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今年のル・マン24時間のトップカテゴリ(LMDh / LMH)へのエントリーは過去最多の16台!ポルシェ、BMW、キャデラックetc. なぜル・マンへの参戦が急に増えたのか

2023/03/02

今年のル・マン24時間のトップカテゴリ(LMDh / LMH)へのエントリーは過去最多の16台!ポルシェ、BMW、キャデラックetc. なぜル・マンへの参戦が急に増えたのか

| 今年のル・マン24時間レースほど盛り上がるモータースポーツイベントは他にないかも |

しかも来年にはフェラーリとランボルギーニ、ポルシェの対決を見ることもできそうだ

さて、耐久レースの最高峰、ル・マン24時間は今年で100回目の開催となりますが、そのトップカテゴリはLMPからLMH(ル・マン・ハイパーカー)へと変更され、レギュレーションの変更によって多くのエントリーを集めることに成功しています。

現時点だと16台のエントリーが見込まれ、ル・マン24時間レースのトップカテゴリとしては2011年以来の最多となるのだそう。

なお、この「最多」の理由には、そもそも参加するチームが多いということに加え、ポルシェ(+1台)、キャデラック(+2台)、グリッケンハウス(+1台)が追加エントリーを行った事が大きく関係しているようですね。

今年のル・マン24時間レースは何が違うのか

そして今年のル・マン24時間レースの見どころはなんといっても「ハイパーカークラス」。

これは当初設立された後、ほとんどエントリーが集まらず、よってル・マン24時間レース開催側としては参加要件を緩和し、かつ北米にて開催されているIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップとの乗り入れを行っています。

このIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ、そしてル・マン24時間レース含むWEC(世界耐久選手権)とは(レギュレーションが異なるため)これまで同じ車両で戦うことができず、よってIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップは北米中心、そしてWECは欧州中心と言った感じでフィールドが完全に分かれていたわけですね。

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現在、いずれの自動車メーカーも、自社の製品を「ワールドワイド」に販売しており、それぞれの市場でのプレゼンスを高めるために各種モータースポーツに参戦したいとは考えるものの、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップだと「北米のみでしか宣伝にならず」、WECだと「欧州市場にしかアピールできず」、参戦コストを回収できないとしてこれらの参戦を見送るメーカーが多かった、というのが少し前までの状況です。

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ただ、その後IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップとWECとの協議によって「LMDh」なるレギュレーション(ソリューション)が登場し、これに合致したレーシングカーを製作すれば、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップとWEC両方に参戦ができることになり、となれば「より低いコストで、欧州と北米という2台市場へとアピールできる」ため、現在多くの自動車メーカーが参戦を決めたということになります。

よって、今年のル・マン24時間レースでは、これまで北米メインで戦っていたアキュラ、ル・マンに参戦していたスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)やトヨタとの「今まで実現しなかった」対戦のほか、ポルシェやフェラーリ、BMWらのル・マン復帰組、(2024年からとなりますが)ル・マン24時間レース初参戦のランボルギーニなどの激しい戦いを見ることができることになり、これはぼくにとっては「一大事」だと捉えているほど。

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LMDhとはなんぞや

このLMDhは「ル・マン・デイトナ・ハイパーカー」を意味しており、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの最高峰クラスで採用されているDPiの発展形規則で、参戦するチームは特定コンストラクター(マルチマチック、ダラーラ、リジェ、オレカ)によるシャシーのいずれかを選択し、そこへボッシュ製の67HPを発生するエレクトリックモーター、そしてウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングが提供するハイブリッドシステム(リアアクスルに取り付け)を搭載する必要があります。

逆に言えば、エンジンとボディワークくらいしか自由度がないわけですが、これによって開発コストが大きく抑えられることは間違いなく、しかしシャシーも(LMP2クラスにて)実績のあるコンストラクターのものなので、やりようによっては「確実にトップを狙える」わけですね。※アキュラ、BMW、ポルシェ、キャデラックなどはLMDh規定による参戦

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ただ、参戦する自動車メーカーの中には「自社開発にこだわる」「北米でのレースを捨ててル・マン(WEC)に絞る」ケースもあり、プジョー、フェラーリ、トヨタ、バイコレス、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスあたりはLMDh規定を活用せずに自社でレーシングカーを製作し、WEC独自のLMH規定に合致させています。

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こちらは非常に大きなコストがかかり、しかしWECでしかマシンを(基本的に)使用できないのですが、そのぶん設計の自由度が高く、マシン次第ではLMDhにまさる競争力を発揮できる可能性も。

正直なところ、どちらがどう、とは言えないものの、コストを抑えて北米と欧州両方の市場で戦いたいのならばLMDhであり、しかしこちらは独自性を出しにくく、ただし「ハズレ」の可能性もないという選択。

一方LMHは独自性を出しやすいものの、開発に失敗すれば「外してしまう」可能性があり、かつコストも高く宣伝効果も限定的です(LMDhとLMHとではおよそ半々となっている)。

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よってLMHは「よほど自信と資金力がないと」できない選択ではあるのですが、これらの明暗については6月のル・マン24時間レースにて明らかになるため、それまで楽しみに待ちたいと思います。

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