
| ヴァラーは「V12+MT+後輪駆動」という非常に稀有な存在である |
おそらく、今後「目にする機会が訪れない」であろう希少なハイパーカーである
さて、アストンマーティン「ヴァラー」を見てきたのでここで紹介したいと思います。
ヴァラー(Valour)は、英国のアストンマーティンが創立110周年を記念して2023年7月に発表した世界限定110台の特別なスポーツカーで、最大の特徴は715PSを発生する5.2リッターV12ツインターボエンジンに「専用設計の6速マニュアルトランスミッション(MT)を組み合わせていること」。
高性能化や電動化が進む現代において、ドライバー自身がギアを選び、エンジンの力を操る楽しさを追求したモデルであり、現在のハイパーカー市場においては「非常に稀有な存在」と言っていいかと思います。

この記事の要約
- アストンマーティン ヴァラーは同社の「110周年」を記念し発売された「110台のみが販売される」超限定ハイパーカー
- V12エンジンに6足マニュアル・トランスミッションを組み合わせ、駆動輪は「後輪のみ」
- 単なるレトロデザインの限定車ではなく、往年のアストンマーティンを思わせるスタイルと、現代のスーパーカーに匹敵する性能を融合させた、コレクターズカーとしても注目される一台
エクステリア——1970〜80年代の名車を現代に蘇らせる
ヴァラーのデザインは1970〜80年代の「V8 Vantage」や、ル・マン参戦車「RHAM/1 Muncher」から着想を得ていおり、特徴として挙げられるのは次のポイントであると考えられ・・・。

- 丸型ヘッドライトと大型グリル: 古典的なアストンマーティンの表情を現代的に再構築
- ロングノーズのボディ: フロントに大排気量V12を搭載するスポーツカーらしいプロポーション
- カムテール形状のリア: 後端を切り落としたような独特のデザインを持ち、空力性能にも配慮
- 21インチのハニカムホイール: 専用デザインの鍛造アルミホイールを採用
- カーボンファイバー製ボディパネル: クラシックな造形と現代的な素材技術を融合
特にフロントの丸型ライトと低く構えたボンネット、張り出したリアフェンダーの組み合わせは、現行のDB12やヴァンキッシュとは異なる、筋肉質でクラシカルな魅力を持っているように思います。

なお、クラシカルなルックスに目を奪われがちではありますが、細部を見ると最新のエアロダイナミクスを誇ることがわかり・・・。

随所には空気を流す(取り入れて排出する)ための「エアチャンネル」が設けられています。

フロントフードには「ホースシュー」ベントにNACAダクト。
ヘッドライト上部から入ったエアもボンネット上部を流す設計です。

カーボンファイバー製パーツの美しさは比類なく・・・。

まさに見とれんばかり。

このリアディフューザーは圧巻。

テールエンドは「ダックテール」形状を持ちますが・・・。

リアディフューザーも「ダックテール」っぽいリップを持ちます。

テールパイプは「3本出し」で、ディフューザーの内部に「隠されている」のは特筆すべき点かもしれません。

フロントフェンダーも大きく張り出しているものの、リアフェンダーの張り出しはもっと大きく。
これは現行アストンマーティン各モデル(フロントエンジン車)にも共通する仕様でもありますね。

なお直線と曲面とが複雑に絡み合っているのもアストンマーティンのフロントエンジン車の特徴であり、これが「細マッチョ」的な筋肉質をアピールするところなのだと思います(よって、ぼくがアストンマーティンを選ぶことがあれば、より陰影が出やすいメタリックカラーを選びたいと思う)。

リアウインドウは「レス」、そして後方確認はルーバーに格納されたカメラとモニターによって行います。

テールランプは同社の特別モデルのみに付与される「モノリス」。

超少量限定生産車ではありますが、ナンバープレートベースは「成形された」品質の高い樹脂製。

インテリア——主役はマニュアルのシフトレバー
ヴァラーのインテリアで象徴的なのがセンターコンソールに設置された6速MTのシフトレバーであり、近年のスーパーカーでは、デュアルクラッチ式ATやパドルシフトが主流ではあるものの、ヴァラーはあえてドライバーがクラッチ操作とシフトチェンジを行う方式を採用しています。
なお、インテリアには以下のような素材が用いられており・・・。
- レザーやツイードなど、英国車らしい伝統的な素材
- 軽量な木目調カーボンファイバー
- 削り出しのビレットアルミニウム
- 手触りや操作感を重視した専用シフトレバー

単に懐古趣味に振ったのではなく、素材や加工技術は「非常に」現代的。
最新の性能を持ちながら、運転操作そのものを楽しむための空間に仕上げられている、というわけですね。
5.2リッターV12ツインターボの性能
搭載されるのは5,204ccという排気量を持つV型12気筒ツインターボエンジンで・・・。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| エンジン | V型12気筒ツインターボ |
| 排気量 | 5,204cc |
| 最高出力 | 715PS |
| 最大トルク | 753Nm |
| トランスミッション | 6速MT |
| 駆動方式 | FR |
| デファレンシャル | 機械式LSD |
| ホイール | 21インチ鍛造アルミ |
| タイヤサイズ | 前275/35 R21・後325/30 R21 |

注目したいのは、最大トルク753Nmという大きな数値だけではなく、アストンマーティンによれば、2速ギアでも広い回転域で力強いトルクを発揮するように調整されており、1,800rpm付近から7,000rpmまで、力強い加速を楽しめる特性を目指している、とのこと。
また、機械式LSDを採用することによって後輪に伝わる駆動力を”ドライバー自身がコントロールする楽しさ”にも配慮しています。

価格は約3億1,000万円から
なお、ヴァラーの価格は150万ポンドに設定され、これは現在の為替レートだと「3億1000万円相当」。
もちろんオーナーが指定した仕様によって価格が大きく上昇することは言うまでもなく、アストンマーティンのパーソナライゼーション部門「Q by Aston Martin」を利用すれば、ボディカラーやインテリア素材などを「さらに細かく」自分好みに仕立てることも可能です。

ヴァラーとヴァリアントの違い
ヴァラーと混同しやすいモデルに「さらに走りを重視したヴァリアント(Valiant)」があり、その主な差異は以下の通り。
アストンマーティン・ヴァラー(世界限定110台)
- 創立110周年記念車
- 715PSのV12ツインターボ
- 6速MT
- クラシックな美しさと日常的な走行も意識した設計

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- 745PSのV12ツインターボ
- 6速MT
- 軽量化や空力性能、サーキット走行をより強く意識
ヴァリアントはヴァラーをベースとし、より過激なドライビング性能を追求した特別モデルという位置づけです。
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まとめ
アストンマーティン・ヴァラーは、創立110周年という節目に生まれた、希少性とドライビング体験を重視するコレクターズカー。
ハイブリッド化が進むハイパーカー市場において、ヴァラーは「エンジン回転数とギアを自分で操る」という往年のスポーツカーの魅力を極限まで純粋な形で残したモデルともいうべき存在です。
おそらく、今回の機会を逃すと「二度と目にすることはできない」であろう希少なクルマでもあり、文字通り「目にすることができて幸運」であったと思います。
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