現代のランボルギーニ・ウラカンと同じスペック
1990年代の超レアなスーパーカー、ブガッティEB110”スーパースポーツ”がオークションに登場。
「ブガッティ」と名はつけども現代のブガッティとは別の経営者のもとで作られたクルマで、生産台数はわずか154台(そのうち”スーパースポーツ”は30台)。
ブガッティ・ヴェイロンは407台が生産され、シロンは500台の生産予定なので、それらと比較すると、EB110は「かなり少ない」生産台数だと言えます。
ブガッティEB110とは?
1897年にイタリアの起業家であるロマーノ・アルティオーリがブガッティの商標権を手に入れて1991年に発表し、1994年に発売したのがこのEB110。
”EB”はブガッティ創業者であるエットーレ・ブガッティのイニシャル、”110”はエットーレ・ブガッティ生誕110周年を意味しており、創業者やブガッティに対する愛が感じられることが一つの特徴。
つまり商業的な理由というよりは「ブガッティを現代に」という情熱が実現させたクルマであり、それが今日に至るまで高い人気を誇る理由かもしれません。
3500cc/V12エンジンにターボ4基がけという、現代においても規格外のパワーソースが特徴で、 出力は552馬力、0-100キロ加速は3.6秒と当時としては破格の性能を誇ることに。
なお、今回出品されるEB110”スーパースポーツ”は更にその出力を611馬力にまで向上させたもので(反面、重量は150キロ削られて1400キロに)、リアウイングの追加などが外観上の相違点。
生産台数は30台にとどまり、当時はマクラーレンF1当同等のパフォーマンスを誇ったことでも知られ、0-100キロ加速は3.2秒、最高速度は355km/h。
デザインはランボルギーニ・カウンタックでおなじみのマルチェロ・ガンディーニ、初期設計はこれまたカウンタックの設計を行ったパオロ・スタンツァーニ氏。
残念ながら ロマーノ・アルティオーリ経営下ではこのEB110がリリースされたのみですが、このEB110は現代のブガッティにも採用される「4WD+ミドシップ」「クワッドターボ」という基礎を築き、ブガッティ=超弩級のパフォーマンスという図式を定着させたエポックメイキングなモデルです。
加えて、パオロ・スタンツァーニが「カウンタックでは実現できなかった」4WDを実装したという意味ではカウンタック製作メンバーの「悲願が達成」されたクルマだと言え、さらにEB110設計チームメンバーの多くはのちの「パガーニ」設立メンバーとなるなど、スポーツカー史においても多くの重要人物が関わったクルマでもありますね。
フロントフェンダー後部のエアアウトレット、ホイールは通常のEB110とは異なり、スーパースポーツ(SS)専用の意匠。
リアウイングももちろんEB110スーパースポーツ専用。
かなり細かく角度の変更ができる模様。
リアクォーターウインドウの代わりにエアインテークが設置されるのもやはりEB110スーパースポーツのみ。
フロントフードの下はこんな感じ。
基本的にモノは詰めず、しかしバッテリーをセンターかつキャビンに近い位置にマウントするなど「パフォーマンス最優先」の作りとなっています。
比較的「豪華」とも言えるコクピット。
インテリアはポルトローナ・フラウ製レザーを使用しているようですね。
こちらは付属品一式(初めて見た)。
この個体については1994年にドイツへとデリバリーされたもので、その後スイスや日本のオーナーの手に渡ったことも。
しかしながらいずれのオーナーのもとでも大切にされており、現在に至るまでの走行距離はわずか916キロ。
予想落札価格は公開されていないものの、確実に「億」は超えることになりそうです。