BMWが「3Dプリンタで成形するシート」の特許を出願！シートシェル、クッション、表皮を同時に出力可能。これが実現できればじつに画期的

｜　BMWはなにかと常識を超えた特許を出願することが多いようだ　｜

自動車業界ではさらに3Dプリンタの活用が進み、効率化がもたらされることになるのかもしれない

さて、現在自動車に関わる技術は大きく変革を遂げつつあり、電動化、自動運転、AIの（デザインや設計技術への）導入、そして今回紹介する3Dプリント技術もそのひとつ。

すでにポルシェは3Dプリンターにてシートのクッションを製造するという手法を実用化しており、これは実際にオプションとして設定されていますが（オンラインカーコンフィギュレーターにも登場する）、BMWもまた3Dプリンタにてシートのクッションを成形する方法をドイツ特許商標庁（DPMA）へと出願しています。

BMWが出願した「3Dプリンタでシートを製造する」特許はこんな内容を持っている

今回BMWが特許を届け出たのは「3Dプリンターで製作されたバケットシート」。

ただしこのシートには、従来のように「シートシェルに貼り付けた」ようなクッション、そして表皮が存在せず、いわば「シートシェルとクッションと表皮とが一体化した」もの。

特許のタイトルは「部品の積層造形のためのプロセス」というものですが、この特許の骨子は3Dプリンティングプロセス中に様々な媒体を使用し、様々な密度で格子状に配置し、特定の方法で硬化させることで、特定の要素が他よりも固くなり、あるいは別の特定の要素が柔らかくしなやかに保たれるという内容です。

BMWは、例えばM4 CSLに搭載されているようなバケットシートを例に挙げ、シートのコア構造（シェル）を密に詰まった格子でプリントし、硬化させることで剛性を高め、衝撃の際に適切なサポートを提供することを想定しています。

しかしシートの外側（ドライバーに接触する部分）の層は、より緩やかな格子で印刷され、スポンジのような粘性を持つように硬化されるとしており、つまりは「シートシェルとクッションと表皮」とを一度に、それぞれの部位に要求される硬さや反発力を持たせつつプリントしてしまうという手法です。

現在、特にスポーティなバケットシートは、カーボンファイバー製のシェルにフルフォームのクッションシステム、またはシートと接着された個別の布張りのパッドが付いているのが一般的ですが、BMWが提案するのは、これをすべて一体化したシートに置き換えるというもの。

クロックスのように「アウターソール、インナーソール、アッパー」が一体化したシートと考えるとわかりやすいかもしれませんが、クロックスで言えば「アウターソールはより固く摩耗に強く、インナーソールは衝撃を吸収し、かつ通気性のある構造で、アッパーは薄く柔軟性のある素材」が一体成型であるにも関わらず実現されているような雰囲気かもしれません。

しかもこの「一体成型」シートにつき、サイズや形状など変更の自由度が高く、さまざまな色、パターン、デザイン、テクスチャーを作ることができるため、カスタマイズの可能性も大きく広がることになりますが、BMWによると「シートだけではなく、アームレスト、ステアリングホイール、ダッシュボードなど」にも活用が可能だといい、製造工程が簡略化されるとともにコストが下がり、しかし機能とデザイン性が向上し、さらに軽量化も実現可能ということになるのかもしれません。

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参照：CARBUZZ