
| 「巨大なバッテリーの上に座っている」不安を解消。EVの電磁波(エレクトロスモッグ)は本当に安全か? |
要約:EVの電磁波に関する科学的回答
- 結論としてリスクなし:EVは、運転中も充電中も、ドライバーと乗客を非常に低いレベルの電磁波にさらすだけであり、安全基準をはるかに下回ることが判明
- ガソリン車と比較: EVの電磁波(エレクトロスモッグ)は、他の最新車両と同等か、場合によっては内燃機関車よりも少ないことが確認される
- ピーク時も安全: 急加速や急ブレーキ時など、高電圧回路が作動する瞬間の磁場強度の一時的なピークも科学者が危険と見なす閾値内に収まっており、身体への影響は考えられない
- 最も高い数値は足元: 電磁場の高い数値は頭部や胴体付近ではなく、電気駆動ユニットやケーブルに近い足元付近で測定された
- 驚きの電磁波源: EVだけでなく、PHEVやガソリン車も含め、シートヒーターが車内で最も強い電磁波を発生させることが判明したが、それでも危険なレベルではない
研究の詳細:リアルな条件下での徹底的な測定
電気自動車(EV)が普及するにつれ、「巨大なバッテリーパックの上に座っていることで、ドライバーや乗客が過剰な電磁波にさらされるのではないか」という懸念が一部の消費者やメディアで取り沙汰されてきたのがここ数年。
この疑問に対し、ドイツのADAC(ドイツ自動車連盟)がドイツ連邦放射線防護局の委託を受けて大規模な研究を実施し、安心できる結論を導き出したことが明らかになっています。
ここでEVの電磁波レベルはどの程度なのか、内燃機関車との比較、そして「まさか」の最強の電磁波源となった車載機能について、最新の研究結果を見てみましょう。
測定方法と対象車種
この研究はADACのエンジニアによって実施され、以下の車両を含む幅広いモデルをテストしており、「磁場がどれほどの強度に達するか、そしてそれが科学的にリスクがあるとされる制限値に近づくかどうかを確認すること」が研究の目的であったと説明されています。
- 試験対象: EV 11台、プラグインハイブリッド車(PHEV)数台、従来のガソリン車 1台
- 測定方法:
- センサーを内蔵したダミー人形を運転席と少なくとももう1つの座席位置に設置
- 走行中(加速、制動、通常走行)と充電中のリアルな条件下で磁場強度を測定
運転中の電磁波:一時的なピークの正体
走行中のテストでは急加速や急ブレーキ時、または電気部品が作動したときに「磁場強度の一時的なスパイク(ピーク)」が観測され、しかしこれは高電圧回路や電気モーターに依存する車においては異常な現象ではない、とされています。
加えて、ADACによるとこれらの条件下で人体に実際に生じる電界強度や電流密度は推奨される制限値を大きく下回っていたといい、インプラント(ペースメーカーなど)を装着している人や妊婦であっても日常の走行であれば安全の枠内に収まることがデータによって裏付けられています。
- 最も影響が少ない場所: 頭部や胴体の領域では、ほとんど電磁波は測定されなかった
- 最も高い数値の場所: 高電圧ケーブルや電気駆動ユニットが通る足元付近
充電中の電磁波:急速充電の意外な事実
EVの充電中、特に大出力の急速充電(DC充電)において強い電磁波が発生するのではないかという懸念もあり、しかしテスト結果は以下の通りとなっていて、ここでも安全性が確認されたようですね。
- 普通充電(AC充電): セッション開始時、プラグ周辺で一時的に強い数値が測定されまたものの、これらのレベルも安全ガイドラインの範囲内に完全に収まる
- 急速充電(DC充電): 意外なことに、より高出力であるにもかかわらず、DC急速充電は、低速なAC充電よりも弱い磁場しか発生させていない
驚きの発見:車内で最も電磁波を出すのはまさかの機能
研究結果の中で最も驚くべき発見の一つは、多くの人が何気なく使用している機能が車内で最も強い電磁波の測定値を生成したこと。
それはなんと「シートヒーター」で、これはEV、PHEVだけでなく、調査対象の唯一のガソリン車でも同様の結果となっており、しかしこの場合でも測定値は危険なレベルには程遠いものだとされ、健康上のリスクをもたらすものではないことが明らかになっています。
結論:EVは安全な選択肢である
この大規模な研究結果は、電気自動車が電磁波のリスクを増大させるという懸念に対して科学的な確証をもって「ノー」を突きつけたものとなり、EVは設計段階で電磁波の曝露が厳密に管理され、その結果、現代のEVは既存の車両と比較して何ら危険ではないことが証明されています。
この結果は、(EV購入を検討している人にとって)バッテリーパックの上に座ることへの懸念を払拭し、自信を持って環境に優しい選択をするための強力な裏付けとなることは間違いなく、胸をなでおろしている人も少なくはないのかもしれません。
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