| そこには「やられる前にやる」という仁義なき戦いがあるのだと思われる |
BMWが新型2シリーズ・グランクーペの公式ティーザー画像を公開。
今回白黒の渦巻きカモフラージュシートに覆われたサイドビューを示していますが、おそらくこのショットが「もっとも2シリーズ・グランクーペを端的に表している」のかもしれません。
なお、2シリーズ・グランクーペは「2シリーズ」と名がつくものの、後輪駆動を基本とする2シリーズ・クーペとは異なり、FFベースになる、と見られています(新型1シリーズと同じプラットフォームを使用)。
今回の画像に写るプロトタイプのほか、BMWは他の「見られてもいい」プロトタイプの一般道テストを開始しており、こちらの目撃例もいくつか報告されているようですね。
なぜBMWはニッチに手を出すのか
なお、こういった「クーペ風セダン」は各自動車メーカーが投入しているものの、「ニッチといえばニッチ」。
メルセデス・ベンツだとCLAやCLSがこれに該当し、アウディだとA5スポーツバックやA7スポーツバックが同様に「クーペ風セダン」となります。
これらの存在意義としては、「4ドアが必要だが、セダンはちょっとシブすぎる」と考える人々のために用意されているのだと認識していますが、ルーフの後ろが傾斜しているだけに、後部座席の頭上スペースを削ってしまうのは間違いのないところ(よって、居住性だとセダンには敵わない)。
それでもやはり「オシャレなクルマに乗りたい」「世帯臭いクルマに乗りたくない」という人は少なからず存在し、クーペ風セダンはそういった人々に向けた車だと言えそうでもありますね(同じような理由で、一部メーカーは後尾座席のドアハンドルをピラー内に隠し、スポーティーな2ドアに見せようとするケースもある)。
ただし、そういった人々は「メインストリーム」ではなく、コンベンショナルなセダンを欲しがる人に比較すれば、比較的「少数派(それは街なかを走るクルマを見てもわかる)」なのかもしれません。
いかに獲得利益が小さくとも、営利企業はそこに余地があれは投資する
じゃあなぜ各メーカーがこういったクルマを作るのかというと、「もうメインのラインアップを拡充しきっていて、さらに利益を稼ごうとすると、そこしか残っていないから」。
つまり各メーカーは各セグメント(クラス)ごとにセダンを設定し、そこからどう利益を上乗せしようかと考えた際、「ニッチに手を出さざるを得ない」わけですね。
たとえばポルシェだと「パナメーラ(セダン)」「カイエン(SUV)」という、もっとも売れそうなラインアップを揃え、それらの販売が上限に達しそうになると、それぞれ「パナメーラ・スポーツツーリスモ(ワゴン)」「カイエン・クーペ(クーペSUV)」を投入し、販売はさほど見込めないものの、既存ラインアップとさほど干渉せず、他社製品のシェアを獲得できる製品群を投入するのと同じ。
ただ、いかに既存プラットフォームをベースにしているといえど、開発コストは当然かかり、「そこまでして、ニッチ商品を投入することにビジネス的メリットはあるのか」とも考えてしまいますよね。
これについては、たしかに「それ単体で見るとさほどメリットはない」、しかしたとえニッチであっても隙間を埋めてゆかねば、「他社に埋められてしまう」ことになり、取りこぼしが生じることに。
そして、自社が手を出さない間に「隙間を埋めた」他社が、いかに小さい隙間と言えどもそこで存在力を発揮してしまうと、それがほかのセグメントにも影響したり、ブランドイメージの優劣にもかかわることになり、「やられる前にやる」「隙間を埋め、他社が参入する隙間を与えない」という防衛的意味合いがあるのだと考えています。
なお、ポルシェはこういった「ニッチ」への参入には比較的スローではありますが、ポルシェの場合は、いくつものメーカーが参入し、ニッチがニッチと呼べないほど史上が拡大したのち、そのブランドバリューと圧倒的性能をもって、「あとから来たのに、ごっそりシェアを奪ってゆく」ようですね。
VIA:CARSCOOPS