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やっぱりAIは人間の仕事を奪う?BMWが製造工場の検品業務にAIを導入し「6人をラインから外すことができ、年間100万ドル削減できた」と発表

2023/07/30

BMW

| これもまた「必要な変革」であり、ぼくらは生き残るために必要な道を探し、スキルを身に着けなばならない |

単純作業、機械的作業はAIに取って代わられるだろうが、思考作業、創造的作業はまだまだ人間にしかできない

さて、昨今話題のAIにつき、自動車産業においても設計やデザイン、そして製造現場に取り入れることによって「より効率的な」そして「よりクリエイティブな」業務ができるようになっていると言われ、多くの自動車メーカーがその実例を公開しています。

今回紹介するのは「BMWの製造現場におけるAIの活用事例」ですが、BMWはすでにデザインプロセスにおいてAIを取り入れていることを明かしていて、これによって多くのデザイナーにインスピレーションを与えている、とも報じられていますね。

BMWもAIをデザイン制作プロセスに導入したもよう。「しかしAIは既存の画像を合成するだけなので、結局はどこかで見たことがあるようなものになってしまいます」
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BMWは品質管理にAIを導入

今回BMWが「AIを導入した」と発表したのは米国サウスカロライナ州スパータンバーグにある工場においてであり、ここ数年かけ、AI機能を取り入れるために工場全体をアップグレードしてきたと報じられています。

この車体工場では、ラインを流れるSUVのフレームに対し、ロボットが300~400個の金属スタッドを溶接しているそうですが、現在ここでAIが担っている役割が「品質管理」。

具体的にはこれらのスタッドが正しく配置されているかどうかをAIが検査・チェックしているとのことで、BMWグループ・マネージャーのカーティス・ティングル氏によると、AIがスタッドの配置ミスを検出した場合、このAIが自動的にロボットに修正を行うよう指示するといい、このシステムのおかげでBMWは6人の作業員をラインから削減し他の仕事に配置転換することができたのだそう(もともと何人がいたのかは語られていない)。

つまりこれは「AIが人から仕事を奪った」一例ということになり、しかしBMWはこれによってすでに年間100万ドル以上を節約することが可能になった、ともコメントしています。

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「AIは人間の5倍優秀」

カーティス・ティングル氏はさらに「AIは人間の思考や手作業を方程式から直接排除します。私たちは、AIの助けを借り、私たちが以前可能だと考えていたことの5倍を達成しています」と語り、つまりAIは人間の持つ不確実性という要素を完全に排除することで効率化を(5倍早く)達成している、とも考えていいのかも。

ちなみにひとくちに「AI」といっても色々な種類や活用方法がありますが、もともと人間が行っていた機械的作業つまり定型業務はAIによって完全に互換が可能であり、しかし思考業務についてはまだまだAIが人間の代わりを務めることはできず(ただし補助することで人間の作業を効率的にはできる)、人間としてはクリエイティブな作業へと特化するしか生き残る道がないのかもしれません。

そのほか、BMWは検査プロセスの改善にもAIを導入していると説明しており、BMWのITプロジェクト・リーダーであるカミーユ・ロバーツ氏によると、生産ラインのフロアには26台のカメラが設置され、車両がラインを移動する様子を撮影しているそうですが、AIがこれらの写真を分析し、人間の作業員が修正する必要があるのかどうかを判断するのだそう(そしてAIに指示されて人間が修正を行うことになるのだと思う)。

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さらに現場の作業員は「工場スキャナ装置(スキャニング・デバイス)」なるものを装着し、工場の隅々までスキャン画像を撮影することになるそうですが、これらの画像は工場のデジタル・ツインを作成する(つまり本物とそっくり同じ工場をバーチャル空間に作り上げる)ために使用され、BMWは生産効率を向上させるために加えたい変更を、現実世界で実際に実施する前にバーチャルな世界でテストすることが可能となる、と説明しています。

なお、このスキャニング・デバイスを使用した工場のスキャニング・プロセスは数ヶ月から数日で完了するといい、結構短期間にて工場の「バーチャルクローン」が出来上がるようですね。

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