| このZBF-7erは当時の7シリーズに比較してもかなりな高級感を持つようだ |
その細部は後のモデルに引き継がれるも、なぜ発売されなかったのかには触れられていない
さて、BMWはつい先日、「2004年に製作された、X6の原型とも言えるクーペ風SUVのコンセプトカー」を公開していますが、今回は同時期に考えられた「7シリーズの後継モデルをイメージしたコンセプトカー」を紹介しています。
このコンセプトカーはZBF-7erと命名されており、見ての通り縦型の巨大なキドニーグリル、そして豪華なインテリアが特徴的。
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BMW自身が知られざる歴史に迫る
この動画シリーズは「Inside BMW Group Classic」と命名されたもので、過去にBMWがリリースしたコンセプトカーに焦点を当てていますが、もちろんこのZBF-7erも今回初公開となるコンセプトカー。
BMWは2000年代はじめに鬼才と呼ばれるクリス・バングル氏をチーフデザイナーへと招き入れているので、このZBF-7erも同氏の息がかかっていると考えていいのかもしれません(たしかに細部はそれっぽい)。
そして今回動画に登場するのは、E36世代の3シリーズやZ3など記憶に残る名車をデザインしてきた長島譲二氏。
このZBF-7erは当時にE38型7シリーズよりもサイズが大きく、BMWは7シリーズをさらに高級に仕立て上げようとしていたことがわかります。
参考までに、新型M3/M4、4シリーズに採用されて議論を呼んだ縦型キドニーグリルは「(80年以上前の)328」にまで遡ることが可能。
その後328オマージュ・コンセプトにもこのキドニーグリルが採用されており、BMWはかねてより縦型キドニーグリルの復活を狙っていたこともわかります。
なお、4シリーズやM3/M4に採用された縦型キドニーグリルは「冷却とエアフロー最適化」が主目的ですが、このZBF-7erについては冷却やエアフローよりも「ボンネットの位置を上げたかった」からなんじゃないかとぼくは推測。
しかしながら、なぜこの縦型キドニーグリルが実際に(当時)採用されなかったのかはわかりかね、BMWは「まだ世の中の準備ができていない」と考えた可能性もありそうですね(そして徐々にグリルを大きくしてゆき、機が熟するのを待った)。
高級感は随所にて表現される
このZBF-7erについては随所にその高級感が表現されており、(Z8っぽい)クロームのサイドギルもそのひとつ。
そしてドアハンドルは当時としてはかなり珍しいポップアップ式。
BMWはかんてより「金太郎飴的」なクルマを作ると評され、ドアミラーやドアノブなどのパーツを各シリーズ間で共有することでも知られ、しかしこのZBF-7erについては、金太郎飴とは決別し、他シリーズと決定的な差別化を行おうとしたんじゃないかという印象も受けます。
ZBF-7erのインテリアは高級すぎた
そしてこちらはZBF-7erのインテリアですが、1970年代のコンセプトカーのような雰囲気もあり、センターコンソールには「ウッドを用いた引き出しのようなもの」も。
わかりやすい高級さを表現したということになりそうですが、「このまま発売されていたら面白かったのにな」とも思います。
なお、メインのメーターがその横のディスプレイとつながっているところは「現代的」で、しかしこのレイアウトについてはメルセデス・ベンツに(形を変えつつ)先を越されてしまったということになるのかもしれません。
後部座席は前席に比較するとさらに「高級」な印象を受け、センターコンソールには折りたたみ式のテーブルにiDrive風のコントローラー、そしてスイッチ類も。
フロントシートの背面には格納式のテーブル、そして下部にはオットマン(らしきもの)も見られます。
このZBF-7erについては、BMW重役の多くが気に入っていたとされますが、なぜか市販されることも、そしてこれまで公開されることも無く終わっています。
細部を見ると、そのディティールの多くがその後のモデルに採用されていることもわかるものの、もちろん市販に至らなかったのにはなんらかの理由があるのでしょうね。