| それでいてアルピナB3 GT / B4 GTのパフォーマンスはMモデル並みである |
できればB4 GTも「普通のキドニーグリル」で発売してほしかったが
Image:ALPINA
さて、アルピナが新型「B3 GT(セダンとワゴン)」「B4 GT」を発表。
アルピナは(BMWをチューンしてモータースポーツ活動を行っていた)ブルカルド・ボヴェンシーペン氏によって設立されており、その後同氏の活躍がBMWに認められたことでBMWからパーツや車体、各種コンポーネントの供給を受け、「アルピナ」の名を冠した独自の自動車を製造する「自動車メーカー」へと発展を遂げています(ポルシェとルーフとの関係に近い)。
そして近年では両者の関係はさらに密接なものとなり、BMWは2022年にアルピナを買収し、2026年から「既存BMWラインアップと(BMWグループ傘下の)ロールス・ロイスとの間を埋める高級ブランド」として再スタートを切ることがすでに決まっているわけですね。
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アルピナB3 GTはこんなクルマ
よって現在のアルピナの存続は「2025年末まで」ということになりますが、アルピナのクルマは「BMW Mモデルほどのサーキット上でのパフォーマンスは備えていないが、それに近いレベルの動力性能を持つ高級で快適なGTカー」といったところです。
つまりは公道での走行を主眼に置いており、多忙なビジネスマンが「高速で快適な移動手段」として使用することを想定しているようで、0-100km/h加速性能こそはMモデルに劣るものの、最高速ではMモデルに勝る場合も多々見られます(アルピナは紳士協定に縛られないからという理由もあるが、中間加速でもMモデルに勝るアルピナも存在するので、絶対的な性能は非常に高い)。
そしてアルピナが存在する意義としては「Mモデルにない快適性や高級さを持つ」という特徴のほか、Mモデルにはラインアップされていない車種が存在すること。
たとえば(数字一桁の)Mモデルが存在しないX7についても、(仮にX7 Mがあったとして)それに近いパフォーマンスを持つ「アルピナXB7」が市場へと投入されていて、つまり「BMWにとっては市場規模が小さすぎてビジネスとして成り立たない」領域であっても、少量生産車メーカーであるアルピナにとっては十分な利益を確保できる市場ということになり、BMWとアルピナは「お互いの特徴と得意分野を生かした補完関係」にあると考えて良いかと思います。
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ちょっと前置きが長くなったものの、このB3 GTも「BMWでは補完できないニッチをアルピナが埋めた」例だと考えてよく、というのも「フロントグリルがジャンボキドニーではない」から。
これはM3ではなく3シリーズをベースとしているからですが、搭載されるエンジンは3リッター直6ツインターボ、出力は529馬力なのでM3にも引けを取らない数字です。※BMW M3コンペティションは530馬力
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なお、0-100km/h加速はB3 GTセダン(サルーン)で3.4秒、B3 GTワゴン(ツーリング)で3.5秒、最高速はB3 GTサルーンが308km/h、B3 GTツーリングでは305km/h。※トランスミッションはいずれもZF製8速AT、駆動方式は4WD
そしてもちろん、Mモデルにはないエレガントな20スポークホイール、特徴的なボディカラーにアルピナ独自のストライプが洗練された雰囲気を醸し出します。※ボディカラーはBMWインディビデュアルにて提供される範囲からも選択できる
アルピナB4 GTはこんなクルマ
そしてこちらはB4 GT。
ベースとなる4シリーズ グランクーペがジャンボキドニーを持つため、B4 GTも大きなグリルを継承していますが、これがもし「3シリーズ顔であったなら」けっこう大きなニュースであっただろうと思います(そしてその場合の反響も気になる)。
フロントアンダー(両サイド)にはカナード(エアロフリック)が装着されるものの、全体的には非常に「ひかえめ」な印象があり、ドアミラーも「M仕様」ではなく通常のBMWラインアップが持つ形状を採用。
ホイールカラーはシャンパンゴールド(オロ・テクニコ)、そしてバッジ類もゴールドです。
リアアンダーもアルピナ独自のデザインとなり、Mモデルが持つ大きなディフューザーとは差別化がなされています。
B3 GT / B4 GTのインテリアもベースとなる3シリーズ/4シリーズ グランクーペに準じるものの、細部や使用される素材、仕上げが「アルピナ品質」へとアップグレードされています。
メーター表示はもちろんアルピナ専用。※アルピナ版の表示は(全てではないものの)最初からBMW各モデルに仕込まれており、コーディングによってこれを表示させることができる場合がある。この例を見ても、BMWとアルピナとの関係性の深さが伺える
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参照:ALPINA