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1991年の納車以来ワンオーナー、走行わずか246キロのジャガーXJR-15が競売に!マクラーレンF1よりも2年早くカーボンシャシーとカーボンボディを採用したスーパーカー

2023/03/02

1991年の納車以来ワンオーナー、走行わずか246キロのジャガーXJR-15が競売に!マクラーレンF1よりも2年早くカーボンシャシーとカーボンボディを採用したスーパーカー

| このクルマを手掛けたのはマクラーレンF1のデザイナー、ピーター・スティーブンス |

市販車といえどもその中身は完全にレーシングカー

さて、ジャガーが世界に誇ったグループCスポーツプロトタイプ「XJR-9」の限定ロードバージョン、XJR-15がオークションへと登場予定。

このXJR-15は27台のみが生産された超希少車で、この個体はワンオーナー、そして走行わずか246キロという良好なコンディションを誇ります。

XJR-15の車体はカーボンファイバー製モノコック、そしてスタイリングはマクラーレンF1を手掛けたピーター・スティーブンスによるもので、自動車史的に見ても非常に高い価値を持つ一台だと考えていいかもしれません。

Jaguar-XJR-15 (10)

ジャガーXJR-15はこんなクルマ

ジャガーは、ル・マン24時間レースとのつながりが深く、1950年代には5回の優勝を果たし、1955年から1957年まで3年連続でトロフィーを獲得したという実績を持ちますが、1957年に伝説のD-Typeが引退し、同年末にはブラウンズ・レーンでの火災のためXKSSも生産できなくなってしまい、その後30年間ワークスとしてル・マン24時間レースに参戦することはなかったわけですね。

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ただ、1980年にジャガー会長のジョン・イーガンが社長に就任すると状況は一変し、トム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)と提携してモータースポーツの最前線に躍り出ることを目標に掲げ、まずは欧州ツーリングカー選手権でXJSのキャンペーンを成功させ、1986年にジャガースポーツを設立してパートナーシップ契約をを正式に締結することに。

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1988年と1990年には、グループCのジャガーTWR XJR-9がル・マン24時間レースとデイトナで優勝し成功を収めることになりますが、ジャガーとトム・ウォーキンショー・レーシングは超高性能ロードゴーイングスーパーカーの可能性を見出し、1990年11月、ジャガースポーツは耐久レースの本場で磨かれたレーステクノロジーを投入した、50台限定となるXJR-15を世界に向けて発表しています。

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XJR-15は、ベースモデルとなるXJR-9の技術や設計思想を踏襲しており、文字通り「公道を走行するレーシングカー」として世に送り出されていますが、XJR-15はWSCで勝利を収めたV型12気筒6.0Lエンジン(450ps)に大幅なチューニングを施し、それまでの(他社の)スーパーカーを大きく凌駕するパワーウエイトレシオを実現しています。

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レース仕様の4ピストンAPレーシングキャリパーとディスクブレーキ、そしてセンターロックの軽合金OZ製ホイールもXJR-9と共通であり、正直言って公道では相当に乗りづらかったんじゃないかと思います(この個体の距離が伸びていないの納得である)。

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さらには世界初となるカーボンファイバー製ボディ&タブ、XJR-9から移植されたサスペンション、加えてV12エンジンをシャシーの応力部材として使用するという「まんまレーシングカー」の手法を応用し、レース仕様の無線ヘッドセットを標準装備するなど、ジャガーの「高級」イメージとはかけはなれたクレイジーな車に仕上がっています。

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さらにはキルスイッチや・・・。

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ちょっとだけしか開かないサイドウインドウなど、市販化に際して「普通に乗れるように」という配慮が全くなされていないところが素敵です。

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ちなみにサイドシルはとんでもないぶっとさ。

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ジャガーXJR-15はマクラーレンF1よりも2年早くカーボン製シャシーとボディを採用していた

ジャガーXJR-15のボディはピーター・スティーブンスによってデザインされ、カーボンファイバーとケブラーの複合素材を使用していますが、これは同氏が後にデザインするマクラーレンF1よりも2年早く「オールカーボン」を採用しています。

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なお、XJR-15の開発にはゴードン・マレーも参加したとされていますが、これがのちのマクラーレンF1に繋がった可能性もありそうですね(ゴードン・マレー、ピーター・スティーブンスは、マクラーレンF1、ジャガーXJR-15という、ル・マンとつながりが深い2台を手掛けたということになる)。

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このXJR-15は発売されるやいなや、当時の各カーメディアにて「レーシングカー並みの反射神経とグリップ、V型12気筒の強烈なパワー、集中力のあるレイアウト」が高く評価されているものの、いかんせん当時「1億円以上」という常軌を逸した価格に起因してか公道仕様は27台しか生産されず、それが現代になって「とんでもない希少価値」を生むことに。

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今回出品されるジャガーXJR-15(シャシーナンバー042)は、新車時から現オーナー(アジア在住とだけ記されている)のガレージにて保管され、これまで一度も売りに出されたことがないという奇跡の個体。

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モーリシャス・ブルー・メタリックのボディカラーにサヴィル・グレーインテリアを組み合わせた特徴的なカラーリングが印象的で、1991年6月に完成し、日本郵船が運航するコンテナ船「北野」で英国からアジアに輸送されたというので、オーナーは日本人なのかもしれません。

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参照:RM Sotherby's

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