
| 神聖な「跳ね馬」を冒涜?ガスモンキーの暴走が招いた悲劇とは |
6輪テスタロッサ炎上の核心
- プロジェクト概要: ダントン・アート・カスタムズとガス・モンキー・ガレージが共同にて6輪テスタロッサを製作する契約を締結。ダントン・アート・カスタムズが”改造”を行い、仕上げをガス・モンキー・ガレージが請け負うはずだった
- 金銭と名誉の争い: いつの間にかこの6輪テスタロッサを改造したのは(ダントン・アート・カスタムズではなく)ガス・モンキー・ガレージということで宣伝され、ビルダーのアレックス・ダントン氏がガス・モンキー・ガレージを「嘘つき、泥棒」と非難
- 支払いの不履行: アレックス・ダントン氏は自身の作業の10%未満しか支払われていないと主張し、「口封じの契約」を強制されたと告発
- ガス・モンキー・ガレージ側の主張: ガス・モンキー・ガレージは、持ち込まれた6輪テスタロッサは「作りが悪く」、塗装やフィッティングが不十分で、ほぼ全ての部分に大規模な手直しが必要であり、よってこの車両は自身の作品だと主張
- プロジェクトの現状: 大幅な手直しにもかかわらずガス・モンキー・ガレージによれば「まあまあマシな状態」になった程度で、完成には「膨大な作業」がまだ必要
この「6輪テスタロッサ」プロジェクトはこういった経緯を持っている
米カスタムカー界のカリスマ、リチャード・ローリングス氏率いるGas Monkey Garage(ガス・モンキー・ガレージ)と、フランスの異端カスタムビルダー、ダントン・アート・カスタムズ(Danton Art Kustoms)が共同で進めていた「6輪フェラーリ・テスタロッサ」プロジェクト。※ガス・モンキー・ガレージは2年前にテスタロッサのオープンモデルを製作し避難を浴びている
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このプロジェクトは開始当初から大きな注目を集めていたものの、現在この両者の間で泥沼の金銭トラブルと著作権争いが生じているとされ、その車両以上に大きな注目を集めることとなっています。
この「異端の6輪車」は、登場当初から自動車ファンに好奇心と嫌悪感を同時に抱かせてきましたが、数ヶ月の沈黙を経て、その裏側で起きていた壮絶なドラマが公になっており、ここでは、この「アイコン的スーパーカーの冒涜」とも言えるプロジェクトがなぜ頓挫寸前の状況に陥り、関係者が互いを「泥棒」と呼び合う事態になったのかを見てゆきたいと思います。
炎上の発端:約束されたパートナーシップ
6輪フェラーリ誕生までの経緯
この騒動の根源は、フェラーリ・プロジェクト以前にさかのぼります。
- 先行プロジェクト(2024年初頭):
- ダントン・アート・カスタムズのアレックス・ダントン氏とFrechy Export LLCがダッジ・ヘルキャットのV8エンジンを搭載した6輪AMゼネラル・ハマーを製作(駆動は2輪)
- Gas Monkeyによる購入と売却:
- ガス・モンキー・ガレージを率いるリチャード・ローリングス氏がこの6輪ハマーを購入し、バレット・ジャクソン・オークションで75万ドルという高値で売却
- パートナーシップの合意:
- ハマーの売却が成功したことでローリングス氏とダントン氏は「6輪フェラーリ・テスタロッサ」6輪化プロジェクトを共同にて実行し、資金出し合うことで合意
この合意に基づき、ダントン・アート・カスタムズが車体のコアな部分の改造を担い、ガス・モンキー・ガレージが最終的な仕上げを行うはずであったとされ、実際にダントン・アート・カスタムズによって改造された6輪テスタロッサがガス・モンキー・ガレージの元へと届けられています。
なお、このダントン・アート・カスタムズはこれまでにもポルシェ911やランボルギーニ・エストーケの「ホットロッド」、フェラーリ360「バルケッタ」などを制作した実績があり、ある程度の技術を有すると見られるビルダーでもありますね。
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nstagramで勃発した泥沼劇
ダントン氏の怒りの告発
そしてこの6輪テスタロッサがガス・モンキー・ガレージへと送り届けられた数ヶ月後、それまで音沙汰がなかったにもかかわらず、突如としてガス・モンキー・ガレージのローリングス氏が6輪フェラーリ・テスタロッサの横で微笑む写真をインスタグラムへと投稿したことで戦いの火蓋が切られ、というのも実際に車両を製作したのはダントン・アート・カスタムズであるにもかかわらず、そこではいかにも「ガス・モンキー・ガレージが改造したかのように」事実が改変されていたから。
よってオリジナルビルダーであるアレックス・ダントン氏がその投稿のコメント欄に登場し、ローリングス氏とガス・モンキー・ガレージに対する強烈な非難を浴びせています。
「他人の仕事を盗んで、手柄を横取りするのは簡単だ。カルマ(因果応報)は非常に重要だ。そうだ、嘘つきで泥棒め、私が(改造を)やったんだ、彼らはナット一本すら触っていない。」
「彼は私に、作業の10%以上も支払っていない。(彼は)私に口封じのための契約書に署名させた。彼は財政的な力を使って人を潰す。私は弁護士に金を払うよりも、自分のアートを知ってもらうために働きたい。」
ガス・モンキー・ガレージ側からの反論
これに対し、ガス・モンキー・ガレージのリチャード・ローリングス氏は、ダントン氏の告発を事実上否定し、プロジェクトの遅延と今回の騒動の原因は「持ち込まれた車両(6輪テスタロッサ)の質の低さ」にあると反論することに。
- ローリングス氏の主張: 持ち込まれたテスタロッサは、溶接、塗装、パネルのフィッティングが期待値をはるかに下回っており、ほぼすべての部分で大幅な手直し(リワーク)が必要だった
- 現状の評価: 多くの手直しを経た現在でも、この6輪フェラーリは「まあまあマシな状態」になったに過ぎず、完成までには「膨大な作業」が残っている
つまりローリングス氏は「ダントン・アート・カスタムズが作ったと”される”車両は不完全であり、この状態にまで作り上げたのは自身である」と主張しており、この発言は「6輪テスタロッサプロジェクト」が単なる技術的な挑戦ではなく、品質管理とコミュニケーションの失敗によって最初からトラブルを抱えていたことを示唆しています。
結論:完成間近と破壊の狭間で
この一連の騒動は、カスタムカーの世界において、アーティストの創造性とビジネスの倫理が衝突する際の深刻なリスクを浮き彫りにしており、ローリングス氏は完成に向けて作業を進めていると主張していますが、ダントン氏は車がどうなるかという質問に対し、「破壊されるべきだ」とコメントしており、両者の溝は”埋まらないまま”。
この「異形の跳ね馬」は、完成すれば確かに注目を集める事となりそうですが、その背後には金銭トラブル、名誉の争い、そして破綻したパートナーシップという、自動車界のゴシップ史に残るであろう生々しいドラマが刻まれることになるのは間違いなく、そして現在はここに「さらに複数の」ユーチューバーなどが絡んできており、自体はより複雑になりそうな気配を示しています。
ただ、いろいろな意味において「お金を生む」プロジェクトだけに、ガス・モンキー・ガレージとしてはなんとか完成までにこぎつけたいのかもしれませんね。
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