
| 無難なCMにしたい広告代理店、そして過激なCMにしたいトヨタ側とのバトルが見もの |
残念ながら人気動画シリーズも今回が最終回
さて、ぼくが大好きなToyota Gazoo RacingのウェブCM「The Pitch」の最新にして最終バージョン、「The Shoot」が公開に。
このシリーズの面白いところは、(現実世界で)これまでにも数々のTVコマーシャルを製作し放映しては「放送禁止」を食らっていたトヨタが、比較的放送コードの緩いWEBのみでの公開に限定し、「TVCMではできないが、ウェブ上だとできること」を思いっきりやってしまうという過激なシーンがふんだんに盛りこまれていること。
しかもそれだけではなく、「トヨタのスタッフが、広告代理店にCM製作を依頼する」という設定を行い、広告代理店の社員が「(規制を守るため)あれもダメこれもダメ」という様をコミカルに描いており、つまりは規制でがんじがらめのCM業界を揶揄する内容となっているわけですね。
「THE SHOOT」の内容はこうなっている
そこで今回の「THE SHOOT」を見てみると、まずは西部劇のセットのようなところを爆走しドリフトしまくるGRカローラ。

けっこうな勢いで走り込みます。

そしてビタっとカッコよく停止し、そこへディレクターが「カーーーット!」。

こちらは広告代理店の社員コンビ。
「うん、今のは良かったね。砂埃しか見えなかったけど」
「あのクルマは砂埃も標準装備なのかしら?」と相変わらずズレたコメントを行うところがユーモラス。

こちらはトヨタ・ガズー・レーシングの2人。
「え?砂埃いらないの?」とちょっと驚いた様子ですが、この微妙にズレた会話もこのシリーズの面白さです。

そして広告代理店の2人は「そうだ、馬を使おう。馬力を表現するために馬がいい」ということで馬が登場。

そして自分たちが考えた「馬」アイデアに喜ぶ二人(こういった表情を見るに、本当に俳優ってすごいなと思う)。
広告代理店側は「無難な」コマーシャルを作ろうとするものの、トヨタ側はもちろん刺激的なCMを作ろうとし、両者の思惑が真っ向から(微妙にズレながら)ぶつかります。

もちろんトヨタの人たちはこういったユルい「馬」との共演にあまり興味はなく、かわりに「雪上ドリフト」を提案し、GRカローラが雪の上を走り回るシーンへと切り替わります。

そしてスパイ映画さながらにヘリコプターが登場して激しい追撃を受けることに。

ただ、どうやら広告代理店の人たちはこれを気に入らず「ダメ出し」へ(安全策を取りたい人たちなので、高速走行やドリフトシーン、非現実的なシーンを入れたくない)。

その後はまた別の案が出て、今度は1970年代のカローラと共演するというシナリオ。

路肩で故障したカローラを停め、助けを求める老婆がいるのですが・・・。

それを助けずに通り越す女性ドライバー。
助手席の男性は「え?助けないの?」という表情をするも、女性は「罠に決まってるわ。だってカローラが故障すると思う?」※実際に罠であることがあとで判明するが、さりげなくカローラの信頼性をアピールしているのがまた面白い

なお、この案は広告代理店の女性には大ウケすることになり、話がどんどん膨らみ・・・。
70年代のカローラとのカーチェイスだけではなく・・・。

なぜかGRスープラも登場。

さらにはGR86も登場してドリフト三昧という動画となっています。

とにかく登場人物がすべて自分勝手であり、全く話が噛み合わず、ポンポンとシーンが飛ぶというナンセンスなところが魅力でもありますが、注目すべきは今回の撮影についてトヨタが一切CGを使用していないこと。

カメラワークも秀逸で、実に見ごたえのある迫力の映像に。

さらには驚きのシーンがあって、なんとGRカローラが片輪走行を行い・・・。

GR86とGRスープラの間を抜くというスタントを披露。

これには広告マンも青筋立てて怒りをあらわにし、「絶対に駄目だ!このクルマは4輪駆動なのに2輪で走行するのは認めん」。

しかしトヨタ側の妄想はどんどん膨らみ、最後はこの動画シリーズの「お約束」であるジャンプまで。
実際にこんな広報チームがトヨタにいたら面白いだろうな、と思わせる動画です。

トヨタ広報チームと広告代理店との思惑がぶつかる動画はこちら
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参照:Toyota USA