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ブガッティ「トゥールビヨン」がオーロラ輝く極寒のスウェーデンで限界テストを敢行、「どんな条件下でも完璧でなければ、それはブガッティではない」【動画】

北極圏にてテストを行うブガッティ トゥールビヨンのプロトタイプ(リア)

Image:Bugatti

| トゥールビヨンはV16エンジンとハイブリッドバッテリーを「いかなる過酷な環境においても」適切にコントロールせねばならない |

現地に滞在しテストを行うスタッフにとってもまた「過酷な」環境である

ブガッティが送り出す新時代のハイパーカー「トゥールビヨン(Tourbillon)」。

その市販化に向けた最終段階として、北極圏に近いスウェーデンの極寒地で行われた過酷なテストの模様が公開されることに。

マイナス30度という極限状態で1800馬力のハイブリッドモンスターマシンはいかにして「制御」をマスターしたのか。その舞台裏を見てみましょう。


この記事の要約(まとめ)

  • 極限のテスト: 北極圏のラップランドにてマイナス30度の極低温下で4週間にわたる検証を実施
  • 1800馬力の制御: 新開発のV16自然吸気エンジン+3基のエレクトリックモーターを氷上でシームレスに同期
  • 究極の全天候型: ABS、ESC、4WDシステムを調整し、いかなる路面状況でも「ブガッティらしい」安定性と官能性を追求
  • ハイパーカーの常識を覆す: 「雪道は走らない」という前提を捨て、あらゆる環境で最高のパフォーマンスを保証
北極圏にてテストを行うブガッティ トゥールビヨンのプロトタイプ(エンジン)

Image:Bugatti


モルスハイムから北極圏へ:トゥールビヨンが挑む「氷の試練」

ブガッティの拠点は比較的気候が温暖なフランスのモルスハイムにありますが、今回は新型ハイパーカー「トゥールビヨン」プロトタイプの寒冷地性能を検証するためスウェーデン北部、アリエプローグにある「コルミス・プルービング・グラウンド」へと開発チームがまるごと移動することに。

ここは見渡す限りの氷と雪に覆われた、自動車開発において世界で最も過酷な場所の一つだとされ、ブガッティが公式コンテンツとして配信するドキュメンタリーシリーズ「A New Era」の最新エピソードでは、この凍てつく大地でトゥールビヨンがどのように鍛え上げられているかが詳細に描かれています。

「どんな条件下でも完璧でなければ、それはブガッティではない」

ブガッティ・リマックのチーフ開発ドライバー、ミロスラフ・ズルンチェヴィッチ氏は以下のように語り・・・。

「ハイパーカーが雪や氷の上を走ることは稀ですが、私たちはこのテストを広範囲に行います。なぜなら、どんな気象条件下でもトゥールビヨンが極めて高いレベルで機能することが、お客様にとっても、開発チームにとっても最優先事項だからです。他車と同程度の能力しかないのであれば、それはもうブガッティとは呼べません。」

北極圏にてテストを行うブガッティ トゥールビヨンのプロトタイプ(フロント、走行)

Image:Bugatti

テストの焦点は「低μ(ミュー)路面」、つまり極端に摩擦係数が低い状態における挙動の把握だといい、磨き上げられた氷、固まった雪、シャーベット状のスラッシュ、そして断続的に現れるアスファルト。

目まぐるしく変わる路面で、1800馬力という強大なパワーをいかに直感的、かつ忠実にドライバーの意図へ変換できるかが試されたのだそう。

革新的なハイブリッド・アーキテクチャと制御の融合

トゥールビヨンの心臓部には新開発のV16自然吸気エンジンと3基のエレクトリックモーターが搭載されており、そのうちの2基はフロントアクスルに配されることで精密な4WD制御とトルクベクタリングを可能とし、一方でリアには3基めのエレクトリックモーターがトランスミッションへと組み込まれることでV16エンジンへと補助的パワーを供給します。

北極圏にてテストを行うブガッティ トゥールビヨンのプロトタイプ(タイヤ)

Image:Bugatti

今回のテストでは、以下の高度なシステムが統合され検証が行われることとなり・・・。

  • ブレーキ・バイ・ワイヤ: 回生ブレーキと油圧ブレーキの複雑な関係を最適化し、どんな路面でも自然な踏み心地を実現
  • MU-ジャンプ対策: 乾いた路面から突然氷の上に乗り上げるような極端なグリップ変化に対し、ABSやESCが瞬時に反応するようキャリブレーション
  • 空調システム(HVAC): マイナス30度でもキャビンの快適性を保ち、フロントガラスの曇りを即座に除去できるかを確認

走行モードによるキャラクターの変化

さらには各ドライブモードごとの徹底的なテストも実施。

  1. コンフォート(Comfort): 圧倒的な安定性と安心感を提供。低グリップ時でも車体が安定性を保つ設定
  2. スポーツ(Sport): ハンドリングがよりニュートラルになり、エンジンの存在感が増すモード。クルマの俊敏性が引き出される設定でもある
  3. トラック(Track): トルクをさらに後輪へ配分。ESCの介入を調整し、ハイパーカーらしい遊び心のある挙動を許容しながらも規律ある走りを維持するプログラム
北極圏にてテストを行うブガッティ トゥールビヨンのプロトタイプ(リア)

Image:Bugatti

ブガッティ・トゥールビヨン 主要スペック表

項目スペック詳細
パワートレイン8.3L V16 自然吸気エンジン + エレクトリックモーター3基
最高出力合計 1,800 HP
駆動方式全輪駆動 (4WD / トルクベクタリング採用)
トランスミッション8速デュアルクラッチ
テスト環境スウェーデン・アリエプローグ(最低気温 -30℃)
主な検証項目ABS/ESC/Traction Control, HVAC, ブレーキ・バイ・ワイヤ

なぜハイパーカーに「雪上テスト」が必要なのか?

一般的に、数億円クラスのハイパーカーが雪道を激走するシーンは想像しにくいかもしれません。しかし、近年のハイパーカー市場では、リマックやブガッティのように、単なる「速さ」だけでなく「グランドツアラーとしての完璧な洗練」が求められています。

加えて欧州だとスイスを中心とした冬季限定のスーパーカー / ハイパーカーイベントも少なくはなく、意外と「富裕層が雪上でハイパフォーマンスカーを走らせる」機会は少なくはないもよう。

さらにエレクトリックモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは(ガソリンオンリーの場合に比較して)緻密な制御が可能となり、そして氷の上での挙動を突き詰めることは、「結果的に」乾燥したサーキットでの限界域におけるコントロール性を高めることにも直結するといい、つまり、滑りやすい路面で完璧に制御できるクルマは、あらゆる路面で「最高に扱いやすいクルマ」になるというわけですね。

結論:新時代の伝説は、最も過酷な場所で産声を上げる

オーロラが夜空を彩り、時にはトナカイが姿を見せるスウェーデンの冬。

20名の専任チームが2交代制で昼夜問わずデータを収集し、トゥールビヨンは「機械」から「伝説」へと昇華していきます。

この厳格なテストプログラムは「スペックを誇るためのもの」ではなく、オーナーの手元に届いた時に、どんな状況下でもブガッティの名に恥じない感動を提供するために行われるもので、こういった過酷なテストを通じ、トゥールビヨンは自動車史の新しい章を切り拓く準備を着実に整えているというわけですね。

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参照:Bugatti

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