| ルノー5ターボ1はあらゆる意味で特別な存在であった |
当時は現代のデザインプロセスとは異なり、一人のデザイナーの権限が非常に大きかったと言っていい
さて、ルノー5ターボ(シリーズ1)に装着されていたベルトーネ製のシートがオークションに登場。
ルノーは5ターボについてシリーズ1(生産1,820台)とシリーズ2(3,167台)とに分けて生産していますが、シリーズ1のみが「専用ステアリングホイール、特注のメーター、(今回出品されている)バケットシート」など、ベルトーネによってデザインされたエキゾチックな内装デザインを持っています。
ただしこれらはコストが非常に高かったと見え、シリーズ2に入ってからはごくごくオーソドクスなルノーによるデザインのパーツに置き換えられることになり、とくにダッシュボードとシートについては通常モデルであるルノー5アルピーヌとの”共通パーツ”となってしまい、よって5ターボ”シリーズ1”はコレクターズアイテム認定を受けているわけですね。
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ルノーはときどき「変態車」を販売することがある
なお、このルノー5ターボというのは歴史に残る変態車だと認識しており、もともとは「FFコンパクトハッチ」として誕生したものの、ラリーに参戦するためにリアエンジンへと換装され、かつ超ワイドなオーバーフェンダーを装着しています(GRヤリスどころではない)。
こういったクルマを作ったり販売したりするルノーについて、ぼくは「正気ではない」と捉えているのですが、ルノーはさらに同様の手法にてクリオV6、さらには(標準仕様だと)フロントウインドウもないスポールスピダーを発売したことがあるうえ、直近でも(本当に発売するかも知れない)R5ターボ3Eを発表しています。
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ベルトーネもその奇抜な発想では負けていない
ただ、「変態度」という点では負けていないのがベルトーネであり、「世界で最も低い車高」を持つクルマを目指して作られた「ストラトス・ゼロ(しかもドアがなくフロントウインドウを開けて乗り込むことになる)」、そしてあまりに前衛的な「カラボ」を発表し、さらに実際に発売されたクルマではランチア・ストラトス、ランボルギーニ・カウンタックといった名車をデザインしています。
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そしてインテリアにも強いこだわりを見せたのがベルトーネの一つの特徴で、「ランボルギーニのミニバン」、ジェネシスではこんなシートを採用。
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マツダの依頼によるコンセプトカー、MX-81 ベルトーネ・アリアはこんなシートを持っています。
さらにこれだけでは収まらず、カウンタック・コンセプトのシートはこう(リメイク版)。
ステアリングホイールやメーターも超アバンギャルド。
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こういった背景を見るに、(ベルトーネがデザインした)ルノー5ターボにこういったシートが採用されるのも納得ではあるものの、とにかく「斬新」としか言いようがない形状。
スポーツモデル用シートということ、そして現代のシートのように様々な機能が内蔵されていないからこそ実現できた形状なのかもしれませんね。
ちなにみですが、フランスにはルノー車のシートを様々なデザインにてカスタムしてくれる会社があるそうなので、思い切って新しい、そして自分好みのシート表皮に張り替えてみるのもいいかもしれませんね。
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