| このクラスのクルマは「コストパフォーマンス」を求めて購入されるたぐいのモノではない |
スタイリングは悪くないとは思うが、やはり買う人の顔が見えてこない
さて、現在中国の電動ブランドとしては「4強」の一角を占める「AION」。
これはホンダとのパートナーシップで知られる広州汽車(GAC)の電動ブランドですが、今回は昨年に予告していた「ハイパーSSR」を発売するとアナウンスすることとなっています。
このアイオン・ハイパーSSR最大のトピックは「1225馬力」「0−100kmh加速1.9秒」というとんでもない数字であり、その価格は128万6000元から168万元(日本円だと2560万円〜3370万円)という超高額なクルマです。
GAC アイオン・ハイパーSSRはこんなクルマ
現在中国製EVは普及価格帯を中心に全世界へと進出しており、欧州や東南アジアでは加速度的にシェアを拡大していると言われます。
ただ、中国の各自動車メーカーはそれだけでは飽き足らず、BYDやNIOは高いパフォーマンスを誇る高価格帯のクルマを発表しており、もちろんこのアイオン・ハイパーSSRもそういった一台です。
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ただ、いかにパフォーマンスが似ていて「価格が1/10」といえど、これらがリマック・ネヴェーラ、ピニンファリーナ・バッティスタ、ロータス・エヴァイヤの代替となりうるとは思えず、さらにハイパーカーを購入できる資金を持つ人々が「(中国人であってもそうでなくても)中国製ハイパーカー」を選ぶとは考えられないため、一体中国の自動車メーカーがハイパーカーをどういった人に売りたいのかはちょっとナゾ。
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もしかすると愛国心の強い共産党幹部をターゲットとしているのかもしれませんし、あるいは実際に「実際には売る気がなくて」そういったクルマを発売するというポーズを見せることでブランド価値を高めたいのかもしれません。※NIO EP9も結局販売されているのかどうかわからない
このアイオン・ハイパーSSRに話を戻すと、エントリーレベルのSSR(出力は1,225馬力、0−100km/h加速は2.3秒)、そして上位モデルのSSRスピード(出力は同じ1225馬力だが0−100km/h加速は1.9秒)という車種構成。
価格についてはアイオン・ハイパーSSRが2560万円、アイオン・ハイパーSSRスピードが3370万円に設定されており、最高速度は250km/h、航続距離は506kmだとアナウンスされています(バッテリーパックは75kWhだとされるので、この航続距離を達成することは難しいだろう。あるいは少し甘い中国の基準であれば達成は可能かもしれない)。
スタイリングはスマートかつクリーン、シャープなイメージもあって「悪くない」とは思いますが、やはりそれでも「ターゲット不在」なクルマであることは間違いないと思います。
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