| できれば多くのショップが「遠慮したい」と考えるクルマに違いない |
おなじみロンドンのカーディティーリングショップ、「トパーズ・ディティーリング」。
これまでにもマクラーレン・セナ、ランボルギーニ・ヴェネーノなど希少なハイパーカーのディティーリングを行う様子を公開していますが、最新動画はなんとアストンマーティン・ヴァルカンです。
アストンマーティン・ヴァルカンは24台のみが生産されたサーキット専用モデルで、その価格は約3億円。
フロントに搭載されるエンジンは7リッターV12、顧客の要望によって500馬力~820馬力を発生し、Xtrac製6速シーケンシャル・トランスミッション、カーボン製のトルクチューブを介して後輪を駆動します。
アストンマーティン・ヴァルカンの生産台数は24台
ヴァルカンの生産台数は上述の通り”24台”に絞られ、これは「ル・マン24時間レース」、そして当時公開された007映画「スペクター」がシリーズ24作目であったことにちなんでいる、とのこと。
なお、「ヴァルカン」の名称はイギリスの戦略爆撃機である「バルカン(Vulcan)」に由来しますが、アストンマーティンの伝統でもある「V」ではじまるネーミングを持つということになりますね。
加えて、アストンマーティンは「スピットファイア」等の戦闘機をモチーフにした限定モデルを発売したり、DBXを生産する新工場についても、その敷地が英国空軍からの払い下げであるなど、なにかと戦闘機には縁の深いメーカーだと言えそう。
アストンマーティン・ヴァルカンはこうやって洗う
そしてトパーズ・ディティーリングではまずヴァルカンを洗車。
いつもどおりに専用の水を使用したり、温水を使用したりという「手間ひまかけた」洗車工程です。
ブレーキディスクは「カーボンセラミック」だとされていますが、動画を見るとけっこう鉄粉が出ていて、もしかするとブレーキパッド側にメタル成分が多いのかも。
サイドウインドウやCピラー、ルーフなど「極めて段差が小さい」ということもわかります。
モール類は一切なく、おそらくはサイドウインドウが昇降しないためにこういった構造を採用できたのでしょうね。
細かい部分は「馬毛」ブラシにて。
必要に応じ、粘土にて鉄粉等を除去してゆきます。
このテールランプの複雑さはヴァルカンならではですが、「ディティーリングショップ泣かせ」な部分なのかも。
その後は高圧洗浄機で泡を一気に流しており、しかしさすがにヴァルカンに高圧の水を噴射するのは勇気がいりそう(どこに水が入り込むかわからない)。
そして洗車完了。
この後にプロテクションフルム施工ブースへと移され、「全身ラッピング」されることに。
アストンマーティン・ヴァルカンにはこうやってフィルムを貼る
そしてここからはフィルム施工。
トパーズ・ディティーリングでは必ず水貼りを行うので、ボディ全体に(洗剤を含む)水を噴霧。
その後はフィルムを貼ってゆきますが、独自の型を使用し、パネルよりも「必ず大きめ」にカットしています。
その後はスキージーを使用してひたすら丁寧に貼り込み。
こんな複雑な部分ですら「すべて覆う」ことを前提に作業を進めてゆきます。
こういったパネルのエッジ部分は内側に巻き込み、「貼ったことがわからない」ようにフィルムを大きめにカットしているわけですね。
なお、通常はここまで「巻き込み」を行わず、したがってほとんどの場合は「貼ったことがわかる」のがプロテクションフィルム。
ぼくはそういった「境界線」が嫌でフィルムを貼らないのですが、ここまで”貼ったことがわからない”レベルに仕上げてくれるのであれば、ぜひ頼んでみたいものだ、とも思います。
こちらが貼り終えた状態。
フィルムのエッジはどこからも確認できず、そしてカーボンファイバーの上には「クリア層」がプラスされることで、より美しく見えるように感じます。
フロントのエンブレムはカーボン。
もちろん一旦取り外してフィルムを貼っています。
なお、カーボンファイバーを素材として用いるのは軽量化のためですが、ヴァルキリーではさらにもう一歩進み、「薄さ数ミクロン、軽さ数ミリグラム」の特殊ステッカーを採用しているようですね。
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リアセクションにおいても「全てのパネルでフィルムを巻き込んで」いるためにフィルムの痕跡はまったくナシ。
素晴らしい技術を持っていることに驚かされるものの、その「施工費用」についても気になりますね。