
| 自然吸気、11,000回転の衝撃。アナログの逆襲がついに始まる |
デジタルに「NO」を突きつけた新興メーカーがついにあらわる
自動車業界全体が電動化やデジタル化、そして「コックピットの巨大スクリーン化」へと突き進む2026年。そのトレンドに対し、強烈な「ノー」を突きつけるハイパーカーブランドが現れ、その名は「Nilu27(ニル27)」。
かつてブガッティ・シロンやケーニグセグ・ジェメラのデザインを手掛けた伝説的デザイナー、サシャ・セリパノフ氏が立ち上げたこの新進気鋭のブランドは、2024年の初登場時から「高回転型の自然吸気V12エンジンとマニュアルギアボックスを組み合わせた究極のアナログマシンを作る」と公言しており、そして今回、その大言壮語が単なる「プレスリリース上のみの空論」ではなく、ついに現実として産声を上げることとなったわけですね。
【この記事の要約(3つのポイント)】
- 自然吸気V12が初の火入れに成功:新興ハイパーカーメーカー「Nilu27」が、11,000rpmの超高回転を誇る6.5L自然吸気V12エンジンのダイノテストを実施。初期測定で目標の1,070馬力を突破。
- 「Hot V」レイアウトを採用:ニュージーランドのHartley Enginesと共同開発。エキゾーストマニホールドをシリンダーVバンクの内側に配置する、自然吸気エンジンとしては異例のパッケージングを確立。
- アナログの極致を追求:電動化とデジタル化が進む現代に逆行し、マニュアルトランスミッション、電子制御やスクリーンを排した純粋な「ドライバーズカー」を目指す。今後はドイツの施設に送られ、プロトタイプへの搭載テストに移行予定。
名門Hartley Enginesが手掛けた、異次元の「ホット V」自然吸気ユニット
今回、ダイノテスト(エンジン試験機での始動・計測)を無事にクリアし、ファーストランを終えたこのエンジンは「排気量6.5リットルを誇る完全独自開発の自然吸気V12」。
開発を担当したのはチューニングやレース用のカスタムエンジンで知られるニュージーランドの精鋭技術集団「Hartley Engines(ハートレー・エンジンズ)」です。
一般的に超高級ハイパーカーのエンジン開発といえばイギリスのコスワースなどが有名ですが、セリパノフ氏は敢えて独自の技術力を持つハートレー社をパートナーに選ぶこととなり、今回最初のテストランを終え、Nilu27のCTO兼COOを務めるサイモン・ウェグナー氏は次のように語っています。
「私は自動車およびハイパーカー業界に25年以上身を置いていますが、これほど新しいエンジン構成が最初の始動で完璧かつスムーズに動作するのを見たことがありません。ハートレー・エンジンズの精密な設計と、我々のチームとのシームレスな統合は非常に印象的でした。これは、今後の生産スケジュールやパフォーマンス目標にとって極めて大きな勝利です」
常識を覆す「Hot V」レイアウト
このエンジンの最も興味深い特徴の一つが、シリンダーのバンク角を80度とし、エキゾーストマニホールドをシリンダーヘッドの「内側(谷間)」に通す「Hot V(ホットV)」レイアウトを採用している点。
通常、自動車業界で「Hot V」といえば、ツインターボチャージャーをシリンダーバンクの間に配置して効率を最大化するターボエンジンに用いられる言葉ですが、Nilu27のエンジンはあえて自然吸気(ターボなし)でありながらこのレイアウトを採用しているというわけですね。
-
-
「ホットV」ターボエンジンを発明したのはBMW。その後メルセデス・ベンツ、フェラーリ、トヨタも採用するに至った現代エンジン最強の秘密に迫る
Image:BMW | さすがBMWは「エンジン製造会社」だけはある | この記事のポイント 「ホットV」とは、V型エンジンのバンク内にターボを配置する画期的な構造 BMWが2008年に「N63」エン ...
続きを見る
まるで1960年代のF1マシンやフェラーリのクラシックレーサー(下の画像)を彷彿とさせる、上部へ美しくうねりながら立ち上がる12本のエキゾーストヘッダー。
この複雑な配管は、芸術的な外観を作り出すと同時に、Nilu27の完全に露出したリアエンドから効率的に熱を逃がすための機能的なデザインでもありますが、「まさかこのレイアウトを現代のクルマ(しかも市販車)で見られるとは」という感じですね。

車種概要:Nilu27
Nilu27のデビュー作となる「NILU」ハイパーカーのスペック、および今回のエンジンテストで判明した詳細スペックをまとめてみると以下の通り。
Nilu27 V12ハイパーカー 主要スペック
| 項目 | 詳細スペック |
| エンジン | 6.5L 80度V型12気筒 自然吸気(NA) |
| エンジンレイアウト | 「Hot V」パッケージング(エキゾースト内側配置) |
| 開発パートナー | Hartley Engines(ニュージーランド) |
| トランスミッション | 7速マニュアルトランスミッション(CIMA製) |
| 目標最高出力 | 1,070馬力(1,085 PS / 798 kW)以上 ※初期ダイノテストで既にクリア |
| レッドライン | 11,000 rpm |
| 乾燥重量 | 約1,200 kg |
| タイヤ | ミシュラン Pilot Sport Cup 2 R |
| 生産台数 | サーキット専用モデル:15台 / 公道走行可能モデル:54台 |
競合比較・市場での位置付け:GMAやパガーニを狙い撃つ「最後のアナログ・フロンティア」
Nilu27が参入するウルトラハイパーカー市場において、直接のライバルとなるのは、やはり「自然吸気V12」と「マルチシリンダー・マニュアル」にこだわる数少ないブランドです。
ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)「T.50」
- 特徴:コスワース共同開発の3.9L V12(12,100rpm、663馬力)に6速マニュアルを組み合わせる。車重986kgという圧倒的な軽量さが武器。
- Nilu27との違い:GMAが超軽量な「公道用F1」を追求しているのに対し、Nilu27は6.5Lという大排気量から叩き出される1,000馬力オーバーの「野生的な破壊力」と、完全に剥き出しになった官能的なメカニカルデザインを強みにしている
-
-
レーシングカーよりもずっと速かった。ゴードン・マレー「T.50s」がテスト中に”うっかり”記録を更新してしまう
Image:Gordon Murray Automotive | 伝説の男が放つ「究極の回答」、GMA T.50 | この記事の要約 GT3超えの快挙: バーレーンでのテスト中、GT3マシンのコースレ ...
続きを見る
パガーニ「ウトピア(Utopia)」
- 特徴:AMG製の6.0L V12ツインターボエンジンを搭載し、864馬力を発生。マニュアルトランスミッションを選択可能。
- Nilu27との違い:パガーニが「ターボ」による強烈なトルクとモダンラグジュアリーな工芸品を目指すのに対し、Nilu27は徹底して「自然吸気の鋭いレスポンスと、11,000回転という狂気的な高回転の咆哮」にこだわっている
-
-
【驚愕】あえて「ボロボロ仕様」にカスタムされたパガーニ・ウトピア登場。「ル・マン24時間レースを戦い抜いた状態」を再現
Image:Pagani | あえて“傷だらけ”に仕上げられたパガーニ・ウトピア、その名も「ザ・コヨーテ」 | パガーニ・アウトモビリが、新たなワンオフモデル「ウトピア・ザ・コヨーテ(The Coy ...
続きを見る
結論:理論が現実へと変わった瞬間。プロトタイプの公道テストへ期待が高まる
「理論が現実になった瞬間です」と、創設者のサシャ・セリパノフ氏が誇らしげに語るように、今回のダイノテストの成功は、このハイパーカープロジェクトが単なる夢物語ではないことを証明する貴重な例の一つ。
この特別なV12エンジンは、さらなるベンチテストとキャリブレーションを経た後、ニュージーランドからドイツ・ラールにあるNilu27の研究開発拠点へと空輸される予定だといい、そこでは特製の7速マニュアルトランスミッションとドッキングされ、その後に最初の「自走可能なプロトタイプ車両(テストカー)」へと搭載されることになるのだそう。
今後、ドイツのサーキットやアウトバーンを「自然吸気、11,000回転」という異次元の咆哮をあげながら駆け抜けるプロトタイプが目撃されることとなりそうですが、このNilu27につき、まずは15台のサーキット専用ローンチモデルが製造され、その後に54台の公道仕様モデルがデリバリーされる予定となっています。
まさに、世界中の1%にも満たない「本当に走りを愛し、指先と足の裏でクルマと対話したい」と願う億万長者のコレクターにとって、これ以上ない選択肢が誕生したということになりそうですね。
合わせて読みたい、関連投稿
-
-
ランボルギーニ、ブガッティ、そしてケーニグセグを経たデザイナーが独立。「クルマのデザインを原点に戻したい。真の美は絶対的なものであるべきです」
| 今後、様々な場面において「サシャ・セリパノフ」の名を聞くことになるだろう | サシャ・セリパノフ氏は「クルマのデザインと設計は一緒に行われるべきだ」と考えている さて、ランボルギーニ、ブガッティ、 ...
続きを見る
-
-
ブガッティ、ケーニグセグを経て独立したデザイナーが「NILUハイパーカー」を発表。自動車史上最高出力の1070馬力を誇る自然吸気V12エンジンを搭載し、なんと「7速MT」でこれを駆動
Image:Nilu27 | Nilu27は「楽しさ」のためにあえて効率ではない方法を喜んで選択することを厭わない | NILUハイパーカーには過去のスーパーカーやF1マシンに対する様々な敬意が込めら ...
続きを見る
-
-
元ブガッティのデザイナーが発売するハイパーカーブランド、Nilu27はとんでもないクルマになりそうだ。リヤはエンジンほぼむき出し、許容回転数は11000回転
| ティーザー画像を見ただけでも「妥協なきパフォーマンス」を追求したであろうことがよくわかる | エンジンはおそらく自然吸気、「V12」だとも推測されているが さて、先日は元ランボルギーニ / ブガッ ...
続きを見る
参照:Nilu27











