| 当時としてはかなり先進的な装備を持っており、自動車史を語る上でも外せないクルマだが |
なぜ放置され、どのようにして発見されたのかは語られていない
さて、世の中には様々な「納屋で発見された(バーンファインド)クルマ」がたびたび報じられていますが、今回はオランダのメルダースロにて発見された1949年のシトロエン・トラクシオン・アヴァン11Bがオークション形式にて販売中。
なお、フランスでの登録証とオリジナルの書類が全て揃っており、いかに朽ち果てているとしても1949年という年代を考慮するとそうとうな価格にて取引されそうではあるものの、なんといっても「76万台が生産された大衆車」ということもあって、40万円は超えないだろうと見られているもよう。※程度のいいレストア済みの個体でも200万円程度が平均的な相場なのだそう
シトロエン・トラクシオン・アヴァンはこんなクルマ
このシトロエン・トラクシオン・アヴァンは1934年から1957年にかけて製造され、自動車史上でも”最も早い”時期にモノコックシャシーと前輪駆動を採用したことで知られます。
そして「トラクシオン・アヴァン」そのものが、フランス語にて「前輪駆動」を指しており(トラクシオン=駆動、アヴァン=前)、このクルマのヒットによって、その後シトロエンは「生産するクルマのほとんどを前輪駆動へとスイッチ」することになりますが、その駆動方式のメリットについては、五木寛之の小説でも描かれていたように記憶しています(たしか2CVが雪の坂道をぐんぐん上ってゆくというストーリー。当時はFFが非常に珍しかったようだ)。
さらには4輪油圧ブレーキを備えるなど、当時としては極めて先進的な構造を持っており、モノコックシャシーと前輪駆動による(フロアが平坦で広い)高い居住性、さらには優れた直進安定性等を誇っていたといい、これによってシトロエンの名を大きく広めることに成功しています。
今回出品されている個体はかなり損傷が激しく、ボディは完全にペイントが剥がれた状態で、当時快適だったであろうシートもカビだらけ(それでも穴が空いていないことには驚かされる)。
内装のほとんども剥がれ落ちているようですね。
ギアチェンジは「インパネシフト」にて。
ラジエターは前方配置。
その後ろにあるファンは錆びに覆われ、こういったパーツは「修復」できるとは思えない(中まで錆びているものと考えられる)ため、リビルトパーツを探してくるしかないのかもしれません。
エンジンは2リッター4気筒8バルブ。
やはり内側まで錆びているものと思われ、レストアは非常に困難だと考えられます。
上述のとおり、レストア済みの車両であっても200万円程度の相場にとどまるクルマであり、そしてこの状態からレストアを行えば「200万円はゆうにかかる」のは間違いなく、よってこの個体を購入する意味は(個人的な趣味から入手するケースを除くと)かなり薄いのかもしれませんね。
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参照:Catawiki