデザインを持つことで中国外でも人気があり、例えばロシアでは2023年上半期においてもっとも売れた自動車ブランド4位に入っています。

BYD
日米欧の自動車メーカーが撤退し「がら空き」になったロシア市場。中国自動車メーカーが今年だけで3倍以上もシェアを伸ばし、ロシアの自動車市場の30%を占める

| 中国にとっては「棚からぼたもち」としかいいようがない | おそらくロシア市場の復活は期待できず、日米欧の自動車メーカーは「捨てる覚悟」でいるしかないだろう さて、ロシアのウクライナ侵攻以来、自動車 ...

続きを見る

これは日米欧の自動車メーカーのほとんどがロシアから撤退したことによる「棚ぼた」的な結果であるものの、現在がら空きとなったロシア市場を攻略することで生産台数を増加させることができ、これによって生産コストを下げてゆくことも可能となるため、現在様々な状況が中国に味方をしていると考えていいのかもしれません。

ロータス/ボルボの親会社「吉利汽車」のEVブランド、ZeekrよりカッコいいEV「X」登場!このデザイン、そして割安な価格となると既存自動車メーカーは相当に苦戦しそう

中国Zeekrが世界最速EV、テスラ・モデルSプレッドを名指しで「ダルい」。テスラの反応、そしていったいどれくらいのパフォーマンスを誇るのかちょっと楽しみ
中国Zeekrが世界最速EV、テスラ・モデルSプレッドを名指しで「ダルい」。テスラの反応、そしていったいどれくらいのパフォーマンスを誇るのかちょっと楽しみ

| おそらくは3モーターもしくは4モーター、そしてゆうに1,000馬力を超えてくるものと思われる | Zeekrは今後あらゆる自動車メーカーにとっても「脅威」となりうる さて、先日はもっともコストパフ ...

続きを見る

4.NIO

かつて「打倒テスラの筆頭」と言われたNIOですが、その評判のとおりテスラと競合するクルマを作っており、つまりこれは「価格帯も競合する」ということを意味します。

これはこれで一つの戦略として評価すべきではありますが、たとえばGeelyやBYD、MGのように「テスラと違うところを狙った」EVメーカーのほうが優れたパフォーマンスを発揮しているという現実も(EV市場は完全にブルーオーシャンなので、NIOはあえてテスラを狙う必要はなかった)。

ただしテスラを狙ったことによって「世界に通用するクルマづくりができるようになった」という副次的効果がもたらされており、これによって比較的世界進出が容易になるのでは、とも見られているようですね。

テスラ・モデル3最大のライバル?中国NIOより、最大で航続可能距離1,000kmの「ET5」登場。価格は590万円〜、ARや自動運転も

NIO
中国より「世界で最も空気抵抗が小さいSUV」、NIO EC7が発売に。中国で好まれるクーペSUV、価格は約900万円から

| NIOは現在中国では非常に勢いがあるEVメーカーの一つ | おそらくこの原価は非常に安く、相当に利益率が高いモデルだと考えられる さて、現在中国にて勢いがある自動車メーカーの一つ「NIO」。BYD ...

続きを見る

5.宝潤(Baojun)/五菱

これら自動車メーカーはシボレーの中国におけるパートナーではありますが、「非常に価格競争力がある」クルマを作ることで知られており、日本やアメリカ、欧州にて勢力を拡大することは難しいかもしれませんが、東南アジアやロシア、南米や南アフリカといった所得が高くない地域では非常に高いプレゼンスを誇ると見られています。

もちろんこれらのブランド名のまま販売される可能性もありますが、パートナーであるシボレーのバッジを装着しシボレーのディーラー経由にて販売を行えば、世界中での販売を有利に進めることができる可能性が非常に高く、かつシボレーとは価格帯的に競合せず、さらにはシボレーにもなんらかのマージンが入ると思われ、よってシボレーもこれを推進するかもしれません。

1036131

中国からスズキ・ジムニーサイズのエレクトリックオフローダーが出るようだ!発売するのは現地Baojun、ユニークなデザインで定評があるぞ
中国からスズキ・ジムニーサイズのエレクトリックオフローダーが出るようだ!発売するのは現地Baojun、ユニークなデザインで定評があるぞ

| 中国の自動車メーカーはときに自由すぎる発想でクルマを作ることがあってなかなか楽しい | おそらくは競争が厳しすぎ、そうでもしないと生き残れないのだろう さて、中国の上海汽車と五菱、そしてGMとの合 ...

続きを見る

合わせて読みたい、中国のEVメーカ0関連投稿

EV
中国で「ピーク時には500社もあった」EVメーカーが今では100社へ。すでに市場は雌雄が決し、テスラとBYDでEV市場の半分、上位4社で66%を占める

| 中国のEV市場はすでに淘汰の時代を迎え、その勢力図がおおよそ決定されることに | やはりもっとも強いのはBYD、2番手はテスラ さて、現在中国は「最大のEV市場」となっており、すでに販売される新車 ...

続きを見る

香港
中国でEV成長率が昨年の120%から41%に鈍化。中国政府はEV市場世界No.1の座を確保するために大規模なEV購入促進を導入、国費を大量投入との報道

| やはりEVを販売しようとなると「安く買える」ようにするよりほかはない | それはこれまでの歴史が証明している さて、中国政府が「EV販売の低迷に歯止めをかけるべく」大量に公的資金を投入するとの報道 ...

続きを見る

GAC
国際調査機関によれば、2023年は昨年比で+35%のEVが販売されるらしい。現在輸出されるEVの33%は中国から、そして2030年には世界で販売されるEVの40%が中国にて登録されるもよう

| そうなると中国市場でのEVの「遅れ」は自動車メーカーにとって致命傷となりかねない | ただし外国の自動車メーカーが、中国の自動車メーカーよりも(中国内で)競争力のあるEVを作ることは難しいだろう ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Cirqua_Recommend / 1845256

-■そのほか自動車関連/ネタなど
-, , , ,