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アストンマーティン・ヴァラーは限定台数の10倍もの購入希望を集めていた。「その原因はMTの採用でしょう。クルマ好きにとってこれ以上のことはないと思います」

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| アストンマーティンは経営体制の変更後、その方向性がいくつか大きく覆っている |

だたしそれらは全て「好ましい」方向だとも考える

さて、アストンマーティンはおよそ1年前に110台のみの限定モデル「ヴァラー」を発表していますが、このヴァラーはわずか2週間で予定生産台数を売り切ってしまい、その限定台数に対する購入希望はなんと「10倍」であったことが明かされています。

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アストンマーティン・ヴァラー成功の理由は「マニュアル・トランスミッション」?

この事実はアストンマーティンのローレンス・ストロール最高経営責任者兼会長によって明かされたもので、同氏によるとヴァラーに対する反響の大きさは「異常なほど」。

このヴァラーは1970年代と1980年代のアストンマーティンへのオマージュであるワンオフモデル「ヴィクター」ーにインスピレーションを得た外装を持ち、そのベースとなるのは(フェイスリフト前の)ヴァンテージ。

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ただし搭載されるエンジンはヴァンテージの「V8」ではなくV12ツインターボで、その出力は715馬力、そしてなんといっても特徴的なのは6速マニュアル・トランスミッションを持つこと。

そしてこのヴァラーの成功につき、ローレンス・ストロール氏は「マニュアル・トランスミッションの採用」が最大の理由だと考えているようです。

全世界規模において、みんなが電気自動車に乗り換えると考えるのではなく、『マニュアル車が欲しい』という考え方に戻りつつあるのではないでしょうか。自動車愛好家やクルマ好きにとって、マニュアル・トランスミッション以上のものはないでしょう。だから私たちは、彼らの心情を理解するための大きなチャンスを研究しているのです。

なお、ローレンス・ストロール氏はトミー・フィルフィガーなどアパレルブランドへの投資によって財を成したビジネスマンであり、つまりは「商売上手」だと考えてよく、実際にそれまで「廃止する」としていたV12エンジンやマニュアル・トランスミッションの存続を(ファンがそれらを求めているとの判断にて)決定しており、つまり商業的にチャンスがあるのであれば、そしてそれがアストンマーティンブランドとしての排他性の確立やブランディングに繋がるのであれば以前の決定を覆してでもそれを追求するという方針を持っているわけですね(こういった決断力は非常に重要である)。

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アストンマーティンはマニュアル・トランスミッション車を復活させる?

ただ、今回のコメントをもって「アストンマーティンがマニュアル・トランスミッションを広く復活させる」と考えるのは早計で、というのもアストンマーティンはヴァンテージにMTを導入したもののさっぱり売れず、かつエミッションコントロールの難しさから「量産モデルにMTを存続させる理由はない」と断じているため。

しかしながら今回のヴァラーのように「限定車」にこれを搭載することについては”有効”だと捉えており、マニュアル・トランスミッションは今後”限定車においてのみ”実装されることになりそうです(アストンマーティンの場合、そのキャラクターからして一般向けモデルではMTは好まれないものの、コレクター向けの限定モデルだとMTに対しての強い要望がある)。

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上述の通りローレンス・ストロール氏は「ビジネスマン」であり、あくまでもアストンマーティンをビジネス的観点から蘇らせようとしており、そしてそのために最適な手段を用いようとしているわけですが、その手法は簡単に言えば「フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンをベンチマークするのではなく、むしろアストンマーティンにしかできない独自路線を行くこと」。

つまりは完全なる差別化と排他性をもってアストンマーティンを高みへと導こうとしており、そしてそのためには「伝統」を重視しています。

そして「V12」「MT」存続もまた伝統を重視したがための判断だとも考えられ、ローレンス・ストロール氏は実際に「顧客が我が社の伝統を受け入れている」とも。

これを実現するために、過去4年間で私たちが行った作業は非常に印象的です。また、この会社はかつて3年から5年に1台の新車を発売できなかったとも理解する必要があります。私が引き継いでからは、12か月で12台の新車を発表しています。

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